好調の鳥栖を最後尾で支えるGK林。川島、西川とともにハイレベルな争いが展開されそうだ。(C) SOCCER DIGEST

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 アギーレ監督率いる新生ジャパンが、いよいよ初陣となるウルグアイ戦(9月5日)、ベネズエラ戦(同9日)に挑む。フレッシュな顔ぶれが揃った今回のメンバーで、南米勢を相手にどんなサッカーを見せるのか期待は膨らむばかりだ。日本代表はすでにトレーニングを開始しているが、選ばれた23名は現在、所属チームでどのようなパフォーマンスを見せているのか? ここでは、シーズン中盤戦に突入した国内組の11人の現状をチェックする。
※平均採点とアシスト数は、『週刊サッカーダイジェスト』によるもの
 
【写真】ウルグアイ戦、ベネズエラ戦に向けた日本代表23人
 
GK
西川周作(浦和)
今季成績(J1):22試合・18失点
平均採点:6.14(GK部門1位)
『週刊サッカーダイジェスト』の平均採点6.14は、首位を走る浦和のチーム内最高点で、ここまでのチームMVPに挙げられるほどの活躍を見せている。20節の広島戦ではロスタイムに抜け出た柴崎の決定的なシュートを弾き出し、直近の22節・大宮戦ではクロスからムルジャが合わせた一撃をビッグセーブ。加えて、左足から繰り出す精度の高いレーザービームのようなキックで攻撃の起点にもなるなど、「守」のみならず「攻」の貢献度も高い。しばらくは川島らとの争いが続きそうで、求められるのは「安定感」と言えそうだ。
 
GK
林 彰洋(鳥栖)
今季成績(J1):22試合・19失点
平均採点:6.14(GK部門1位)
 22節終了時で2位と首位争いをする鳥栖の守護神は、安定したセービングで何度もピンチを救い、正確無比なキックで攻撃の第一歩としても機能している。そのプレースタイルは、アギーレの求める「攻めて守れる選手」の条件を満たしていると言えるだろう。年齢的にも脂の乗った27歳。4年後のロシアも十分射程圏内だ。日本人離れした体躯で早くから注目を集めていた守護神が、ついに飛躍の時を迎えようとしている。
DF
水本裕貴(広島)
今季成績(J1):22試合・0得点・0アシスト
平均採点:5.82(DF部門24位)
 対人の強さと素早いカバーリングで今シーズンも健在をアピール。強さと速さを兼備した国内屈指の存在だ。ビルドアップの技術も年々向上しており、攻撃でも起点となり得る。リーグ連覇を果たした12、13年シーズンは、ともに全34試合にフル出場。今シーズンも開幕から連続フル出場を継続しており、そのタフネスとイエローカードが少ないクリーンな対応は魅力だ。18節の鹿島戦で5失点を喫したが、その後の4試合はわずか1失点に抑え、守備陣の軸として修正能力の高さも見せている。
 
DF
森重真人(FC東京)
今季成績(J1):21試合・1得点・0アシスト
平均採点:6.02(DF部門2位)
 ブラジル・ワールドカップでの惨敗が、よほど悔しかったのだろう。帰国後の公式戦では、闘志を前面に押し出したディフェンスで対峙したアタッカーを次々と潰している。地上戦でも空中戦でもかなり高い勝率を誇り、FC東京のフィッカデンティ監督に「絶対的な柱」と言わしめる。ボールを持てばリベロ的な振る舞いでビルドアップに貢献。昨シーズンより長短のパスを上手く使い分けており、テクニカルな部分も成長を遂げている印象だ。
 
DF
坂井達弥(鳥栖)
今季成績(J1):5試合・0得点・0アシスト
平均採点:5.67(※規定出場時間の1320分に満たないため順位なし)
 今シーズンのリーグ戦出場は、たった5試合。戦績は3勝1分け1敗と悪くないが、内容的にはどれも称賛されるようなゲームではなかった。それだけに本人も「びっくりした」と、まさかの代表入りに驚きを隠し切れなかった。左利きで180センチを超えるCBは日本には少ないが、その希少性と将来性だけで戦えるほど代表のピッチは甘くない。この経験を活かし、まずは鳥栖で不動の立場を築きたい。
 
