韓国紙が代表チームを非難「最終予選は黒歴史」「歯抜け虎」 W杯出場も酷評の理由とは?

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世界6カ国目の9大会連続W杯出場 偉業達成も…「国民に失望と痛みだけを残した」

 韓国代表は9大会連続のワールドカップ(W杯)出場を辛うじて決めた。

 ロシアW杯アジア最終予選グループA最終戦、敵地ウズベキスタン戦は0-0ドローに終わるも2位を死守し、本大会への切符を手にしている。苦しみながらW杯出場を決めた韓国代表に対して労いの声もある一方、韓国紙「スポーツソウル」は「黒歴史」や「歯抜け虎」と酷評した。果たして、その理由はどこにあるのか。

 韓国のW杯9大会連続出場は世界で6カ国目の偉業となった。第1回大会から唯一出場を続けているブラジルはすでにロシア行きを決めて21大会連続となり、ドイツ(16回)、イタリア(14回)、アルゼンチン(11回)、スペイン(10回)の順で、韓国がその次に名を連ねる。

 ところが記事では、「世界6カ国目の9回連続W杯出場を達成したが、国民に失望と痛みだけを残した。最終予選10試合は、まさに韓国サッカーの黒歴史だった」と言及し、偉大な記録には見向きもしない。それどころか、「1986年メキシコW杯から9回連続出場に成功した間、韓国サッカーの危機はあったが、恥ずかしいW杯のチケットを手にしたことはなかった。今回の予選で韓国は歯抜け虎になった」と厳しい論調を展開している。

 なぜ韓国代表は、ここまで批判を浴びるのか。記事ではいくつかの理由を挙げ、説明を加えている。

くすぶる火種に油を注いだのが…

 一つ目は監督の手腕だ。2014年9月に、ドイツ人のウリ・シュティーリケ監督がロシアW杯まで4年間の契約で就任。15年アジアカップでは7大会ぶりの決勝進出を果たし、惜しくも準優勝に終わったが、期待を抱かせる結果を残した。

 潮目が変わったのは最終予選に入ってからだ。初戦のホーム中国戦は3-2で勝利も、続く中立地のシリア戦は0-0ドロー。本拠地カタール戦での3-2勝利で流れに乗るかと思われたが、敵地イラン戦で0-1敗戦と調子を持続できなかった。結局、今年6月の敵地カタール戦を2-3で落として解任が決まり、韓国人のシン・テヨン監督が後を継いだ。

 記事では「シュティーリケ前監督は4勝1分3敗のみすぼらしい成績。86年大会以来、初めて最終予選途中で監督交代」としている。もっとも、シン・テヨン監督の就任以降も状況は改善せず、残り2試合はいずれも0-0に終わった。とりわけ8月31日の本拠地イラン戦では、「6万人の観衆が応援したが、あたふたした90分を過ごした」と失望を露わにしている。

 くすぶる火種に油を注いだのが、主将のDFキム・ヨングォンだった。イラン戦を0-0で終えた後、「サポーターの応援がうるさかったから」と発言して批判が殺到。記事では「ファンが爆発した。結局、彼はイラン戦翌日、ウズベキスタンに行く空港で涙の釈明で謝罪した」と記している。

最終予選の敵地で一度も勝てなかった屈辱

 さらに記事でクローズアップしたのは、敵地での戦績だ。「最終予選では一度も遠征勝利を得られないという屈辱の記録だった」と言及。実際、本拠地では中国に3-2、カタールに3-2、ウズベキスタンに2-1、シリアに1-0、イランに0-0で、4勝1分と好成績を残した。一方の敵地では、シリアに0-0(※中立地シンガポール)、イランに0-1、中国に0-1、カタールに2-3、ウズベキスタンに0-0の2分3敗と未勝利に終わっている。

 最終的に、「最終予選10試合を行いながら、いずれの試合も余裕で勝ったことがなかった」と総括。チームの不振、シュティーリケの更迭、新監督就任後の2戦連続0-0、選手らの失言などで「失ったものが多い最終予選だった」と結論づけている。

 史上6カ国目となる9大会連続W杯出場を果たした韓国だが、その偉業も薄れてしまうほど国内では不満が渦巻いているのかもしれない。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images