時にはピッチサイドで、厳しい口調になることも。人を導く仕事は困難がつきものだ。(C) SOCCER DIGEST

写真拡大 (全2枚)

 幸か不幸か? 僕は幼児期にサッカー以外に、何かを習ったという経験がなかった(要するに、習い事をしたことがない)。勉強であれば、塾に行ったことも家庭教師についてもらったこともなく、まったく未知の世界だ。
 
 その代わり両親が勉強を教えてくれ、宿題を手伝ってくれたかと言えば、そんな覚えもまったくないのだ。
 
 夏休みの宿題で工作があったが、友達の作る作品はみんな素晴らしい。今、よく考えてみたら、きっと親が作ったであろう……(笑)。一方、僕の作品は笑ってしまうような代物だった。
 
 もちろん夏休みの宿題も一切、親は手伝ってくれなかった。お遊戯教室やスイミングスクール、ピアノ教室など、自分の子どもにやらせた習い事とはまったくの無縁。
 
 お陰でサッカーだけは上手くなった。必死になった。好きになった。
 
 親に感謝だ。
 
 話は変わるが僕は毎週、鹿児島ユナイテッドが提携するスポーツクラブのプールで、スイミングと水の中でのウォーキングをしている。
 
 これは昨年の6、7月頃から始めたので、約1年が経った。
 
 理由は早く泳げるようにとか記録を出すためとか、ダイエットのためとかではなく、ただただ健康のためと言って良いだろう。
 
 もちろん幼児期に習ったことのない泳ぎは、アスリートとは思えない(笑)。きっと見てる人には溺れているように見えるのかもしれない……。ただ少しずつの上達を感じながら気持ち良く利用させてもらっている。
 
 そんな週一度のスイミングの時間は、スイミングスクールの時間と重なり、子どもたちがコーチに習うレッスンをよく目にする。もちろん習ったことがないのだから、その泳ぎが優れているのかどうかは分からない。
 
 親御さんたちは、プールサイドの上にある踊り場のような所で見学している。子どもを見守る目は、不安と明るい未来への期待を感じさせる。保護者のなかには、じいじ、ばあばの姿もある。孫の習う水泳をどんな気持ちで見守っているのであろう……。子どものポテンシャルを信じるのであれば、「あのコーチで大丈夫なのか?」と指導者を怪しむ人もいるだろう。
 
 そんな風景は皆さんも想像できるのでは?
 
 レッスンを横目に隣のレーンでウォーキングしながら、(悪い癖で)コーチの目や言葉、子どもを教える態度や表情を観察。
 
 これは職業病なのか……。何か学べることや、感じ取れることがあるのではないかと、ついつい見てしまう。自分のトレーニングをしながらも、同じ指導者として興味を抱いてしまうのである。
 
 スクールの子どもたちは、幼稚園児から小学校低学年、高学年、さらには中学生くらいの子がいる時もある。人数が多い曜日、時間帯とまちまちで、カテゴリーごとに難しさを感じる。
 
 ただでさえ、子供たちを成長させるのは簡単なことではない。バレエやピアノ、何でもそうだが、もちろんサッカーでも小さな子どもに好きになってもらい、上達を促すのはそう簡単にいくものではないだろう。水泳ならば、水に浮くだけで難しいのに前へ進む、早く泳ぐとなれば時間も労力もかなり掛かる。
 
 先日、そんなスクールコーチを見ていたら、少し顔にストレスを抱えながら(あくまでもそう見えただけで、僕の主観だ)、子どもに厳しい口調で泳ぎを教えている女性コーチを見つけた。
 
 2メートルくらいをスーッと出る動きなので、きっと泳ぎの基本なのかもしれない。フォームが大事なのか、出来ている子どもは足のつかない場所から台の上まで運んであげ、コーチからダメ(何がダメなのかは分からない……)だと判断された子はスタート位置に戻される。