立命館宇治vs神戸国際大附
立命館宇治の先発・山下太雅
序盤に4点の援護をもらった立命館宇治の先発・山下太雅(2年)だが初回に二つのフォアボールを与えた制球が定まらない。2回に喫した失点も四死球絡みで招いたもの。3回には二者連続デッドボールを当てるなどして一挙5失点。兵庫大会を打線の力で制した神戸国際大附を相手にバッテリーが警戒するのは当然だが、卯瀧監督が「(四死球の多さは)かなりバッテリーにああせいこうせいと言った結果」と話したようにこの時点では裏目に出た。山下は5回までに10四死球を与え、球数はすでに110球を超えていた。
点の取り合いだった序盤戦から一転、中盤は互いに1点を加えたのみ。試合が大きく動いたのは8回、きっかけはやはりフォアボールからだった。
8回、3イニング目に突入した神戸国際大附の二番手・平内龍太(1年)は、この回先頭の立命館宇治7番・百田風太郎(1年)をストレートのフォアボールで歩かせてしまう。立命館宇治は2点を追う終盤ではあったが8番・中原優歩(1年)が送りバントでランナーを進める。9番・山下もフォアボールを選ぶと、二死後に2番・上西 良明(2年)のタイムリー内野安打で1点差。3番・奈良 祥平(2年)の内野ゴロがエラーを誘い二死ながら満塁のチャンスで打席には4番・伊藤大賀(2年)。主砲の一打が期待される中、押し出しのフォアボールで同点に追いつくとさらに押し出しフォアボールが二人続き、百田のタイムリーと合わせて3点の勝ち越しに成功。9回にも先頭のフォアボールから1点を追加し、終盤の6得点で試合をひっくり返した。
立命館宇治が初戦突破
神戸国際大附にとって痛かったのは、与四死球もそうだが三つのエラーとワイルドピッチが全て失点につながってしまったこと。また、初回に立命館宇治5番・藤岡拓郎(2年)にセンターオーバーのタイムリースリーベースを、3回に伊藤にライトオーバーのツーベースを打たれているが、この2本の長打は捕れる可能性があった。藤岡の打球に対しセンター・西川錦弥(2年)は二、三歩前に出てから慌てて後退し頭を越され、伊藤の打球に対してもライト・竹村 陸(2年)は一旦前進してから後退しながらグローブに当てるも捕球はならず。打球が予想以上に伸びたのは打者の力があるからだが、外野手の打球判断は失点に直結する。
立命館宇治12安打と神戸国際大附8安打。打線に力があるのは間違いないがそれ以上に両軍合わせて19四死球という多さが試合展開に大きく影響した。立命館宇治の卯瀧監督は「先制したんですけど、フォアボール、デッドボールで逆転されて。中盤このまま行ってもらって後半にチャンスがあればと思っていた。こんなに大きなチャンス来るとは。うまくもらえたというようなゲームでした」と四死球の多かった試合を振り返っていた。
(文：小中 翔太 写真：松倉 雄太)
