コミュニケーションはいつの時代も重要なキーワードであり、古来より伝承されているコミュニケーションにかかわる慣例や慣習も多々あります。中には時代にそぐわないものも多くなってきています。日本の政府のコミュニケーションを見ていると以前より進歩してきているものの、時代にそぐわなくなっているケースをよく見受けます。

 新年早々、鳩山内閣にも内閣発足間もない段階で閣僚が辞任するという激震が走り、「またか」と思った方も多かったのではないでしょうか。

 閣僚のみならず、総理大臣さえも矢継ぎ早に交代していく日本の政治の風景は、世界の目からすれば尋常ではないといっても過言ではない中で、今回の辞任が「健康上の理由」ということを聞いて内心安堵されたのではないでしょうか。 
 その様な混沌とした状況下で新しく就任した菅財務相が発した言葉に今度は日本だけでなく世界に激震が走りました。例の「為替」に関する発言で、この発言が基になり円安が一気に加速したことは周知の事実です。

 菅発言の是非をめぐり、利害が絡むだけに賛否両論が渦巻きましたが、重要な地位での軽率な発言というのが否定的な見解の大半でした。ここで冷静に考えると、はっきりとものを言わない閣僚が多い中で、具体的な考えを発信したことはむしろ評価できるのではないでしょうか。実際に株式市場も好感して上がったのですから、日本経済にとっても一時的ながらプラスの効果を生み出しています。

 財務大臣たる重責を担う以上、自己の考えを明確にすることは当然のことですが、批判の背景には、たとえ考えがあっても口に出して言うべきではなく、黙して行動しろということがあったのかもしれません。古来より「不言実行」を美徳とする旧来型思考の人たちには受け容れがたい発言であったようです。


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