アマゾンが今週発表する「3Dデバイス」と「新しいタイプのセンサー」とは何か
アマゾンがいよいよ発表するかもしれない、目線だけで買い物ができるデバイスの可能性に迫る
アマゾンは、議論の余地がないほど、常に我々を驚かせ楽しませてくれるヘビー級のハイテク企業だ。そのアマゾンが今週、自社開発のスマートフォンを発表するだろうと予想されている。シアトルを本拠地とする同社はその新商品(今回はサービスではなく物理的なデバイスだ)のティザー(※)を出しており、不思議なビデオと共に送られたプレス向け発表会への招待状は絵本の形式をとり、次のようなメッセージが添えられていた:
※詳細を明らかにしないことによって注意をひこうとする広告手法。
when you’re amazon, you can just not make sense I guess? weirdest event invite ever pic.twitter.com/Y8YUbBWcTG
- taylor hatmaker (@tayhatmaker) June 13, 2014
「来週シアトルでご一緒できることを楽しみにしております。私の最も好きな子供の絵本「Mr. Pine’s Purple House(Mr. Pineの紫色の家)」を同封いたします。おそらく物事が少し変っただけで、この世界はもっと良い場所になると共感していただけることでしょう。それでは来週。−ジェフ・ベゾス」
アマゾンにかかれば招待状もこうなってしまうのか?これまでで一番変わった招待状だ。
―テイラー・ハットメイカー
このメッセージの要点(すでにお分かりかもしれないが)は、「家を紫色に塗ればそれは目立つ」ということだ。確かにアマゾンはこういうビジネスを実際に行っている。デバイスを紹介する不思議なビデオのほうでは、新デバイスのもたらす「これまでに無かった新しい体験」をおそらく強調したいのだろう。
すでに分かっていること
決して無駄に噂を広めたいとは思っていないが、このデバイスに関する情報はかなり一貫しており、その確度は高そうだ。とはいえ、あのアマゾンだけに、何か予想外のことが起こるかもしれない。招待状のメッセージとプレビュー・ビデオの内容から、少なくとも発表される商品はアマゾン製のハードウェアであり、それがスマートフォンである可能性は極めて高いだろう。ただアマゾンらしく、一風変わったスマートフォンの登場となるかもしれない。
今回のビデオとこれまでの噂が示しているように、このデバイスはなんらかの3Dディスプレイ効果を持つようだ。それはアップルのiOS 7にあるような、iPhoneのジャイロスコープと加速度センサーを使い、空間上の傾きの計測によるデバイスの物理的な動きを反映させたソフトウェア的なParallax効果かもしれない。しかしこの程度では、アマゾンが「家を紫に塗った」とまでは言えないだろう。
アマゾンの「Fire」シリーズのデバイス(Kindle FireタブレットやFire TV)が多く発売されていることを考えれば、アマゾンのハードウェア・ファミリーの中で最新となる今回の新しいデバイスもFireブランドとなることが予想される。さらに、今回のデバイスはかなり標準的なハードウェア・スペックになるだろう。またFireタブレットのように、アマゾンのショッピングやマルチメディアのエコシステムが深く組み込まれているAndroidの改造版が搭載される可能性が濃厚だ。
「新しいタイプのセンサー」とは
噂されるアマゾンの3D効果とは、ひょっとすると頭や目の動きをカメラで追跡するものかもしれない。それはユーザーがどこを見ているかによって、ユーザー・インターフェース中のタスクを実行できるようなものだ。目の動きだけで、アプリを起動したり、ウェブページをスクロールしたり、あるいはAmazon Primeで靴を買ったりができるかもしれない。アマゾンの発表会は、開発者にも公開されており、イベントの情報の中には「新しいタイプのセンサー」という表現が使われているため、今の加速度センサーやジャイロスコープを超えた、新しいことが可能になるかもしれない。
何が起こるにせよ、今回アマゾンが発表する内容は大きなニュースになるだろう。歴史的に、アマゾンが発売するハードウェア製品は競合よりも安く、初期型のKindle Fireは199ドルだ。Kindle Fireはそのハードウェアよりも、アマゾンのエコシステムが注意深く組み込まれた(つまりアマゾンのサービス中心の)ユーザー・インターフェースのほうが特徴的だった。
一方で最近はアマゾンの革新もハードウェア領域に移行してきている。例えば「Amazon Dash」だ。これは魔法の杖のようなデバイスで、商品を購入してからそれを手にするまでの期間をきわめて短縮するものだ。予期されている今回のアマゾンのスマートフォン市場への進出は、同社の様々な可能性をさらに押し広げることになるだろう。
トップ画像提供:Formatc1(Fickrより)
Taylor Hatmaker
[原文]