(5) 第三者検証APIの最低要件を定義

-01ではSilverレベルで第三者検証エンドポイントが必須(REQUIRED)とされていましたが、具体的なプロトコル定義がありませんでした。-02では5つのHTTPエンドポイント(アンカー取得、チェーン整合性検証、完全性不変条件検証、Merkle包含証明、リアルタイムストリーム)を定義し、認証方式とエラーレスポンスの仕様も含めました。

(6) IANAレジストリの正式定義

-02では、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)への登録テンプレートとして、メディアタイプ2種(application/vap-evidence-pack+zip、application/vap-manifest+json)、ドメインプロファイル識別子レジストリ、およびイベントタイプレジストリを定義しました。これはIETFの標準化プロセスにおいて、仕様の再利用性と他プロトコルとの相互運用性を確保するための重要な要件です。


■ セキュリティとプライバシーの強化

-02ではRFC 3552(セキュリティ考慮事項の記述ガイドライン)に準拠し、12の具体的な脅威分析(ハッシュチェーン改ざん、タイムスタンプ操作、内部脅威、鍵の漏洩、プライバシー漏洩、可用性攻撃など)を文書化しました。

また、ソルト(salt)管理について、低エントロピーフィールド(弁護士登録番号、事件番号など)に対してHMAC-SHA-256の使用を必須化し、辞書攻撃への耐性を強化しました。GDPR(EU一般データ保護規則)との関係についても、暗号学的消去(crypto-shredding)によるデータ削除と監査証跡の両立手法を明記しています。


■ 関連する既存IETF仕様・標準化活動との関係整理

-02では、IETF SCITT(Supply Chain Integrity, Transparency and Trust)、RATS(Remote Attestation Procedures)、AIPREF(AI Preferences)などの既存ワーキンググループ活動との関係を明確に整理し、各仕様との役割分担を示しました。VAPは「AIが何をしたか」を記録し、RATS/EAT(RFC 9711)は「AIシステムが何であるか」を証明するという相補的な関係にあります。


■ ポスト量子暗号への対応準備

NIST FIPS 204で標準化されたML-DSA-65(格子暗号ベースのデジタル署名)を将来のMTI(Mandatory-To-Implement)候補として位置づけ、古典暗号とポスト量子暗号のハイブリッド署名による段階的移行手順を明記しました。これは、量子コンピュータの実用化に備え、法律文書の10年以上の長期保存要件に対応するものです。


■ 本Internet-Draftの位置づけ

VAP/LAPは、AIの「便利さ」ではなくAIの「証明可能性」に焦点を当てた技術仕様です。すべてのAI生成を記録し、すべての判断を第三者が検証できることを暗号技術で保証します。