甘いものヤメラレナイ! そんなあなたは要注意

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執筆:山本 ともよ(管理栄養士)

アルコール依存症、ニコチン依存症などと同様、食物にも依存性があります。その依存性は、砂糖による研究で明らかになりました。

砂糖を摂取したラットからはドーパミン(幸福を感じる脳内物質)が放出され、この快感が動機となり、砂糖摂取を反復することにより依存性が生じたのです。

さらに砂糖の供給を絶たれたラットは、脳のドーパミン量が下がり、歯をガタガタさせる、トンネル内に引きこもる、などの離脱症状が起こしました。空腹時に砂糖を多量摂取するラットの脳内では、コカイン・モルヒネ・ニコチンなどの依存性物質による変化と似た化学的な変化が起こったのです。

このような研究から、砂糖、それに限らず食物にも依存性があるのではないかと言われているのです。ただし、現在のところは、食物の特定物質が依存性を誘発しているという事実はありません。

この「砂糖の依存性」をさらに詳しく見ていきましょう。

砂糖に依存性はある?

特定の食品が依存性物質とならなくても、砂糖が依存性をもっていることは事実です。その理由は、砂糖が体内で消化吸収されるプロセスにあります。

砂糖を摂取すると、体内に吸収されて血糖値が上がります。糖質の中でも砂糖は分子が小さいために体内で分解されやすく、特に空腹時に砂糖を摂取すると血糖値が急激に上昇します。その結果、血糖値を下げる働きを持つインスリンが大量に分泌されて、血糖値が急降下し、低血糖状態を引き起こします。

そして、体内が「低血糖」状態になると、脳がエネルギー不足で「空腹だ」と勘違いし、糖分を摂取して血糖値を上げろという信号を出してしまうのです。

このため、砂糖を食べた後に、繰り返し砂糖を欲するようになるのです。


この「砂糖中毒」とも言える状態で砂糖を欲するまま多量に摂ってしまうと、身体にはさまざまな害を及ぼします。

血糖値の急上昇や急降下により、冷え、肩こり、肌荒れ、集中力の低下、イライラなどの症状を引き起こします。また、カロリーの摂りすぎによる肥満、そこから起こる生活習慣病、低血糖症、糖尿病、うつ病などの病気に繋がる可能性もあります。

「砂糖中毒」にならないために


砂糖自体が依存性物質というより、「食べる」という行為に依存していることが考えられます。そのため、依存性物質に比べると、比較的離脱しやすいと言われています。

砂糖中毒から脱する、あるいはその予防のため、生活の中でできる方法を上げてみましょう。

1.1日3食、栄養バランスのとれた食事


栄養不足になると、身体は栄養素を欲します。また、「食べていない」という気持ちは、食べたいという欲求につながり、食べた時の報酬に繋がります。

2.甘いもの以外でストレス解消


ストレスが原因で甘いものをたくさん食べている場合は、砂糖を断つ前にストレスを解消することが優先です。

3.砂糖の代わりに果物


甘いものを食べたくなったら、甘い果物を食べましょう。果物にも糖分が含まれていますが、砂糖と比べると吸収されるスピードが遅く、血糖値の急な変動を防ぎながら満足感が得られます。

いかがでしたでしょうか。
「砂糖中毒」に限らず、どんな食べ物でも摂りすぎは控え、バランスの良い食事を1日3食、しっかりと食べることが大切ですね。


<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中