心療内科医が定義する「運命の恋」とは？「ビビッときた」＝「エッチしたい」はステキなこと
新しい恋の始まりに胸を躍らせたのも束の間、わずか数週間で歯車が狂いはじめちゃって……。なんて経験を繰り返している人はいませんか? 「まさしく私のことじゃない……」と肩を落とした人に朗報！ 実は、恋愛を長続きさせるための秘訣が存在するんです。
それを紐解いてくれたのは、東京都品川区の「もりしたクリニック」で院長を務めていらっしゃる森下克也先生。森下先生は、心療内科医として、日本全国から訪れるパニック障害やうつ、睡眠障害などの患者にきめ細かな治療を行うと同時に、500組以上の恋人・夫婦のカウンセリングも行ってきた先生です。
また、先日上梓した『運命の恋を長続きさせる本』(Gakken刊)でも、好きな人に愛されて幸せになるための数々の秘策を紹介しています。
それにしてもまず気になるのが、同著のタイトル。「運命の相手」は誰にでも存在するものなのでしょうか？
実は、森下先生によると、出会った相手が運命の人となるかどうかは自分次第なのだとか。
「多くの人は、『運命の人＝自分を幸せにしてくれる人』ととらえがちです。つまり、『私を大切にしてくれる、私を誰よりも愛してくれる人』に出会ったとき、その相手を『運命の人』だと思いこんでしまうということです。
でも、相手がやさしいのはあなたの愛がほしいからであり、同時にあなたが愛を与えているからだという可能性も大きいはず。
お互いにとってお互いが本物の『運命の相手』となるためには、相手が自分を幸せにしてくれることを求めるのではなく、自分が相手を幸せにしてあげるんだという強い意志を持ち、それに見合った行動を起こすことが必須です」
■「ビビッときた」＝「エッチしたい」と思うのは当然かつステキなこととはいえ、そこまで強く相手を想い、相手のために気持ちも時間も捧げることは難しいと感じる人も多いもの。具体的には、どんな要素や努力があれば、相手を運命の人に仕立て上げられるのでしょうか?
「運命の人について語るとき、よく『ビビッときた』という表現をする人がいますが、この『ビビッときた』って実際のところ、『エッチしたい』という意味なんです。『中高生じゃあるまいし、性欲より、思考や性格の相性があうことのほうが大事に決まってるでしょ！』と反論する人もいるかもしれません。
でも、よく考えてみてください。相手を愛おしいと感じるとき、あなたは、肌の感触やにおい、声、体温など、五感で相手を感じていませんか? それだって立派な性欲なのです。相手に性的魅力を感じてこそ、初めて、相手を幸せにしてあげたいと思うものです。
いわば、性欲とは恋愛の核となるもの。その核を重視せず、学歴や職業などの尾ひれの部分ばかりに価値を置いたところで、破局に向かうのが当然の結果ではないでしょうか」
とはいえ、もちろん、性欲だけでは良好な恋人関係、夫婦関係は成り立ちません。
これについて森下先生は、「恋愛は、本能と理性という2つのパートに大分することができます。『本能』とはずばり性欲。そして『理性』は、そこから派生するさまざまなもの―たとえば、世間体や職業、経済力、価値観ですが、前者・後者の割合が3対2程度におさまっていることが理想ですね」と説明。
■「ビビッときた相手」の「本性」が垣間見えたときは、決してスル−するべからず！その上で、「本能」のみを見て、「理性」の部分にフタをしてしまうことにも注意を促します。
「たとえば、ビビッときた相手と付き合い始めてしばらく経った後、相手が上司を『あいつ』と口汚く罵っていたり、『結婚したら女は家にいるべきだ』という考え方が自分の価値観と異なることに気づいたとしましょう。そんなとき、彼を愛しく思う『本能』が大きく働いていると、彼の言動に対して目をつむってしまうことがありませんか？
だけど、そうした違和感は、後々必ずあなたの心に引っかかってきますから、決してスルーすべきでないのです。そのような事態に遭遇したら、相手に心をときめかせつつも、冷静に判断することを忘れないでください」
では、「理性」を働かせて、満足する人を見極める確率を上げるためにはどうすればよいのでしょうか。
その答えとして森下先生は、「何かひとつのことに打ちこんで自信をつけることで、自身の理性を強化する」「女性らしい気遣いや素直な心を身につける」など、まず、自分自身を磨くことを推奨。
また、「相手が話のベクトルがちがったり他罰的であったり、または浮気常習者であると気づいた時点で、付き合うことはやめておくのが無難です」とも。
■相手の話に真摯に耳を傾けることで、良好な関係を続けられるさらに、自分に自信をつけ、相手を見極める目を養った結果として、理想の男性に出会った暁には、その恋を長続きさせるために会話力を磨くことが重要だとのこと。
「コミュニケーションにおいてもっとも大切なことは、相手の話をよく聴くことです。あなたが『耳を傾け、受け入れ、褒める』ことを意識することで、相手は気持ちよく話すことができます。自分との意見の相違を感じたときも、断定口調にならないよう、『私はこう思うんだけど』という言い方にするといいですね。
自分から話題を持ちかける場合は、『はい』としか答えようのない質問を続けざまにぶつけるのはよくありません。時には相手に助言を求めることで、自尊心を満たしてあげることも大切ですね。
それと、『ていうか』などの相手を全否定するフレーズや『なんで〜』などと相手を責める言葉は禁句です。とはいえ、相手の不誠実によって憤りが生じた場合、相手を責めたくなる気持ちもわかります。そんなときは、ある程度のところまで相手を追い込んだら、『まあ、いいか』とひとまず許してあげる心意気を持てたらいいですね」
森下先生が伝授してくれる、恋を長続きさせるための術をマスターしたら、良縁を手にできる確率が高まるばかりか、周囲の友だちからの評価もアップしそう! 早速今日からでも、できることから実践していきたいですね。
（観月陸）
