疋田智さん(左)は自転車関係の著述活動でも知られるTBSテレビプロデューサー。石井正則さんは芸能界屈指の自転車愛好家で、ミニベロ(小径自転車)乗りとしても有名

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最近、東京の街並みでよく目にする「シェアサイクル」。「でも、どんなものなのか今ひとつわからない…」、そんな人のために詳しく教えてくれたのが、TBSラジオの自転車エンターテインメント番組「自転車協会presents ミラクル・サイクル・ライフ」(毎週日曜18:30〜19:00)でパーソナリティを担当している“自転車ツーキニスト”の疋田智さんと、2017年に自転車活用推進研究会の七代目「自転車名人」にも選ばれた俳優・お笑い芸人の石井正則さん。「レンタサイクルとの違い」から「シェアサイクルの上手な活用法」まで、今すぐ乗りたくなる情報をお届け。

【写真を見る】通称「ドコモの赤チャリ」。スマホ1台で登録から利用までできる

■ レンタサイクルとの違いは、返却先の自由度の高さ

石井:シェアサイクル、最近盛んになってきましたね。「ミラクル・サイクル・ライフ」が始まった2013年にはあまり見ませんでしたけれども、特に都内ではよく見かけるようになりました。赤い自転車なのですぐわかります。

疋田:“ドコモの赤チャリ”ですね。東京では2012年から江東区で始まったんですけれども、2016年2月に都内4区で相互利用できる「ドコモバイクシェア」がスタートしてから一気に普及してきました。今は9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区)まで広がっていて、2018年3月末時点でポート(自転車置き場)は447カ所、自転車の数は5,090台となっています。東京にはほかにもシェアサイクルサービスがありますが、現時点では限られた区内、市内でしか利用できないので、使い勝手は「ドコモの赤チャリ」がいいと思います。

石井:ポートがあれば、9区のどこでも返却できるというのがシェアサイクルの大きな特徴ですよね。レンタサイクルは、借りた場所で返却しなければならない場合がほとんどですが、シェアサイクルの場合は新宿で借りて六本木で返す、ということもできるから、気軽な移動手段として使えます。

疋田:そもそも、短時間だけ借りるというのがシェアサイクルの考え方の基本にあります。100台あっても、借りっぱなしだと100人しか使えませんよね。でも、短い時間で借りて返して、を繰り返せば100台の自転車を1000人が使える可能性があるわけです。効率的にみんなでシェアすることで、安く便利に自転車が利用できる仕組みなんですよ。

■ 移動手段として電車より便利な場合も多い

石井:短時間利用がシェアサイクルの基本的な使い方というのは、あまり知られていないかもしれませんね。しかも、移動手段としてはバスや電車より安い場合もあるんじゃないですか?

疋田:おっしゃるとおりで、東京はバスや電車で移動しにくい場所というのが意外とあるんです。わかりやすいのが、TBSがある赤坂から六本木への移動です。電車だと千代田線で霞が関まで行って日比谷線に乗り換えなければなりませんし、階段を上り下りする必要もあります。でも、距離にすればたった1.5kmくらいなので、シェアサイクルならゆっくり走っても10分かからずに到着できるんです。「ドコモバイクシェア」の料金は30分162円(延長料金は30分108円)ですから、わずかながら料金も安いんですよ(笑)。

石井:銀座と赤坂の距離も、電車の感覚だと離れているように感じるのに、自転車だと「あれ、こんなに近いの?」と思いますものね。そういう意味では、シェアサイクルを上手に活用することで、東京がより狭く、より自分の街として感じられるようになるんじゃないでしょうか。

■ 電動アシスト自転車だから坂道の多い東京に最適!

疋田:あと、「ドコモバイクシェア」のシェアサイクルが使いやすいのは、すべて電動アシスト自転車だということです。乗ったことのない人は驚くと思うのですが、本当にラクなんですよ。一言でいえば、「都内の坂道がなくなる」感じがします。坂道を上るのは達成感があるので、スポーツとしてはいいんですけど、都内は細かい坂が多いので続くとちょっと嫌になってしまうんですよね(笑)。

石井:僕はタイヤが小さいミニベロという自転車が好きで乗っていますが、確かに少しうんざりするときはあって、「ここは電動アシストだといいなあ」と思うこともありますよ。

疋田:軽く漕いでもスーッと進むので、背中を押される感じなんですよね。自転車は漕ぎ出しに力が必要ですが、電動アシストは時速10kmまで自分の力の倍のアシストが入るので、疲れないんですよ。

石井:「ペダルを踏んだらいくらでもスピードが出るのでは?」と思う人が意外と多いのですが、最高速度が抑えられているので逆に安心ですよね。電動アシスト自転車に興味があるけど乗ったことがないという人がいたら、シェアサイクルで使い心地を試すのもアリかもしれません。

自転車で走るには適した気候になってきた。明日から、移動手段は自転車…も、ありかもしれない。(東京ウォーカー・東京ウォーカー編集部)