「考えるべきは、富をどういう仕組みで再分配するか」

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 AI(人工知能)やVR(バーチャルリアリティ)技術、ロボット技術などが急激に進化し、機械の知能が人間を超える「シンギュラリティ」が近づいていると言われる。

 そうした中で、人間の仕事は、生活は、どう変わっていくのか。ホリエモンこと堀江貴文氏と、メディアアーティストで筑波大学助教の落合陽一氏が「驚くべき近未来」を語り合った。

堀江:そもそもこの世界は富が偏るようにできていて、いまでも8人の金持ちが世界人口の半分の36億人と同じ富を握っているわけでしょ。機械が仕事を全部やるようになっても同じこと。考えるべきは、富をどういう仕組みで再分配するかだけだと思う。

落合:しかし、僕はもう“カリフォルニア帝国支配”が完成しつつあると思っているんですよ。グーグルなどの拠点があるアメリカ西海岸が世界を支配してしまう。富の再分配を考えたとき、さすがに国境を越えて分けてくれることはないのでは……とも思います。

堀江:富の再分配って、要は納得感の問題なんだよね。たとえばジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)がものすごい資産を持っていることを、どこまで羨ましがるか。羨ましいと感じなければ、分けてくれなくても納得できるわけ。

 で、一方ではカリフォルニア帝国のおかげで、生活にお金がかからなくなっているわけじゃないですか。俺なんか、最近、UberEATSのおかげで食事代ほとんどタダだからね(笑)。

落合:(配車アプリの)Uberが始めたデリバリーサービスですね。レストランから購入者のところへ「配達員」が運ぶ。配達員は、スマホで指定されたレストランから購入者に運ぶことで報酬を得る。

堀江:俺がツイッターでつぶやくときにプロモーション・コード(※注1)を入れると、それを見て初めて注文した人と紹介した人の両方に1500円ずつキックバックされるでしょ? それがもう37万円分ぐらいあるから、食べ放題(笑)。そんなふうに、衣食住がどんどんタダに近づいていく。

【※注1/UberEATSのスマホ用アプリで、初回限定のプロモーションが行われている(2月20日現在)。すでに利用しているユーザーから聞いたコードを入力すると、そのユーザーも新規ユーザーも1500円のクーポンが得られる】

 俺がやっているHIU(堀江貴文イノベーション大学校。会員制のコミュニケーションサロン)の会員に、通称“彷徨うヒモデブニート”っていう仕事もなくてぶらぶらしてた不器用な若者がいるんだけど、彼は「日本一のバンジージャンプを跳ぶ事でヒモデブニートに踏み出す勇気を」とかいうワケのわからないクラウドファンディングをやって、18万円も集めているし(笑)。

落合:再分配の流れが変わってきたんですよね。いったん法人に集めてから再分配するのではなく、個人から個人へお金が流れたりしている。「会社から給料をもらう」という従来の流れとは違うお金の循環が生まれつつあります。

堀江:そうなると、みんなが結婚して子供を作ってマイホームを建てて車を持って……みたいな旧来型の社会でさえなくなれば、月5万円程度のベーシック・インカム(※注2)が配られればかなり豊かに暮らせる気がする。

【※注2/国家が国民に対して最低限暮らせる額の現金を支給するという仕組み。資本主義の行き詰まりとともに議論される機会が増え、フィンランドではこの1月から試験導入が始まった】

落合:ずっと学生でいるような生き方ですよね。

堀江:そうそう。いまはまだそういう生き方に心理的な壁があるけど、本音では「面倒臭いからべつに結婚しなくていい」「仕事したくない」と思っている人も多いでしょ。それを堂々と言える社会になれば、変わるんじゃないかな。正直、もう会社なんか行かなくていいんじゃないですか?

●ほりえ・たかふみ/1972年生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。株式会社ライブドア元代表取締役CEO。『ゼロ』『本音で生きる』など著書多数。

●おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大助教。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。著書に『これからの世界をつくる仲間たちへ』などがある。

※SAPIO2017年4月号