「私たちのハーモニーは“思いやり”でできている」――Kalafinaが奏でる美しい音に隠されたヒミツ
3人の女性ヴォーカルによる伸びやかで美しいハーモニーと壮大な世界観を持つ楽曲で、日本はもちろん海外でも人気拡大中のKalafina。NHK『歴史秘話ヒストリア』やアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』などのテーマソングで、耳にしたことのある人も多いはずだ。この夏リリースされたシングル『blaze』から、秋に控えるアリーナライブまで、そして一見ミステリアスな3人それぞれの素顔について、じっくりと話を聞いた。

撮影/後藤倫人 取材・文/江尻亜由子 ヘアメイク/Daisuke Mukai        

デビューから8年半…歌い続けていられる幸せ。



――Kalafinaは当初、劇場版アニメ『空の境界』主題歌プロジェクトのために結成されました。そこから8年半、「ここまで続けていられるとは思わなかった」という発言もされていますよね。

Wakana そうですね。当初はライブをやらないアーティストとして、デビューさせていただきました。3人で活動する時間も、そんなに多くなかったですし。
Keiko 自分たちにとっては劇場版『空の境界』が、生みの親となる作品。私たち自身、作品への愛情もすごく深くあります。
Hikaru 最初は『空の境界』という作品が終わったときに自分たちも解散、ってことになるんじゃないかなと思っていました。そうならずに、次々に新しい作品との出会いがあったりして、こうやって歌い続けていられるのは、幸せなことだと思います。

――『魔法少女まどか☆マギカ』など人気アニメ主題歌で、その名を大きく知らしめたと思うのですが、いかがでしょう?

Keiko 日本の音楽シーンの中で、アニメというものが本当にたくさんの方に愛されていて。それがさらに世界中に広がっている今の時代に、自分たちが偶然にもリンクしていけたことは、音楽活動を8年半もやらせていただいていることにつながっていると思います。
Wakana 2年目からライブがスタートしたことも大きいですね。最初は3人で本当に試行錯誤しながらリハーサルを重ねて大変でしたけど。ライブができることは、今、私たちにとってすごく大切で必要なこと。いろんな場所で、たくさんの方に歌を届けられることができるようになって、本当によかったなと思います。
Hikaru この3人だからこそ、ロックだったりクラシックだったり、いろんな楽曲を歌わせてもらえていて。

――Wakanaさんはクラシックの声楽を学び、Keikoさんはロックヴォーカルデュオの活動経験があり、Hikaruさんはミュージカル経験者。3人それぞれの音楽的なバックグラウンドが違うことが強みになっていますよね。

Hikaru ジャンルにとらわれずに、いろいろな曲を歌わせていただけているのは、この3人でやってきたからこそだと思います。これからもいろんな曲にチャレンジしながら、Kalafinaの音楽の軸は変えずに走り続けていきたいです。



Kalafinaメンバー紹介〜Wakana篇〜



――さて今回は、ライブドアニュースに初登場ということで、おひとりずつのキャラクターについても伺いたいと思います。ではWakanaさんから。

Wakana 高音域を担当するWakanaです。とりあえず私は…うるさいと思います(笑)。3人の中での役割というと…にぎやかし?
Keiko あははは。Wakanaは初めての方でも一瞬でわかると思いますけど、ムードメーカーですね。やかましい、じゃなくて面白い、ですから。
Wakana でも私、このふたりだからここにいられるんです。大きな組織に所属していたら、たぶんうるさいって言われちゃうと思います。
Hikaru 大きな組織…?(笑)
Wakana 20人とか40人とかのグループだったら、「ちょっとアイツはほっとこうぜ…」みたいな感じで、だいぶ“かやの外”だと思うので(笑)。
Keiko 私たちは、ほっとかないからね。

――Keikoさんから見た、Wakanaさんの印象は?

Keiko Wakanaは生き急いでる。
Wakana 確かに、せっかちですね…。急いじゃうかも。しゃべりたいことがまとまってないのに、話し出しちゃうこととかもあります(笑)。
Keiko たとえばライブ前はその傾向が顕著で、「あっ、あれ忘れた! あっ、これやるの忘れた!」ってひとりでバタバタしてる(笑)。そんなところもかわいいんですけどね。

――Hikaruさんから見て、いかがですか?

Hikaru Wakanaは人の声が聞ける人。みんなでしゃべっていても、いろんな人の話を聞いていて。こっち(右側)のグループで話をしてたかと思ったら、「それはね」って左側のグループの話にも入って行ける耳をお持ちなので(笑)。聖徳太子みたいで、それはスゴいなって。
Wakana そんな大それたものじゃないんですけど、なんか両方の話を聞いちゃうんですよね。こっちでしゃべってても「そうそうそう!」って(もう一方のグループのほうへ)行っちゃう。なるべくレシーブは返したい、みたいな。
Keiko こっちで最初に話してた人たち、ちょっと寂しいような…(笑)。
Wakana あ、それは申し訳ない。このクセは直します! 今は“大せっかち”だけど、年内に“中せっかち”を目指して、来年には“小せっかち”くらいに。
Keiko もう変わらないよ(笑)。それがWakanaのキャラクターだから、そのままで全然いいし、変わらないでほしいな。

――オフの日は、どんなふうに過ごすことが多いですか?

Wakana ひとりで映画を観に行ったりとか、アート的なものに触れるのもすごく好きなので、美術展に出かけたりしますね。最近だと『ジブリの大博覧会』に行きました。で、必ず最後には「あれを食べたい」っていうものを決めて食べに行きます。



Kalafinaメンバー紹介〜Keiko篇〜



――続いてKeikoさん、お願いいたします!
 
