鹿児島産黒毛和牛を部位ごとに牛型プレートに載せた焼肉「まるごと一頭ぎゅうぎゅう」を食べてみた
「カルビ」「ハラミ」「ロース」など数ある牛肉の部位の中で、そもそも「牛のどこの部分の肉なのか?」ということを熟知している人は相当の焼肉通です。調べでもしない限りなかなかわかりづらい牛肉の部位ですが、牛型プレートの部位ごとに肉が載せられて、一目でどこの肉を食べているのかがわかるユニークな焼肉メニューがうし田の「まるごと一頭ぎゅうぎゅう」です。鹿児島産黒毛和牛の希少部位を含めた18種類を堪能できるとのことだったので、実際に行って食べてきました。
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270405/27023303/
ぐるなび - 平野焼肉 うし田(生野・平野/焼肉)
http://r.gnavi.co.jp/c617300/
住所は大阪府大阪市平野区瓜破1-9-17。大阪市営地下鉄谷町線の喜連瓜破(きれうりわり)駅から徒歩7分で、2番出口を出て左の高架の方向に向かってパチンコ店を左に曲がり、イオンを超えてまっすぐ行ったところにあります。
お店の駐車場前には「平野焼肉うし田」と書かれた大きな看板があるので見逃すことはないはず。車の場合は、駐車場に9台まで停めることができます。
入り口はこちら。
玄関までは石畳の通路でちょっと高級感がある感じ。
好きなお肉を1枚から注文できるお店とのこと。「ぎゅうぎゅう」は予約限定メニューなので、事前に予約してある旨を伝えて席へ通してもらいます。
廊下の途中で肉だけでなく麺にもこだわりを感じる冷麺工房を発見。
今回は1人ですが、席はほとんどが4人掛けのボックス席でゆっくりと落ち着いて食べられます。
アルコールはビール・ハイボール・チューハイ・焼酎・梅酒・生マッコリ・ワイン・日本酒の剣菱を注文可能。割と良心的な値段です。
「まるごと一頭ぎゅうぎゅう」を予約してあるのですが、別でメニューから注文してもOK。
ドリンクを注文して「まるごと一頭ぎゅうぎゅう」の到着を待ちます。天井に吸気設備はありませんが、網の回りに吸気口があるので服が煙くさくなることはありませんでした。熱源はガス火です。
まずはタレが運ばれてきました。左上が甘辛焼肉ダレ、手前の小皿は左からレモン・薩摩醤油・塩が入っています。
そうこうしている内に「まるごと一頭ぎゅうぎゅう」がどどんと到着。どこの肉を味わうのか一目でわかるプレートで、見ているだけでワクワク状態。にんじん・玉ネギ・カボチャなどの野菜も少し入っています。ツラミを除く全ての肉は岩塩で下味がついていますが、味が薄ければ自分で岩塩を削って調整するとのこと。肉は全てひと口サイズで、総量は180g〜200gほどなので女性でも1人で食べられるかも。
前足には肉の味を引き締めてくれるわさびと……
後ろ足に岩塩があり、食べる時に削ってかけてもOKです。
「どれから着手するべきか……」と激しい脳内戦争が繰り広げられますが、テーブルに置かれた各部位の説明書きによってしっかりと作戦を練ることができます。今回はノーマル部位と特上部位などを比較しつつ、最後に希少部位にとりかかるというプランに決定。
というわけで、先に牛脂で油をぬーりぬり。
一番手は頭の辺りに置かれたほほ肉である「ツラミ」から。塩ダレで味付けされており、噛めば噛むほどうま味が増す部位とのこと。
さっそくじゅじゅーっ。塩ダレの食欲を誘う香りが漂います。
ツラミはコリコリした食感で、噛むほどに味が出てくるのですが、もっと大きいカットで食べたい部位でした。
焼肉の定番部位の「ハラミ」は、どう見ても肉ですが、横隔膜の両サイド部分でホルモンの1種。「横隔膜ってどこなんだ?」と思ったら牛型プレートのおかげで胴体の真ん中辺りということがすぐわかります。
焼いていると脂があふれ出しました。
ほどよく食感のあるお肉で甘辛ダレが良く合う部位。
続いてコレも焼肉の定番である「カルビ」と隣にある「特上カルビ」へ。
カルビはにんにくの芽といっしょに焼いてみました。
甘辛ダレをたっぷりつけて食べると、「いかにも焼肉を食べている」と実感します。
「特上カルビ」もじゅうじゅう。良いお肉は焼き過ぎないようにしたいところですが、焼きを控えすぎても生肉感が強くなり過ぎてしまうため、絶妙な焼き具合を見極めなければいけません。トングを片手にひらすら肉を注視します。
特上カルビはサシがきれいに入った「三角バラ」とも呼ばれる希少部位。わさびと薩摩醤油で食べてみると、驚くほど柔らかな肉質で上質な脂が口の中でとろりととろけます。甘みがある割と濃い醤油をつけたにもかかわらず、肉の味が負けることはないことに驚き。
