ガリウム金属業界動向:2026年の市場規模は206百万米ドル見込み
ガリウム金属は融点29.77℃という極めて低い融点を持ち、手の熱でも液化する特異な金属である。一方で沸点は約2204℃と高く、優れた電気伝導性、耐熱性、化学的安定性を兼ね備える。毒性は低いものの、アルミニウムなどと容易に合金化するため、取り扱いにはガラスや樹脂製容器が用いられることが一般的である。
産業用途では、ガリウム金属はGaN(窒化ガリウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、Ga?O?(酸化ガリウム)など化合物半導体の基幹材料として不可欠である。これらは従来のシリコン半導体より高周波・高耐圧・高効率動作を実現できるため、高速通信基地局、データセンター、レーダー、衛星通信、LED、太陽電池など幅広い分野で採用が拡大している。
ガリウム金属は、次世代半導体、5G通信、電気自動車(EV)、再生可能エネルギーなどの先端産業を支える重要なレアメタルとして存在感を高めている。近年はAIサーバーや高効率電力変換デバイスへの投資拡大に加え、各国で重要鉱物の安定調達政策が強化されており、ガリウム金属の戦略的価値はこれまで以上に高まっている。市場では「高純度化」「供給安定化」「リサイクル技術」が重要な競争軸となっている。
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図. ガリウム金属の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「ガリウム金属―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、ガリウム金属の世界市場は、2025年に195百万米ドルと推定され、2026年には206百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)6.4%で推移し、2032年には298百万米ドルに拡大すると見込まれています。
ガリウム金属市場を支える成長ドライバー
ガリウム金属市場の成長を牽引する最大の要因は、第3世代半導体市場の急速な拡大である。AI計算需要の増加に伴い、高効率電源や高速通信デバイス向けGaNパワーデバイスへの投資が世界各地で活発化している。また、EVの急速充電システムや再生可能エネルギー向けインバーターでは、エネルギー損失を低減できるGaNデバイスの採用が進み、市場拡大を後押ししている。
この半年間でも、多くの半導体メーカーがGaNパワー半導体の量産能力増強を発表し、通信機器メーカーでは高周波GaAsデバイスの採用が継続的に拡大している。加えて、各国政府が重要鉱物のサプライチェーン強化を推進していることから、ガリウム金属の安定供給体制構築に向けた投資も活発化している。
地域別市場動向と供給構造
世界のガリウム金属市場は中国が圧倒的な優位性を維持しており、生産・消費ともに世界全体の約50%を占めている。これはアルミナ精製工程で副産物としてガリウムを回収できる巨大なアルミニウム産業基盤を有することが背景にある。また、中国では国家レベルで半導体材料の自給率向上が推進されており、供給競争力をさらに高めている。
製品別では一次ガリウムが世界供給量の約69%を占め、市場の中心となっている。比較的低コストで安定供給が可能な点が評価され、電子デバイスや光電子部品メーカーから高い需要を維持している。一方、リサイクルガリウムは資源循環の観点から期待されているものの、高純度化工程や回収効率の課題により、市場規模は依然限定的である。

