ミツカングループ本社(本社・愛知県半田市)が、2010年5月から4カ月間にわたる納豆販売促進キャンペーンを展開している。パッケージに納豆を使った料理法を掲載したり、スーパーの店頭で納豆料理のパンフレットを配布したりしている。「酢」のイメージが強い同社のイメージを広げ、寡占化が進む納豆市場でのシェア拡大を狙っている。

   同社が納豆事業に参入したのは1997年で、業界では後発組。納豆独特の臭いを抑えた「におわなっとう」や、手が汚れないよう、容器のフィルムをなくしたゼリー状のたれを導入するなど、差別化商品を次々投入し、今では「金のつぶ」ブランドはスーパーの納豆売り場の定番になった。

ミツカンが「くめ納豆」を買収

   日本の食卓の「コモディティー商品」ともいえる納豆だが、市場規模は最近の「内食化」の追い風にも関わらず縮小が続いている。民間調査会社の富士経済によると、09年度の市場規模は約1200億円で、5年前と比べると1割減となる見通し。最大の原因は、スーパーなどの価格競争激化による価格下落と見られている。原料の大豆価格が比較的高止まりしており、地方に乱立している小規模業者の廃業も続いている。

   こうした中で話題を呼んだのが、ミツカンによる中堅「くめ納豆」の事業買収だ。くめ納豆を展開する「くめ・クオリティ・プロダクツ」(本社・茨城県常陸太田市)は2009年9月に倒産。同社は大手スーパー、イオンが販売するプライベートブランド(PB)の納豆を製造していた業界の老舗。

   イオンが09年実施した業者選定の入札にはミツカンも初参加し、「常識以上の単価を提示した」(食品メーカー幹部)とされる。「くめ」がそれに対抗してそれ以上に安い単価でイオンへの納入を続けたことが、破綻の遠因になったとのうわさも業界内で広がったほどだ。

今後も上位ブランドの寡占化が進む?

   ミツカンはくめ納豆の事業を吸収後、業界シェアを5%ほど上げ、現在は約20%。最大手、タカノフーズの約30%を急激に追い上げている。売り上げも、食酢が漸減傾向にあるのに対し、納豆は前年比5〜6%の増加を続けている。全国納豆協同組合連合会も「今後も上位ブランドの寡占化が進むのでは」と指摘する。

   納豆の消費は暑い夏に向けたこの時期が一年でも一番減る時期。今回のキャンペーンは「納豆うどんや、納豆カレーなど、夏にも合うメニューを消費者に紹介して、需要を下支えする」(ミツカン広報)のが狙いだが、スーパーが売れ筋商品の絞り込みを進める中、「売れ筋商品の中の売れ筋ブランド」をめぐる上位同士の競争も激化しそうだ。

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