霜降りが多めで甘みのある部位の「上カルビ」と……
あばら周りの肉である「中落ちカルビ」にとりかかります。
同時にじゅうじゅう。肉の焼き具合の監視と、アツアツの焼きたてを食べるためにも、1人で焼くのは一度に2枚までにしておくべきです。
上カルビは霜降りが口の中でとろけますが、特上カルビがいかに上質な部位だったのか再確認できました。
中落ちカルビは脂分がとても多いものの、筋張った食感が特徴。コレは塩ではなくタレの方が良かったかも。
ここまで食べたところで、「こんな良質の肉を食べるのになくては後悔する」と思い立って生ビールを注文。焼肉は白飯を食べる人と食べない人に分かれますが、ひと口飲んだ時点で「良質な肉にご飯は不要」と感じた瞬間でした。
ついでに口をサッパリさせるために塩ダレキャベツ(税込290円)を注文。
油が多めの塩ダレだったため、サッパリではなかったものの、肉が続いていたのでシャキシャキした食感がいつもよりおいしく感じます。
肉に戻ります。次は焼いて食べるのが一番おいしいという「ロース」と……
柔らかく濃厚なうま味が特徴の「上ロース」を焼いていきます。
左が上ロース、右がロースです。
ロースはぷりっとした食感。
上ロースは岩塩をかけて食べてみたところ、「何コレおいしい」と1人でつぶやいてしまうほど、岩塩の威力を感じました。柔らかい肉質とうま味をさりげなく最大限に引き立ててくれます。
ロース三種の頂点「特上ロース」に挑みます。
こちらも岩塩とわさびで食べてみたところ、とろけるような脂分と肉のバランスがとれていて、しつこすぎずにちょうど良い部位。
サーロインにつながるきめ細かい赤身の「ラム」は、大きく切るとアメリカンステーキになりそうな味わいでした。
ちょっと珍しい部位の「マルシン」と「マクラ」はどちらもお尻辺りの肉。
マルシンは程よい脂で女性に大人気の部位とのこと。肉質はちょうど良い固さで、後味が脂っぽくないのでたくさん食べられそう。
マクラは弾力がある食感ですが、舌触りはきめ細かいというおもしろい部位。塩で食べましたが、タレでも良く合うはず。
最も柔らかい胴体の中心辺りの部位である「ヘレ」は、うっかり説明を読まずに食べてしまったのですが、普通の肉を噛む強さで食べると歯と歯が「カチっと」ぶつかってしまうほどのな柔らかさ。一瞬何が起こったのか分からず、「肉が消えた!?」と驚かされました。
ここまで食べると、残すは待ちに待った希少部位のみ。ひと口ずつしか食べていないものの、物足りない感覚はありません。
腰下の希少部位「イチボ」はきれいな霜降りが入っています。
焼き具合もありますが、表面は「サクッ」としたような食感でとてもジューシーな味わいです。ちなみに、うし田のわさびは辛味控えめなので、お肉に載せてもわさびが主張し過ぎることはないです。
「ヒウチ」はモモ肉の中で一番脂が乗った甘みのある部位。
脂の味が強いのかと思ったら適度に上質な脂がなめらかに口の中で感じられました。これは醤油とわさびでもおいしいはず。
「カイノミ」は横腹から脇の付け根の希少部位。
箸で切れるほど柔らかいとのことでしたが、箸で真っ二つにできるほどではありませんでした。
箸でちぎる時にあふれたにもかかわらず、食べた時に大量の甘い脂を感じるのが特徴的。肉質はヘレの次に柔らかいくらいです。
前足の上側にある希少部位の「ミスジ」。
肉の味を堪能できる部位とのことで、他の部位にはない甘みとうま味を感じられる部位。
最後は落ち着いた霜降りが特徴という希少部位の「クリ」。これは他の焼き肉屋でもあまり見かけない部位です。
岩塩のみで食べると、肉肉しい食感を感じたはずが、次の瞬間には溶けてしまうという部位で、とても上品な味わいです。18種類の中ではコレが一番でした。
というわけで全ての部位を完食。牛もまさか全身をひと口ずつ食べられるとは思っていなかったのではないでしょうか。完食後は満足感がものすごいのですが、帰宅後に小腹が空いてしまったので、男性1人に対して「ぎゅうぎゅう」は少し物足りないかも。
なお、焼肉のお供にピッタリということで、うし田ではプーアル茶が無料で飲み放題だったので、食後の一杯を注文してほっこりできました。
いろんな部位を個別に注文すると高くつくものですが、価格は1人前が税込2880円となっており、手軽な値段ではないものの高くはないはず。うし田では「肉を勉強しながら食べる」という、なかなか他では体験できない焼肉を食べることができますが、「ぎゅうぎゅう」は当日に行っても注文できないので、もし行ってみる場合は予約を忘れないよう注意が必要です。