今年9月に「11年越しの念願のワイン」を発売するワイナリー

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富良野地方は様々な農産物や乳製品、酪農品などで知られるところですが、ワインもまた特産品の一つとして知られています。富良野はその気候風土が、同じようにワインの産地である北欧に似ているということもあり、同地のワインは一つのブランドに成長してきました。今回ご紹介するのは、その富良野からさらに北、上富良野にあるワイン用ブドウの栽培から醸造までをすべてまかなう新しい個人農場のワイナリーのお話です。

多田農園の2015年メルロ(赤)野生酵母。豊かな香りをたたえ、丸みのある風味で口当たりのやわらかなワイン

多田農園は1901(明治34)年に入植した初代がこの地を切り開き誕生。これまで様々な農産物を作ってきました。その農産物を加工販売し始めたのが20年前。代表的なものに今も人気商品として同農場で販売されているニンジンジュースがあります。ワイン用のブドウの育成を始めたのは11年前、700本のブドウの苗木からスタートしました。収穫が安定した7年前からは同農場のピノ・ノワール、シャルドネ、メルロの品種を外部のワイナリーに醸造依頼することで、上富良野産のブドウのワインとして世に送り出してきました。

2015年メルロ(赤)野生酵母(3780円)。豊かな香りをたたえ、丸みのある風味で口当たりのやわらかなワインです(2017年4月27日完売)。

2015年シャルドネ(白)野生酵母(3780円)。香りが高くキレを感じさせる辛口ワインです(限定生産につき要問い合わせ)。

多田農園のブドウ畑は、その地層内に礫と砂とミネラルを多く含んだ火山灰層があります。また、それに加えて十勝岳や富良野岳からのミネラル分を含んだ良質な伏流水が、地下深く幾層にも存在します。地下深く伸びたブドウの根がこの伏流水を吸収して良質なブドウができあがるのだといいます。

昨年、多田農場では玉ねぎ貯蔵庫として30年、ニンジンの選果場として20年使用したブロック造りの建物を改築して、プレス機と醸造設備を新設。国税庁からの認可も下りて、多田農場は北海道で33番目のワイナリーとして誕生しました。

今年2017年4月に「多田ワイナリー」として初めて醸造された第一号がこれ。北海道産のリンゴを使って自家醸造した「多田シールド 辛口」(756円)です。

そして9月には、念願の「自家農園のブドウ、農園の野生酵母を使い、農場内の醸造所で自家生産するワイン」が生まれます。「いよいよ、というところですね。ここまで道のりは長かったですが、厳しい自然環境中で育ったブドウが醸す野生酵母のワインは、ワインの新しい魅力を感じさせてくれる、と期待しています」と代表の多田繁夫さんは目を輝かせながら話してくれました。

■住所:上富良野町東9線北18号 ■電話:0167・45・5935 ■時間:9:00〜17:00 ■休み:不定休

富良野に新たに加わる新名物。11年越しのワインを、ぜひ味わってください!

【北海道Walker編集部】