TBSの情報番組「サンデーモーニング」(日曜午前8時)は2000年代半ばから15%前後の高視聴率を獲得し続けている。保守を標榜する人たちからは「偏向番組」などの誹りをよく受けるが、人気番組であるのは間違いない。支持されている理由を深掘りする。

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 「サンデーモーニング(以下、サンモニ)」がスタートしたのは1987年10月。バブル真っ盛りのころだった。

 昨年9月、その長寿番組を保守派の論客であるケント・ギルバート氏(67)が批判した。ネットテレビの番組内でのことだった。「サンモニ」は変節したというのだ。

「以前は(右派、左派)両方の意見を出す番組だった。高市早苗さんも辛淑玉さんも出ていて、(だから議論になり)結論が出ないままCMに入ることもあった」

関口宏

 今は議論がないと嘆いたケント氏。「サンモニ」と無関係の人ではない。1987年から97年まで、コメンテーターとしてレギュラー出演していたのだ。

 現在の「サンモニ」がスタジオにケント氏を招くとは、ちょっと思えないので、本当に変わったのかもしれない。

 左傾化したのか? それについて司会の関口宏(75)は、出演者とスタッフに「放送人グランプリ2015」が贈られた2015年5月、こう語っている。

「番組をスタートしたときは『真ん中に』が合言葉でしたが、気が付くと『左』のほうに誰もいなくなっちゃって」

 ずっと同じスタンスでやってきたが、左寄りの番組が次々と消えたため、自分たちがそう見られるようになってしまった、という意味だろう。

「左寄りと見られていることが高視聴率の要因になっている」と意外な分析をするのはライバル局のプロデューサーである。

「『サンモニ』の個人視聴率を見ると、M3層(50歳以上の男性)、F3層(同女性)、はよそを圧倒しているが、それ以外の層はそう強くない。シニア層とシルバー層を取り込めたので、高視聴率が得られている。もともと心情左翼が多い団塊の世代やその下の世代に、反権力的に映る『サンモニ』はウケるのでしょう。また、将来が不安で国に苛立っているような50代以上にも支持されているのだと思います」(民放プロデューサー)

 たしかに、各世論調査の結果を見ると、立憲民主党の支持者は60代、70代に多い。共産党の支持者も高齢化した。無党派層の反安倍勢力も年齢層が高いというのが通説である。ケント氏ら保守派は評価しない番組内容だが、皮肉なことに、だからこそシニア層、シルバー層を引き付け、高視聴率を得ているのかもしれない。
出演者は関口宏の“身内”が多数

 そもそも、シニア層、シルバー層が好む番組は高視聴率が得られやすい。少子高齢化によって、視聴率調査のためのサンプル世帯(関東地区は900)の住民年齢も上がっているうえ、シニア層とシルバー層のほうがテレビをよく見るからだ。

「サンモニ」は6月16日放送分も14・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高い視聴率を記録した。同時間帯でトップである。時間帯トップは10年も以上続いている。この日は同じ日曜の夕方に放送される「笑点」(日本テレビ)の13・9%も上まわった。

 ほかに高視聴率の要因として、よく言われるのがスタジオ内の雰囲気の良さだ。TBSの情報番組、ニュースのセットは伝統的にセンスがいい。

 また、出演陣の息も合っている。ただし、これには「サンモニ」独特の事情がある。

「関口さんが会長を務める芸能プロダクション『三桂』の所属者が出演陣に多いことも影響しているでしょう。関口さんからすると、身内なのですから」(前出・民放プロデューサー)

 数えてみると、本当に多い。コメンテーターだと政治学者の姜尚中氏(68)、涌井雅之氏(73)、カメラマンの浅井慎平氏(81)、スポーツジャーナリストの中西哲生(49)、大阪国際大学准教授の谷口真由美さん(44)らがそう。サブキャスターは橋谷能理子さん(57)唐橋ユミさん(44)が三桂である。

 番組をリードする関口にしてみれば、身内が周囲にいたほうが安心して生放送に臨めるだろうし、たしかにチームワークもよくなるはずだ。とはいえ、ニュースや情報番組に欠かせない「意見の多様性」は担保できるのだろうか?

 所属プロダクション会長の意見に異を唱えるのは気が引けるのではないか。少し心配になる。そういえば番組内で議論を見ることはまずない。ケント氏の指摘どおりである。

ネックは若い視聴者

 さて、核となる視聴者層の年代に合わせているのか、「サンモニ」は高齢の出演者が目立つ。関口が75歳なのをはじめ、スポーツコーナー「週刊御意見番」を仕切る野球評論家・張本勲さんも78歳。コメンテーター陣も日本総研会長の寺島実郎氏が71歳、元衆院議員の田中秀征氏が78歳、造園家の涌井雅之氏は先に書いたとおり73歳。カメラマンの浅井慎平氏も同じく81歳だ。

 人生を知り尽くした顔ぶれが現在の視聴者層には合っているのだろう。ただし、ここ1、2年でスポンサーと広告代理店は個人視聴率を重視する考えを強めている。若い視聴者が見る番組のCMには高値が付くが、シニア層、シルバー層に支えられている番組のCMは売りにくくなっている。スポンサーには若い視聴者の購買意欲の強さが魅力なのだ。

 今、公表されている視聴率は世帯単位で計測されたもの。その数字が新聞や雑誌に掲載されている。この記事に書いた「サンモニ」と「笑点」の視聴率もそう。だが、近い将来には個人視聴率が番組の人気度を表す物差しになる。

「日本テレビは今年に入ってから、はっきりと『これからは個人視聴率重視』と社内通達しています。他局も後を追うのは間違いありません。いくら視聴率が良くたって、若い視聴者が見てくれる番組でないと、CMが売れないのですから。個人視聴率の時代が到来すると、『サンモニ』は厳しいでしょう」(同民放プロデューサー)

 この言葉どおり、既に日テレは若い視聴者を意識した番組づくりを始めている。「サンモニ」と同じ時間帯の情報番組「シューイチ」も明らかにミドル層以下の視聴者を意識している。タレントの中山秀征(51)と女優の片瀬那奈(37)がキャスターを務めているほか、ジャニーズ・アイドルであるKAT-TUNの中丸雄一(35)をコメンテーターに起用しているのだから。

「シューイチ」は硬派ネタが中心の「サンモニ」とは違って、エンタメ情報やレジャー情報も扱っている。反権力的な臭いは微塵もない。その結果、若い視聴者の取り込みに成功し、通常の視聴率のほうでも2桁の好成績を記録することが少なくない。

「『シューイチ』のCMの売上高は、『サンモニ』と同等以上でしょう」(前出の民放プロデューサー)

 「サンモニ」は個人視聴率の時代になったら、どう軌道修正するのだろう。それとも、あくまで現在のスタイルを貫くのか。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月23日 掲載