基本メニューは肩ロースをキューブ状にカット

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「おしゃれで、おいしくて、リーズナブル」がコンセプト

 カジュアルなステーキでは、2013年12月にペッパーフードサービスが1号店を出店した「いきなり!ステーキ」が2018年11月30日にオープンした秋田東通店で363店となり、同店で全国制覇を果たした。現在は2日に1店のペースで出店し、この分野での独壇場となっているが、新規出店に挑戦するところも相次いでおり、市場の広がりを見せている。

渋谷センター街の奥、宇田川町に立地

 11月27日、「MANDYS CUBE STEAK」(以下、マンディーズ)が東京・渋谷区の宇田川町にオープした。10坪20席と小振りでシンプルなデザインのカフェのような雰囲気が漂う店舗で、カジュアルなステーキ店が隆盛している中、マンディーズはカジュアル衣料の「ファストファッション」にならって、自店のことを「ファストステーキ」と言っている。

「ファストステーキ」とは「おしゃれで、おいしくて、リーズナブル」がコンセプトとのことだが、「いきなり!ステーキ」に始まるこの分野の業態を示す言葉として今後、定着するのではないか。

最盛期200店舗に達した「ふらんす亭」創業者の松尾満治氏

 同店を経営するのはオリエンタルフーズ株式会社(本社/埼玉・川口市、代表/松尾満治)。同社は外食向けのグラタンやハンバーグのソースを外食向けに製造・販売する会社で小さなロットで手間暇かけた商品を製造していることで定評がある。

 マンディーズはオリエンタルフーズの新規事業だが、ステーキ店は同社の代表・松尾満治氏が起業し、かつて大きく盛業した事業である。いわば、マンディーズは松尾氏の集大成となる挑戦と言っても過言ではない。

「レモンステーキ」で大繁盛店をつくった!

 松尾氏がつくったステーキ店とは「ふらんす亭」。元は松尾氏が修業した長崎・佐世保にあった高級レストランの店名で、松尾氏が東京で起業する際に許されてこの店名を付けた。

 1979年に東京・下北沢に10坪の創業の店をオープン。独創商品である「レモンステーキ」が評判を呼んだわけだが、これはレモン果汁がたっぷりと入ったしょうゆベースのステーキソースを高温の鉄板で焼いたステーキにかけるというもの。また、粗びきのハンバーグ、カレーも人気定番メニューとなり、坪100万円を売り上げる大繁盛店となった。

 1999年にはベンチャー・リンクと合弁会社をつくり、加盟店による出店攻勢を通じて最盛期には200店舗(うちFC6割)となっていたが、経営不振によって2006年にファンドに事業譲渡、現在はエムグラントフードサービスの傘下となっている。

 こうした経緯から松尾氏は10年間ほど外食から離れていたが、カジュアルなステーキ業態の隆盛ぶりを見て松尾流の業態を提案することに動き出した。

大根おろし、大葉を載せたステーキ


ライス、ピクルスなどのサイドメニューでセットも可能


 

「ステーキ」が持つ2つの弱点も解決した

 松尾氏はマンディーズを開発するに当たり、「ステーキ」の弱点を解決する売り方を考えた。

 おいしいステーキは、ステーキの表面をカリッとさせて肉汁を閉じ込めることで出来上がるが、この技術が難しい。そして、ステーキを好むお客さまは分厚く大きいサイズのステーキを注文するが、食べ終わる頃には冷えてしまう。

 前者の弱点解決のために、ステーキのオーダーを受けてから肉全体を高温の油にくぐらせることにした(中華料理で「油通し」と呼ばれる調理工程)。油にくぐらせた後の肉は、厨房で「スキレット」と呼ばれる小さなフライパンで加熱。その後、スキレットをお客さまの待つテーブルに運ぶが、テーブルには固形燃料がセットされた1人用コンロ(固形燃料)が置かれており、お客さまは自分の好きな焼き加減で最後までアツアツのステーキが食べられるようになっている。

 後者の弱点については、ステーキをキューブ状にして、80gから1kgまでのボリュームを用意することで、注文の選択肢を広げるようにした。これにより、グループで来店したお客さまが数種類のステーキを取り分けて楽しめるようになっている。

ビステッカはUSビーフの「プライム」を使用

 キューブ状の肉には肩ロースとリブの2種類があり。80gの場合、それぞれ480円(税別、以下同)と580円、レギュラーサイズ220gが980円と1180円、メガ500gは2080円と2380円となっている。

ビステッカはレギュラーのボリュームが280g

 1枚のステーキで提供するビステッカはUSビーフの最上級であるプライムを使用、シングル280gが1380円、このサイズをダブル560gにして2580円、トリプル840gで3780円。

 ハンバーグの肉は豚肉を使用せず牛肉のみで、パン粉と玉ネギと混ぜ合わせたものを整形してシングル780円、ダブル1480円、トリプル2180円となっている。 

 ステーキのトリミングと一次加工はオリエンタルフーズの工場で行い、店舗段階でのオペレーションの効率化とクオリティの安定を図るのも特徴の1つだ。

 また、既存のステーキ業態に見られない商品にも挑戦。それは「アフターステーキ」と名付けたリゾットだ。ステーキを食べ終えてステーキのうま味が残っているスキレットにライスとチーズ、卵を入れてかき混ぜて、おこげが出来上がり始めた状態のリゾットで楽しんでいただくというもの。

 これらの調理は店のスタッフにお願いするとお客さまのテーブル行ってくれる。

クオリティの高さと価格競争力で差別化をする!

個人店的なマインドのある店内

 マンディーズは自社工場で肉の下処理を行い店舗段階で効率化していることと、個人店のような提供方法がファストステーキの中でも差別化のポイントになる。

 客単価はランチタイム1100円、ディナータイム1300円と想定。参考までに、「いきなり!ステーキ」の場合で説明すると、スタンダードとなるリブロースは1g6.9円、同チェーンが推奨する300gでは2070円(税別)と、客単価だけをみてもマンディーズのポテンシャルを感じさせる。

 ちなみに店名のマンディーズとは、松尾氏の名前「満治」から付けた。正しくは「みつはる」と読むが、幼少のころから「まんじ」と呼ばれていたことから、この名前にした。

「この業態は私の集大成であり、最後の外食の事業となるでしょう。ですから、私の名前を付けました。店舗展開は急いで行うことなく、この店を慎重に点検していき改善を行っていきます」

 このように松尾氏は語るが、ステーキの繁盛店「ふらんす亭」を育てた斬新なアイデアとカジュアルな価格にあっての高いクオリティは、ファストステーキの分野でも早期に話題を集めるものとの思われる。