「犬を連れた方へ マナーを守れない方は公園に入れません」と書かれた看板の前で、「マナーを破れば、自分に返ってきますよ」と話す住民。(撮影:佐藤学)

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「人権があるように犬にだって自由に走り回る権利があるんだ!」──。公園管理局の職員からリードを外さないよう注意を受け、食ってかかる飼い主がいる。東京の東、隅田川と荒川に囲まれた江東区は、これまでも公園での犬の散歩について、飼い主に基本的マナーの遵守を呼びかけているが、マナー違反の飼い主に対する住民からの苦情が後を絶たない。

 同区内の公園によっては、夏になると幼児や小学校低学年児童が水遊びできる「ジャブジャブ池」があり、子どもたちがいない時間帯を見計らって、犬に水浴びをさせる飼い主がいる。犬の毛やひどいときには犬の糞が水に浮いているときもあるという。

 公園管理局の職員は、そうした規則違反の飼い主に注意を与える。「うちの犬はおとなしいから、絶対に人に噛み付いたりしません」と弁解する人や、注意されると反対に開き直って「犬の登録料を払ったり、狂犬病の予防注射などを受けているんだ。飼い犬を遊ばす権利があるはずだ」などと主張し、「職員の注意の仕方や態度が悪い」と文句さえ言う人もいる。

 江東区保健局によると、05年度の犬に関する苦情は52件。犬の声が13件、公園や道路でのノーリードが11件、糞の後始末の6件が上位を占めた。犬に噛まれたという報告も5件ある。都の動物愛護管理条例で、飼い主がリードなしで散歩することを禁止しているが、依然としてノーリードの犬が公園を駆け回る姿が見られる。同保険局職員は「公園内に看板を立てたり、区報で飼い主に協力を呼びかけていますが、耳を傾けてくれない飼い主がいるのが現状です」とお手上げといった様子。

 区内の「横十間川親水公園」で犬を散歩させる近所の住民は、「犬が子どもを脅かすだけではなく、子どもが犬の嫌がることをする場合もあるので、リードは欠かせません」と話す。「マナーを破れば、自分に返ってきますよ」という言葉に込められた意味を考えてみよう。【了】