左からコンパニ、バロテッリ、ロッベン、リベリ、ジルー。いずれも夏に「移籍金ゼロ円」で獲得できる名手たちだ。(C)Getty Images

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 欧州のシーズンもいよいよ最終盤に突入し、各クラブとも来季に向けた補強に本腰を入れ始めている。
 
 そんななか去就が気になるのが、いわゆるボスマン・プレーヤー。今シーズンいっぱいで所属クラブとの契約が満了となり、夏に移籍金ゼロで獲得できる選手のことだ。ヴィッセル神戸に入団した際のルーカス・ポドルスキ、アンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャのVIPトリオはいずれもこのケースで、サガン鳥栖のフェルナンド・トーレスも同様。移籍金がかからないだけにハードルが下がる一方、サラリーの面で奮発しなければ獲得は厳しいのだが……。ひとまずは現時点で注目の大物たちを見ていこう。
 
 ウェールズ代表のMFアーロン・ラムジー(アーセナル)はすでにユベントス行きが決まり、ウルグアイ代表DFディエゴ・ゴディン(アトレティコ・マドリー)のインテル行きも内定。パリ・サンジェルマンのフランス代表MFエイドリアン・ラビオのように、24歳とまだ若く、メガクラブが熾烈な争奪戦を展開している選手もいる。マンチェスター・ユナイテッドのMFアンデル・エレーラも人気銘柄だ。
 
 ただ、ほとんどのボスマン・プレーヤーは新天地が定まっていない。
 
 日本行きが噂されて久しい元オランダ代表MFアリエン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)は、MLSや中国のクラブも候補に挙がるなど、なかなか予想がつかない状況。負傷を抱えているが現役続行の意思は固いようで、もっとも重視しているのは「家族が安心して楽しく過ごせる環境」だという。欧州メディアがいまだJリーグを有力候補のひとつと見なしているのは、この言葉が根拠となっている。

 
 そのロッベンとバイエルンで長く“両翼コンビ”を組んできたフランク・リベリも退団が決定的だ。Jリーグ行きの話題は出ていないが、カタールのアル・サッドからの強い関心が伝えられている。元スペイン代表MFシャビを擁する強豪で、中島翔哉が所属するアル・ドゥハイルの最大のライバルクラブだ。
 
 お騒がせ男のイタリア代表FWマリオ・バロテッリ(マルセイユ)も動向が注視されている。まだ28歳で脂が乗り切っているが、メガクラブ再挑戦はなかなか難しいか。プレミアリーグではチェルシーのDFダビド・ルイス、FWオリビエ・ジルー、アーセナルのFWダニー・ウェルベック、リバプールのFWダニエル・スターリッジ、マンチェスター・UのMFファン・マヌエル・マタなど、名だたるビッグネームが契約満期を迎える。
 オーバー30では、DFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)、DFナチョ・モンレアル(アーセナル)、FWマックス・クルゼ(ブレーメン)、さらには岡崎慎司(レスター・シティ)といった面々も、新たな活躍の場を模索中だ。
 
 はたしてこのなかからひとりでも、夏に来日を果たす選手は出てくるのか。主なボスマン・プレーヤーの一覧は以下の通りだ(右端の数字は推定市場価格)。
 
アーロン・ラムジー(アーセナル) 28歳 4000万ユーロ
エイドリアン・ラビオ(パリSG) 24歳 3500万ユーロ
アンデル・エレーラ(マンチェスター・U) 2800万ユーロ
ディエゴ・ゴディン(A・マドリー) 33歳 2500万ユーロ
ダビド・ルイス(チェルシー) 32歳 2500万ユーロ
ファン・マヌエル・マタ(マンチェスター・U) 31歳 2500万ユーロ
マリオ・バロテッリ(マルセイユ) 28歳 2000万ユーロ
オリビエ・ジルー(チェルシー) 32歳 1500万ユーロ
ダニー・ウェルベック(アーセナル) 28歳 1500万ユーロ
ダニエル・スターリッジ(リバプール) 29歳 1500万ユーロ
ジェームズ・ミルナー(リバプール) 33歳 1500万ユーロ
アラン・ジャゴエフ(CSKAモスクワ) 28歳 1300万ユーロ
ナチョ・モンレアル(アーセナル) 33歳 1000万ユーロ
マックス・クルゼ(ブレーメン) 31歳 1000万ユーロ
ガリー・ケイヒル(チェルシー) 33歳 1000万ユーロ
ヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・C) 33歳 1000万ユーロ
アレクサンドル・ココーリン(ゼニト) 28歳 750万ユーロ
アントニオ・バレンシア(マンチェスター・U) 33歳 700万ユーロ
サミア・ナスリ(ウェストハム) 31歳 600万ユーロ
岡崎慎司(レスター) 33歳 500万ユーロ
アリエン・ロッベン(バイエルン) 35歳 500万ユーロ
フランク・リベリ(バイエルン) 36歳 400万ユーロ
※年齢は2019年4月29日現在。1ユーロ=約130円

構成●サッカーダイジェストWeb編集部