雪道や濃霧といった白線が見えづらい道路のほか、道路工事などで臨時に縁石やポールが設置され、道路の状況が変化している場合の自動走行にも役立つとみて、欧州で実車走行による実証実験を重ねている。

 自動運転車の開発をめぐっては、独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車をはじめ国内外の大手自動車メーカーによる研究が加速。レベルによっては実用化に踏み出す動きが広がっている。

完成車メーカーの最新動向
 独アウディは新型セダン「A8」に、車が主体で運転する「レベル3」の自動運転機能を18年以降に導入する。市販モデルにレベル3の技術を実装するのは世界初という。中央分離帯のある高速道路で時速60キロメートル以下で走行する際、センターコンソールのボタンを押すと運転操作をドライバーから車に引き継げる。

 日産自動車は高速道路の単一車線での自動運転機能「プロパイロット」を、ミニバン「セレナ」や電気自動車(EV)「リーフ」に導入している。単眼カメラで先行車を測距して速度を自動制御する仕組みだ。

 将来の実現が期待される完全自動運転車だが、白線が見えない道路状況に対応するためには認知、判断、制御に関する高度な技術が必要となる。

 特に雪道は雪が積もったふかふかの部分だけでなく、凍結した状況も想定される。人間でも運転に苦労する状況の中、いかに道路状況を認知し制御するかといった雪ならではの難しさが存在する。

(文=下氏香菜子、土井俊)