任天堂スイッチに関する「重大な懸念」 米国人記者が指摘

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任天堂の新しいゲームコンソール「ニンテンドースイッチ」の発表が行われた直後、メディアやファンの多くは、ローンチタイトルのあまりの少なさに困惑した。

新作ゲームは「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「1-2-Switch」「いっしょにチョキッと スニッパーズ」「スーパーボンバーマン R」の4作しかない。他にリリースされる7タイトル(「魔界戦記ディスガイア5」「Steep」「Just Dance 2017」「いけにえと雪のセツナ」「ぷよぷよ テトリスS」「Rayman Legends」「Skylanders」)は、全て過去に他のゲーム機向けにリリースされたものだ。

ゼルダのトレーラーの余韻に浸る間もなく、筆者はスイッチが大失敗に終わったWii Uの二の舞になるのではないかという不安に駆られた。スイッチはWii Uよりも機能面で上回り、将来的には大型タイトルのリリースも予定されているが、任天堂の根本的な姿勢は何ら変わっていないように思えるのだ。

Wii Uは「マリオカート8」「大乱闘スマッシュブラザーズ」「スーパーマリオメーカー」「スプラトゥーン」「ゼノブレイド」「スーパーマリオ 3Dワールド」など人気タイトルが多かったにも関わらず失敗に終わった。

スイッチも、ゼルダ以外に「スプラトゥーン2」や「スーパーマリオ オデッセイ」が年内にリリース予定で、今後も自社製の大型タイトルが年間1〜3本程度のペースでリリースされるだろう。

しかし、サードパーティのゲームはWii Uの時と同様にそれほど増えないように思える。また、スイッチの最大のセールスポイントは持ち運びができることであるにも関わらず、発表では携帯ゲームに最適なポケモンゲームについては何も触れず、噂された「Pokemon Stars」(3DS版「ポケットモンスター サン・ムーン」のスイッチ版)に関する発表もなかった。

ゲーム会社との信頼関係を喪失?

サードパーティの協力がこれほど少ないゲーム機の発表会は初めてだ。日本のパートナー以外では、EAが「EA SPORTS FIFA」を、Ubisoftが「Just Dance」「Rayman」「Steep」を、ベセスダが「Skyrim」をリリースするのみだ。「Skyrim」に至っては、5年前に開発したもののリマスター版で、既にライバルゲーム機向けに提供されている。それにも関わらず、スイッチ版のリリースは秋になる予定だという。

任天堂は、またしても外部のゲーム開発会社と信頼関係を築くことに失敗したのだ。自社製の大型タイトルを年間2〜3本リリースできたとしても、サードパーティ製ゲームのラインナップが少なければXboxやPS4との競争に勝つことはできない。Wii Uも全く同じ理由で失敗したにも関わらず、任天堂は同じ轍を踏もうとしている。

スイッチのローンチタイトルはゼルダで、一見すると華々しいのだが、新作が4本しかないことを考えると、ゼルダファンでなければスイッチを買わない可能性がある。しかし、ゼルダをプレイするために360ドルを支払うのは決して安い買い物ではない。

また、ゼルダのようなRPGのファン層は、任天堂のゲームで最も人気が高いマリオカートや大乱闘スマッシュブラザーズに比べると意外と少ない。

さらに「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」はWii U向けにも発売される。Wii Uは失敗に終わったとはいえ1,300万台が売れており、Wii Uユーザーはわざわざ360ドルを支払わなくてもゼルダをプレイすることができるのだ。

スマホゲームとの差別化はどうする

スイッチの問題は、ソフト面だけではない。任天堂は発表会でジョイコンを使って遊ぶ「ワン・ツー・スイッチ」や「ARMS」を紹介し、スイッチがWiiの後継モデルであることをアピールしていた。しかし、これらのゲームがWiiスポーツのようにゲームファン以外をも熱狂させることはできないだろう。また、ゲームファンにとっても、スイッチを選ばなくても、他に機能が優れたゲーム機はいくらでもある。

スイッチがWiiとWii Uや他のゲーム機に勝る点があるとしたら、それは持ち運びができる点だ。しかし、任天堂はプレゼンテーションにおいて、この点についてほとんど触れなかった。背景には任天堂のハンドヘルド戦略が不透明であることが挙げられる。

ゲーム機を携帯できるのは大きなメリットだが、今後スイッチが3DSに代わるハンドヘルド機となるのか、あるいは新たな機器をリリースするのかは不明だ。任天堂はこうした疑問に答えなかったばかりか、3DSの売れ行きに影響しないようにあえてスイッチの携帯性をアピールしなかったようにも見えた。

仮にスイッチが任天堂の次世代ハンドヘルド機であったとしたならば、今後はスマートフォンやタブレットとの棲み分けを明確にしなければならない。任天堂はスマホゲームにも進出しており、スイッチの購入を検討している人に対して、スイッチを選ぶメリットをしっかり説明できなければならない。しかし、任天堂は将来について明確な答えを持っていないようだ。