1日のUEFA杯準決勝第2戦にあわせて、約8000人のレンジャーズ・サポーターが花の都フィレンツェを訪れた。アウェイチーム用に販売されたチケットは2414枚にすぎないにもかかわらず、だ。

 年中雨ばかりのグラスゴーの人たちにとって、チームを応援する目的はもちろんだが、欧州大陸へ、とりわけ太陽の光あふれるラテンの国へ出る機会はたまらなく魅力的に映るらしい。CLを戦ったセルティックのサポーターもそうだが、アウェイゲームともなればとにかく大挙して押し寄せる。行く先々の飲食店を占拠する。そして、朝からビールがぶ飲み。これがスコットランド・サポーターのお約束なのである。

 さて、世界的観光都市フィレンツェとフィオレンティーナは、この客人たちを迎えるにあたって、粋なもてなしを用意した。スタジアムへ入り切れない5000人以上に対して、市内中心部2か所に巨大スクリーンを設置し、パンやサルシッチャ(豚肉の腸詰)、野鳥と豆の煮込みなどトスカーナ名物料理の試食会を催したのだ。
“こっちには世界に冠たるイタリア料理の美食文化があるぞ”と言わんばかり。グラスゴーでの第1戦、レンジャーズ側がフィオレンティーナ・サポーターに対して、アイブロックス・スタジアム外に設けたファン・ゾーンへの返礼だった。

 ただし、“ノー・アルコール”。市内中心部は試合前夜から、スタジアム周辺は当日の試合開始数時間前からアルコール販売は禁止されたのだった。