ライブ・ビューイングは、映画館ならではの大画面と大音量で体験できる新しいエンターテインメント!

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ライブ・ビューイング。皆さんは行ったことがあるだろうか?
簡単に言えば、実際に行われているコンサートが近くの映画館で生中継される! というライブイベントだ。

正直、今まではライブ・ビューイングって盛り上がるの? 皆、席を立つんだろうか? 会場との温度差がありそうなどと思っていた。いつも勝手に思い込んですみません。

数々のライブ・ビューイングを手がける「ライブ・ビューイング・ジャパン」の担当者桑田さんによると、映画館で音楽や演劇、スポーツなどの映画以外の映像を上映することをODS(Other Digital Stuff)というそうだ。日本では2004年に行われた映画館で見る演劇「ゲキ×シネ」の上映が、初めてのライブ・ビューイングイベントだった。

その後、映画「アバター」がきっかけとなり、劇場のフィルムによる映写機がデジタルへ移行。映画館のインフラが整備されたことで、音楽だけではなくスポーツや舞台、オペラなどの生中継が可能になった。

最近ではチケットが入手困難だったり、ライブ会場が遠方で参加できないが会場の雰囲気を味わいたいなどという理由から、チケット発売後に即完売となるイベントが多い。

同社では創立の2011年はライブ・ビューイングの上映数が20本だったが、2012年は42本、今年は60本以上と年々増え続けている。本公演の半値以下(一般的に3000円〜3500円)という手ごろな価格も人気の理由だ。

さて、ライターたるもの勝手な思い込みはいけない。コンサートのチケットは取れなかったが、どうしても同じ時間を共有したかったので、Act Against AIDS 2013桑田佳祐「昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦」に行ってきた。どうせならじっくり観たいと思い、イスの座り心地を考え映画館を選択した。

入場時には、本会場と同じコンサートの記念グッズをもらい、テンションは急上昇。会場によるが、映画館なので飲み物やポップコーンを食べながら観ることもできる。中にはお決まりのグッズを持ち、Tシャツを着て参加する人もいた。

コンサートが始まると、桑田佳祐さんが「『ライブ・ビューイング』も上映してます! 」と言ってくれて、「映画館にいる私たちの存在も分かってくれているんだ! 」と独りで嬉しくなりボルテージは最高潮に。

観客の中には曲によって立ってノリノリで踊り歌う人もいたし、「桑田〜!」と声援を送る人もいた。最初は皆が立たないし……という雰囲気に戸惑う人がいるかもしれないが、コンサート会場だから、映画館だから……と臆していては、もったいない。

勇気を出してノリノリになって盛り上げてくれた人のおかげで、コンサートに近い高揚感を味わうことができた。ファン同士が映画館という同じ空間に集まり、声援を送ることで生まれる独特な一体感を味わって欲しい。

実際の会場だと席が遠くてアーティストが小さくしか見えないこともあるが、映画館のスクリーンは大画面! アーティストの細かい表情やハプニングまでをしっかり押さえることができるのがライブ・ビューイングの醍醐味だ。本会場同様、歌が終われば大拍手で声援を送るし、その場の空気感を味わいたい人にはもってこい。

本会場だと立ち上がる人が多いが、私の選んだ会場はイスに座って曲に酔いしれている人が多かった。本会場同様にスタンディングで盛り上がりたい人、座って観たい人など楽しみ方は人それぞれ。アーティストによって応援方法も変わると思うが、好きなスタイルで自由に見よう。

いまや、ライブ・ビューイング上映は日本の映画館だけにはとどまらず、台湾や香港、タイなどのアジア各国、アメリカ、メキシコ、ドイツ、イギリス、フランスなど海外でも行われる。

「今年は日本のアーティストのライブ映像を世界各国の映画館へ中継するプロジェクトを発足させました。世界各国にJ-MUSICのファンを拡大させていきたい」(担当者桑田さん)

――今までに「これはすごい! 」と思ったライブ・ビューイングは?

「10回以上実施させて頂いている、『ももいろクローバーZ』
さんです。皆さんがオールスタンディングでペンライトを振り、本会場同様に盛り上がる様子は圧巻。また、ライブハウスでも実施するのですが、本会場の特効と同じタイミングで銀テープなどを打つ演出もあり、ライブさながらの盛り上がりを見ることができます」

海外向けに最も多く行ったライブ・ビューイングは、「VAMPS」のライブだ。動員数が多いアーティストは、「サザンオールスターズ」「EXILE」「SMTOWN」などのビッグアーティストだそうだ。今年9月に行われた「EXILE」のライブ・ビューイングの上映館数は、なんと過去最大の224館!

「今後も様々なコンテンツのライブ・ビューイングを行うことで、地方の方にもより身近にエンターテインメントに触れる機会を持ってもらいたい。また、素晴らしい日本の文化を海外に向けて発信していきます」(担当者桑田さん)。

私たちが新たなエンターテインメントとして、どこにいてもアーティストらのパフォーマンスが楽しめるよう、ライブ・ビューイングはこれからも進化を続けるに違いない。
(山下敦子)