Keiko 私は低音域の担当です。役割としては、いい緊張感を出すことですかね。まとめ役とはちょっと違うけど、MCでとっちらかったら元に戻したりとか、みんなで何かやるぞっていうときの掛け声をかける担当だったりとか。

――引き締め役というか。

Keiko 引き締め役、いいですね(笑)。基本、何事にもきちんとしたいタイプなので。
Wakana Keikoは自分に厳しいと思う。そこはスゴいなって尊敬しています。
Keiko 全然厳しくない。普通だよ。
Wakana …って言うんですよ(笑)。大体、何か言うと「ううん、そんなことない」って返してくるから、どう褒めたらいいんだろうなって…。

――きちんとしたいというと、楽屋でもKeikoさんのスペースはキレイとか?

Keiko Kalafinaの楽屋が散らかってることは、まずないですね。そこは女子ですから。

――女性グループだと、ひとりくらいメイク道具や衣装とか、いろんなモノを置きっぱなしにする人がいる、みたいなことも聞きますけど。お家も、常に整理整頓されているんですか?

Keiko 片付いていないときは、ないです。常に片付けているので。
Wakana これは、ホントにスゴくて。Hikaruと私がKeikoの家に行くことになって「ごめん、今日何もしてないの」って言われて入ったら、「どこのホテルよりもキレイだよー!!」って感じでビックリしました(笑)。靴を脱ぐことすらためらうほどキレイで。
Hikaru めっちゃキレイですね、って言いながら(笑)。

――おふたりがKeikoさんのお家に行くのは、完全にプライベートで?

Wakana MCの打ち合わせだったりとか、やっぱり仕事ですね。
Keiko 外だとガヤガヤしてるしね。3人でくつろぎながら映像チェックや打ち合わせをしたいときって、誰かの家に集まるほうがラクなので。
Wakana あと他にKeikoのキャラでいうと、人をよく見ているので、いいタイミングですっと手を差し伸べることができるんですよね。そこが女性として素敵だなと思います。私はおせっかいになっちゃうので。「(早口で)大丈夫? 大丈夫?」みたいに詰め寄っちゃうから(笑)。

――(笑)。Hikaruさんはいかがですか?

Hikaru Keikoは「これをやる」って決めたら、最後まで突き詰めるタイプ。何事も中途半端では終わりにしないので。たとえば化粧品もそうだし。
Keiko あっ、そうかも。

――化粧品?

Hikaru 何でも使ってみてから是非を決めるよね。実際にやってみて、それが自分にとっていいものか、そうじゃないのかっていうのを、ちゃんと試すんです。
Keiko 実験型なんです。化粧品なら1〜2回使ってダメ、とかじゃなく1本使い切って判断するとか。
Wakana ジャッジも厳しいから、ちょっと良くなるとかじゃなくて「こんなに良かったよ」っていうのをちゃんと教えてくれて。ホント助かってる(笑)。
Hikaru どのクチコミよりも頼りになります(笑)。

――オフの日は、どんなふうに過ごすことが多いですか?

Keiko 掃除とトレーニングはマストでやっています。あとは季節にあわせて、夏なら友だち大人数とワイワイしながら、海やプールに行ったり。わりとアクティブに過ごしてますね。



Kalafinaメンバー紹介〜Hikaru篇〜



――ではHikaruさん、お願いいたします。

Hikaru 高音域から中音域担当のHikaruです。3人の中での役割としては…自由なのかな? 私は、自由にしていいポジション(笑)。
Keiko そうだね。Wakanaとは違った自由。
Hikaru もともと話すのが苦手なので、ホントに初期の頃はインタビューをしてもらってもほとんどしゃべることができなくて。ステージ上でも最初の挨拶しかできなかったんですけど。徐々にふたりが普段の会話から私を入れてくれて、ステージとかインタビューとかでも話せるようになったんです。
Wakana 最初に比べたら、だいぶ話すようになったよね。
Hikaru ふたりが、その心の余裕をくれたんです。「少しずつでいいんだよ」って。性格的には頑固なので、あんまり突然何かを変えるとかはしないです。
Wakana Hikaruはやりたいことが明確だよね。私はいろんなものに興味があって、「どれにしよう」って迷ってしまうんですけど、きっと彼女は迷わずに「これ」って自分の行く先を決められる。そういう性格はいいなって思います。
Keiko Hikaruについては……妹キャラなところは、最初から変わらないですね。性格は確かに頑固かもしれないけど、ひとつの芯を持っているというのは、アーティストとしてとても大切なことだと思うんです。トライする欲もすごく強いし。
Wakana 自分が興味を持ったものにきちんと向き合ってやってみる、トライするっていうのは、私もすごくいいなと思います。
Keiko どん欲でもあるしね。ブレない部分はありながらも、柔軟にトライをし続けているっていうのが、お客さんからしたら意外かもしれないけど、Hikaruの魅力かなと思いますね。

――オフの日は、どんなふうに過ごすことが多いですか?

Hikaru ほとんど家にいますね。撮り溜めていたアニメを見たり、バラエティを見たり。あとはマンガを読んだりとか。ベッドの上でごろごろしてることが多いです。
Wakana 自分では「お家が好き」とか「あんまり外に出ない」って言うけど、自分の好きなものに対しては、行動力を発揮することを私は知っています!(笑)