11インチ『MacBook Air』はネットブックに勝てるか?

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Brian X. Chen


価格は1000ドル、スクリーンサイズは11インチ。インチあたりの価格は90ドルだ。

米Apple社の新しい『MacBook Air』をネットブックと呼んだとしたら、Steve Jobs CEOは激怒して、忍者フリスビー[手裏剣]で攻撃(日本語版記事)してくることだろう。しかし新しいAirは、実際には安価で低パワーのネットブックと同じカテゴリーに属する。しかも値段は倍だ。その価格の価値はあるだろうか。

Airは、ほとんどのネットブックが達成できなかった重要な点を突いている。ワイドなディスプレイ画面、標準的なフルサイズのキーボード、ガラス製のトラックパッドという構成で、窮屈な印象は受けない。キーも、いかにもApple社らしく使いやすい。画面の解像度も1366x768ピクセルと高く(ほとんどのネットブックは1024x768ピクセル)、鮮明ではっきりした画像を表示できる。しかも、不安になるほど静かだ。ファンの音はほとんど聞こえない。

ただし、11インチモデルのMacBook Airがネットブックよりも余裕があり、魅力的だとしても、長時間使用すると不具合を感じるようになる。鮮やかな11インチの画面を見つめ続けると目が痛くなるし、真剣に仕事をしようとするには苦痛なのだ(このレビューを書いているとき、私は目が疲れたのでマシンを13インチのMacBook Proに変更した)。

プロセッサーの速度はかなり遅い(1.4GHzの『Intel Core 2 Duo』)。さらに、標準装備のRAMは2GBであるため(4GBはオプションで追加料金が必要)、生産性を求めてバリバリ仕事をするためのものではない。

この点を多少なりとも埋め合わせるのがフラッシュドライブだ。アプリケーションの起動は非常に速いし(Safariのロードには1秒かからないし、iTunesを開くのにもわずか1.5秒)、『Mac OS X』の起動も平均でわずか13秒しかかからない。しかし、写真の編集やファイルのコピーなど、プロセッサーの負荷が大きい作業はそれほど速くない。11インチモデルのMacBook Airをネットブックと比較せざるを得ないのはこのためだ。この小さい画面で、CPUも遅いとなると、その用途はウェブの閲覧やチャット、『Word』文書の編集といった軽めの作業になるだろう(本格的な仕事をするためには、13インチのAir、あるいはもちろん、Proがいい)。

バッテリー寿命は素晴らしい。テストによるとMacBook Airは、約6時間もWi-Fi接続を維持した。しかし、同程度のバッテリー時間を示すネットブックは他にもたくさんある。

Airのユーザーはどういう人かといえば、まずは、頻繁に旅行に出かけ、電子メールや、簡単な編集などができれば良いという人たちだろう。キャンパスで重い荷物に悩む学生にも好まれそうだ。しかし、11インチのAirとネットブックを比較した場合、Airが望ましいとは言えない。ネットブックの平均価格は300ドルから500ドルであり、仕事というよりは遊び中心に使うつもりであれば、MacBook Airと比べて大きく劣ることはない。MacBook Airの価格は少なくともネットブックの価格の倍になるが、残念なことに性能の方は倍とはいえないのだ。


本体は非常に薄い。プロセッサーとRAMは高性能とは言えない


MacBook Proのようなバックライトは無い


五角星型のトルクネジに注目。開けるのは非常に難しい(日本語版記事)


電源、USB、ヘッドフォン・ジャック


2番目のUSBポートとディスプレイ・ポート


iPadとの比較

[日本語版:ガリレオ-平井眞弓]

WIRED NEWS 原文(English)

  • 新『MacBook Air』を早速分解2010年10月25日
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