DF
松原 健(新潟)
今季成績(J1):21試合・0得点・1アシスト
平均採点:5.74(DF部門32位)
 チームの不調に引きずられるように、自身もあまり良いパフォーマンスを披露できていない。特に攻撃面が機能していない影響で、ここ数試合は持ち味の大胆なオーバーラップからのクロスは数えるほど。使われる立場のポジション(右SB)と言えるだけに、なかなか打開策を見出せずにいるようだ。守備ではスピードを活かした1対1の対応やカバーリングで貢献しており、及第点のパフォーマンスを見せている。代表でもまずは守備から入り、メンバー定着の足がかりとしたい。
MF
森岡亮太(神戸)
今季成績(J1):22試合・3得点・8アシスト
平均採点:5.98(MF部門12位)
 日本代表メンバー発表直前の8月23日の仙台戦ではP・ジュニオールのゴールを得意のスルーパスでアシストし、2-1の逆転勝利の立役者に。そして日本代表に初選出され、注目を集めた8月30日のC大阪戦ではロスタイムに決勝弾を奪い、こちらもチームを2-1の逆転勝利に導いた。6節以降、チャンスがありながら奪えなかったゴールを決めたことは精神的にも大きく、好調を維持したまま代表へと合流できそうだ。
 
MF
扇原貴宏(C大阪)
今季成績(J1):21試合・0得点・0アシスト
平均採点:5.69(※規定出場時間の1320分に満たないため順位なし)
 現在はチームの低迷とともに、攻守に納得のいくパフォーマンスを出し切れていないものの、最大の魅力は左足から放たれるロングフィード。1発で局面を変えられるキックを駆使し、攻撃のスイッチを入れる。184センチの高さを備えたレフティーで、さらには1ボランチの経験もある。アギーレ監督好みの選手と言えそうだ。同じく代表に選ばれた柿谷とは、昨シーズンにホットラインを確立。A代表での連係の再構築にも期待がかかる。
 
MF
柴崎 岳(鹿島)
今季成績(J1):22試合・5得点・4アシスト
平均採点:6.11(MF部門3位)
 主将の小笠原が不在の時はキャプテンマークを巻き、不動のボランチとして君臨。中盤の底で守備のバランスを取りつつ、的確な配球で攻撃を牽引している。また、前線へ飛び出す意識も高く、機を見てはFWを追い越し、ここ6試合で3得点と決定的な仕事を連発している。直近のFC東京戦は数的不利を強いられて持ち味の攻撃力を発揮できなかったが、ここ数試合を見る限り好調を維持していると言えるだろう。
 
FW
皆川佑介(広島)
今季成績(J1):8試合・3得点・3アシスト
平均採点:6.21(※規定出場時間の1320分に満たないため順位なし)
 選ばれた当人が「こんなに驚いたのは、人生で初めて」というほどのサプライズ招集。スタメン出場はいまだ直近の2試合のみというルーキーの異例の抜擢となった。最大の持ち味は186センチの高さで、空中戦に強く、身体を張って前線の基準点にもなれる。ただし、中央でドンと構えるタイプではなく、広範囲に動いてスペースを作り出すスタイルだ。キャリアはまだまだ浅いが、ここ8試合(328分)で6つのゴールに絡んでいる、今の勢いを代表のピッチで表現したい。
 
FW
武藤嘉紀(FC東京)
今季成績(J1):21試合・8得点・1アシスト
平均採点:6.07(MF部門5位)※FC東京での登録はMF
 ルーキーながら中断明け以降のJリーグ7試合で6得点。ここにきてゴール数が伸びているのは、後半途中に足をつっていた開幕当初よりも心身両面でタフになり、プレー全体の安定感が増したからだろう。もっとも、縦への躍動感溢れるドリブル、スペースを巧みに突く動きに目を奪われがちだが、今の充実ぶりを語るうえで見逃せないのは、懸命な守備だ。泥臭くひたむきにボールを追いかける姿こそ、この男の真骨頂なのかもしれない。