昭和の終わり頃だろうか。いろんな雑誌にあった「文通相手募集コーナー」でペンフレンドと知り合い、手紙のやりとりをしたことがある人、案外と多いのでは?

当時は実名や住所を公開して募集していたため、個人情報保護の面から、またネット普及などから、時が経つにつれ文通文化の影は薄れていった。それが最近、再び人気が高まっているという。
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・今は個人情報を知らせずに文通ができるサイトがあるとかで、またやってみたい!
・アメーバさんにも文通募集のグルぽがあったのを先程知り、興味津々です!

という書き込みがあるように、ブログサービスのコミュニティでの募集や、個人情報を出すことなく文通できるサービスなど、インターネット上で気軽に文通相手を探せる仕組みが増えてきたことが、文通人気に弾みをつけているようだ。

ただ、文通への関心が高まっているのは、“間口が広がってきたから”だけじゃなさそうだ。急激にSNSが発展し、素早く手軽にやりとりできる状況に便利さを感じる一方で、

・効率的で便利になったからこそ、アナログに安らぎを求める気持ちが生まれます
・一日、二日かかってもゆっくりと進むものがあってもいいなぁ♪と思います
・短い文章とスタンプは正直便利です。でも、よく考えると、味気ない感じもします

など、インターネットの世界から一歩離れて、時間や手間をかけることを見直したいという動きが見られ、その形の一つとして、手書きの手紙に注目が寄せられているようだ。

手書きには、

・何を書くか考えたり郵送という方法の中でどう伝えるか頭を悩ませることが楽しい
・字に自信がなくても少しくらい文章が下手でも、思いが伝わるのはメールより手紙
・書くことで、自分の思いを文字として出すことで、心が軽くなることがあります

など、相手を思いながら丁寧に書き綴ることができる魅力を感じている人も多い。

また、ネットのやりとりでは実現しにくいこと、例えば、

・手紙なら、複数の話題を同時に進めることができるんだよね
・文通となれば、読む人は限定されるよね?その分、書きやすいかも
・自分の主張のタイミングを逃すことがない

など、特定の人にじっくり伝えたいことを、自分のタイミングで伝えられることに魅力を感じている人もいるようだ。

さらに、経験者の書き込みを見ると、相手がどんな人か想像したり、返事を待ったり、便箋や切手など文通グッズを選んだり、様々な想い出と共に文通の魅力が語られており、あのワクワクを再び味わいたいと感じている人も少なくない。

・相手がどんな人か想像するのは、ネットの比ではないほどワクワクドキドキした
・郵便受けに自分当ての手紙があるとそれだけで嬉しくなります
・私は今、素敵な万年筆が欲しいです。それで手紙を書くのが小さな夢です

思いをしたためる落ち着いた時間と、青春時代の心弾んだ記憶。ネットに振り回されることのない文通は、忙しい現代社会において、贅沢なコミュニケーション方法なのかもしれない。

(高宮真琴)