通勤や外出時のバッグに収納できるサイズだ。

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防災バッグ、皆さん用意してますか? ……してますね。素晴らしいことです。備えあれば憂いなし。

そうなんです、備えあれば憂いなし。しかし、この災害に対しては備えていませんでした。シーノン株式会社が8月より発売しているのは、その名も『噴火対策コンパクトセット』(税込み6,090円)。
「当社では長年、防災用品の企画開発に取り組んでおります。そんなある日、私の妻が『噴火の対策って、どうすればいいの?』と聞いてきたんです」(同社・上地代表)
実は同社、防災のプロフェッショナルであるはずなのに「噴火」に関する知識はなかったという。
「それまでは、『溶岩がここ(東京)まで流れてくるの?』程度の知識でしたから」(上地代表)。

しかし、それは同社だけの話じゃない。噴火に特化した災害グッズに関しては、他メーカーも手付かずの状態だったそう。日本は火山が多い国なのに……。言わば“空き家マーケット”であった。
「昨年の初め頃に富士山の噴火が取り沙汰された時期がありましたが、結局皆さん『どうすればいいの?』と為す術がありませんでした」(上地代表)
というわけで、噴火被害から身を守るアイテムをまとめたこのセットが商品化されたのだ。

では、コンパクトセットに収納されているアイテム群について。内容は、以下です。
1.スタンダード防塵マスク(2枚)
火山灰を吸い込むと気管支炎を起こして危険。このマスクは一般的な風邪用マスクと違い、灰やほこり等が入りにくい構造になっている。内側の鼻当てにはクッションが付いており、隙間をなくすことができる。
2.ハイグレード火山灰対策ゴーグル
火山灰が目に入った時にこすると結膜炎や網膜剥離を引き起こす可能性があり、危険。このゴーグルは普通のゴーグルと違って細かい灰や粉じんが入らないよう、穴が全く開いていない。ゴーグルのレンズ両面に特殊加工を施してあり、水分をスポンジのように取り込むので全く曇らない。通常の眼鏡と一緒に装着することが可能。
3.使い捨て携帯トイレ(1回用)
地域によって火山灰降下が激しい場合、下水がつまりトイレがストップすることもある。この携帯トイレならば袋に用を足した後、付属の凝固剤で固め、持ち歩きやゴミ箱に捨てることができる。消臭効果がある凝固剤なので、においの心配もない。
4.防災用ウェットティッシュ
3年の長期保存が可能なウェットティッシュ。避難で余儀なく外をあるく際、火山灰は全身に降り注いでくる。手や顔に付着した火山灰を拭き取る時に使いたい。

そんなこのセットの主な購入層について。
「ほとんど、一般家庭による購入となっています。企業さんですとトータルで災害対策をされているようで、噴火に特化しての対策はされていないんじゃないでしょうか」(上地代表)
ちなみに、売れ行きは予想以上。最低でも、一日に1〜2件の注文は寄せられているようだ。

ところで、気になります。一体、どの辺りの住人による購入が多いんでしょうか?
「富士山による被害を気にされるエリアがほとんどですが、その中でも一都三県に住むお客様による購入が多いです。意外でしたが、山梨や静岡からの反響は多くないです。これは私の予想ですが、もう既に十分な対策を取られているのではないでしょうか。また、大きな石が飛んできたり溶岩が流れてきたり、ゴーグルやマスクで防げるレベルではなくなる、という要素もあると思います」(上地代表)

なるほど。確かに首都圏住まいの人こそ、噴火災害を意識したことはないのかも。
「私どもの方にも『噴火に備え、何を用意していいかわからなかった』というお声が寄せられています」(上地代表)

御存知ですか? 「日本には、煩悩の数(108)だけ活火山がある」と言われているらしいですよ。それにしては、確かに対策を怠っていた我々。
防災バッグとは別に、もう一つ用意しててもいいかもしれません。
(寺西ジャジューカ)