美声を生かしたダイナミックな語りが魅力の豊竹芳穂太夫(47)。近年は、ベテランの三味線弾き、野澤錦糸と組むことで、その表現に繊細な抑揚も加わっている。国立劇場第十六期歌舞伎俳優研修生から文楽入りするという異色の経歴の持ち主である彼は、どのように文楽にたどり着き、この道を歩んでいるのだろうか? 文楽と無縁の家庭で育つ 大阪の芸能である文楽の世界の標準語は、大阪弁。このため、大阪以外の出身者は苦労すると