照れつつ記念写真

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表参道で仮想ホスト体験してきました。
ホストクラブ、ホストと聞いて思い浮かぶのが、映画「闇金ウシジマくんPart2」(14年)。門脇麦演じる小銭も大事にする真面目な女の子が、窪田正孝演じるホストにはまって転落していくという悲劇の印象が強くて、ホストクラブはのぞくな、危険と自分を律して生きてきました。
ですが、今回は、ホストのメッカ・歌舞伎町ではなく、表参道です。歌舞伎町のホストさんが出張という形ではありますが、表参道だと俄然行きやすいです。
しかも無料です。これは行くしかない。
そう思った人が多かったようで、事前予約はあっという間に埋まっていましたが、幸運にも空きに滑り込めたので、ライター仲間の柚月裕実さんを誘って行って参りました。
仮想ホストクラブは、 表参道ヒルズにあるセレクトリサイクルショップPASS THE BATONの中に作られていました。
こちらのお店が、歌舞伎町のスマッパグループを呼んで『Beyond the border ─歌舞伎町 ホストクラブの世界─』(2月26日〜3月15日*本日まで)というイベントを企画したのです。

ハイセンスなものが並ぶショップの奥に、夢の島みたいに、お酒の瓶が積まれていて(歌舞伎町のホストクラブ半年間くらいの消費量約6000本だとか)、その中央の窪みに、ゴージャスなソファが。え、ここに座るの? と怯んだら本当にそうで、4人のホストさんが現れて、ソファに座るよう促してくれました。隣に2人、正面に2人に囲まれて、ドリンクのオーダーをしたら、トーク開始。制限時間は20分。
まずは名刺をくれ、自己紹介されました。
スマッパ・ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン(ベルサイユのばら的なイメージのお店)から来た斗也さん、ヴェニス(ヴェニスの仮面舞踏会的なイメージのお店)から来た天草銀さん、アピッツ(夜のロハスをテーマにしているらしい。夜のロハスってなんだろう???)から来た天翔さん、ホストクラブ事業部統括のモンキー・D・ルキさん。
見た目も名前も華やかな彼らは、歌舞伎町で営業しているスマッパ・グループのホストさんたちで、このグループは歌舞伎町の清掃活動も行っていて、歌舞伎町のホストのイメージのクリーン化に一役買っているようです。
こういう活動のみならず、最近のホストさんは、昔のギラギラと野心満々のオレオレ系ではなく、優しく親しみやすい、ファッションもギラギラしてない人が増えているそうです。
この4人も、明るい清々しいお兄さんという感じでした。モンキーD・ルキさんは途中から眼鏡男子に変身していましたし。
何と言っても「姫」と呼んでくれるんですね。うわうわ、気恥ずかしい。ここは乗っかって楽しむのがお約束なんでしょう。柚月さんは上手に乗っかっていましたが、私はぎくしゃくしてしまいました。言い訳すると、店内がすごく明るくて、フツーにお買い物に来たお客さんにチラ見されるものだから、あの人、イケメンに囲まれてにやけてる、なんて思われたくないという自意識が発動してしまい。その緊張感をワインでごまかすばかりでありました。ホストさんたちも、こういう試みははじめてで、いつもと勝手が違うので、探り探りな感じだったとか。
時間もないし、無理してはしゃぐのもなんなので、ありのままの私で行くぞと開き直り、私の目下の興味は、4月に歌舞伎町にシネコンができたら、歌舞伎町のイメージは変わるの? ということで、お隣に座った天草銀さんに訊ねたところ、真面目に答えてくれました。さすが、トークのプロ。
「シネコンの上にホテルができるので、観光客が増えるだろうし、外国のお客さんも多くやって来ると思う。そういう人たちに、観光のひとつとしてホストクラブにも遊びに来てもらいたい」とこれからの歌舞伎町に希望を見出しているようでした。外国の人にジャパンカルチャーのひとつとして興味をもってもらいたいとのことです。
隣の柚月さんは楽しく会話しているのに、私はあまり色気のない話をふった挙げ句、あっという間に20分が過ぎてしまいました。やっと緊張が解けてきた頃に終わってしまったのですが、その「あと少し感」を残すところがテクニックなんだろうなあ。さすがです。満足させたら終わっちゃいますもんね。
というわけで、まんまと、柚月さんとふたり、格安のホストクラブツアーに参加することを決めてしまいました。ベルばらみたいな店、行ってみたい!

仮想ホストクラブの手前には、ホストさんの私物がリサイクルに出されていて、
服やアクセサリー、楽器、DVDソフトなど、彼らのプライベートの顔を少しかいま見ることができました。

(木俣冬)