今や社会人の2人に1人が転職している時代。総務省の労働力調査でも2016年の転職者数は306万人。7年ぶりに300万人台の大台に上がったとニュースになり、これからも転職人口は増加予測。

そこで本連載では、いい転職をした女性と、悪い転職をした女性にお話を伺い、その差は何かを語っていただきました。

三田奈緒さん(仮名・36歳・東京都出身)

転職回数……1回(機械メーカー、IT関連会社)
転職した年齢……34歳
年収の変化……300万円、320万円
学歴……中堅大学経済学部卒業

パワハラにセクハラ、「大卒がする仕事じゃない!」って毎日泣いていました

私の世代はマスコミに対する漠然とした憧れがあって、大学時代もマスコミに就職するためのサークルなどにも入っていたんです。でも結局内定をもらったのは、東証二部上場の機械メーカー。営業に配属されたのですが、半年後に総務に配属になり、23歳から転職直前の33歳までの10年間総務にいました。

これは前の会社では、同じ部署にい続けた最長期間だったそうです。というのも、営業でメンタルをやられたんですよね。パワハラと、セクハラの上司や取引先に心が折れました。おじさんに飲み会などでセクハラされるたびに、「大卒のする仕事じゃない」と泣いていました。

そのことはもう思い出したくないですね。そういえば、家の近くまで上司にストーカーされたこともあり、あの時は幼なじみやウチの父親に助けてもらいました。

椅子の大量交換で心が折れた総務の日々……

10年間、ずっと書類の整理をしていて何のために生きているのかと……

総務では書類のファイリング、備品の整理、会議室の手配、来客対応、重役の秘書的な業務、社会保険の管理などをしていました。一番大きな仕事は、数千人の社員の椅子を変更するという業務でした。同じ規格の椅子を揃えて、部署ごとに変えていくという仕事。管理がものすごく大変なのに、だれからも感謝されず、さらには「椅子が変わって仕事がしにくい」と苦情がきたりして、「何のために仕事をしているのか」と思い、初めて異動希望を出しました。

異動希望を出したのは、ヒマだとの誉れが高かった社外広報

とにかく会社に行きたくなくて、社内では一番ヒマで目立たない広報部署に異動希望を出しました。一応上場企業だから、株主向けの決算短信やIRレポートなどを出すのですが、それは外注の業者さんがやってくれるので、特にすることはないはずだったんですよ。

でも私の異動と同時に、広報に入って来た30代後半の女性がいたんです。この人は、どうも社長の愛人で、それまではマスコミ関連で華麗に活躍していたと噂でした。

確かに美人で、海外雑誌から抜け出たようなファッションをしていました。その服は、みんな社長のプレゼントで、社長の威光をちらつかせて私に仕事を全部押し付けてくる。

地味な機械メーカーなので広報に仕事がないはずなのに、私を含めて2人も人を入れてヘンだなと思ったら、社長の鶴の一声で社内報を作ることになっていたんです。

目的は社員の団結で、毎月12ページ。外注さんは、社長の愛人が引っ張って来た編集プロダクションで、この人もまた全然仕事ができないんです。

毎月、冊子を出すって本当に大変で、準備に追われる地獄が始まったのです。私にセクハラをした営業の部長ともやりとりしなくちゃいけなくなったし、役員にインタビューしたり、新入社員に話を聞いたり、原稿確認したり……慣れないので、本当に死にそうでした。

1年の間に、外注さんは4回も変わり、すべて私のやり取りのミスとされました。初めてなのに、できっこないのにね。結局、その女性は仕事をほとんどせず、私よりも先に辞めたんですよ。結局私も辛くなって、一身上の理由で逃げるように退職しました。

仕事は最低限やっていればいい。そんな彼女の理想はスケジュール帳に何も予定が入っていないこと。

実家暮らしで失業保険をもらったら、老いた親の家事&介護要員になると焦りを覚え、すぐに再就職活動を開始。会社選びの条件とは?〜その2〜に続きます。