来季9年ぶりのリーグ優勝を目指す阪神が、このオフふたりの外国人選手を獲得した。守護神候補の呉昇桓(オ・スンファン)と4番候補のマウロ・ゴメスだ。

 呉は150キロを超すストレートを武器に、韓国球界の9年間で277セーブをマーク。2011年には1勝、47セーブ、防御率0.67と驚異的な数字を残した、まさに「韓国の至宝」。

 今シーズンの阪神は、それまで絶対的守護神だった藤川球児がメジャーに移籍し、その代役として久保康友に白羽の矢を立てたが機能せず、守護神不在の戦いを強いられた。そんな事情もあり、阪神は早くから呉に目をつけ、ようやく契約にこぎつけた。これまで韓国から日本にやって来た投手は、宣銅烈(ソン・ドンヨル)や林昌勇(イム・チャンヨン)を筆頭に活躍している選手が多く、呉に大きな期待がかかるのは当然といえる。

 実際、投手に関して言えば、阪神の外国人補強は決して悪くない。ランディ・メッセンジャーが3年連続2ケタを達成しているように、20年間で積み上げた219勝はセ・リーグ2位。防御率も3.46で3位と、健闘が光る。

 一方、野手陣はどうか。時にマット・マートンやクレイグ・ブラゼルのように「「助っ人」と呼ぶにふさわしい選手も出現するが、長い歴史をトータルして見れば、どれだけ多くの外国人に裏切られ、泣かされてきたことか。ここ20年で、阪神はセ・リーグ最多となる33人が来日(他5球団平均は23人)。その度に「バース(※)の再来」「虎の救世主」の見出しが躍った。しかし、活躍したのはほんの一握り。

(※)ランディー・バース=1983年~88年に阪神に在籍し、2度の三冠王(85、86年)を獲得。85年、阪神唯一の日本一に貢献した史上最強の助っ人。

 例えば安打数を見ると、阪神はセ・リーグ3位の3468本を放っているが、あくまでこれは33人のトータルの数。これをひとり当たりに換算すると阪神は105本となり、1位のヤクルト(205本)、2位の中日(200本)、3位の横浜DeNA(133本)、4位の広島(122本)、5位の巨人(121本)に続く最下位。さらに本塁打、打点も同様である。トータルの数字だけ見ればわかりにくいかもしれないが、打者ひとり当たりの成績を見れば圧倒的に劣っている。

 それが影響してか、33人のうち24人がたった1年プレイしただけで帰国している。今シーズンも4番候補として期待されたブルックス・コンラッドだったが、わずか24試合の出場にとどまり、打率.175、本塁打と打点はともに0と散々な結果に終わり、やはり1年でチームを去った。

 かつてはバースをはじめ、セシル・フィルダー、ジム・パチョレック、トーマス・オマリーと外国人選手が、打撃主要3部門(首位打者、本塁打王、打点王)のタイトルを次々に獲得した時代もあったが、この20年で主要3部門のタイトルを獲った外国人はひとりもいない。マートンが3度シーズン最多安打を記録したが、首位打者を獲得することはなかった。

 過去20年の助っ人たちがタイトルを獲れないのは仕方ないにしても、シーズン100試合以上に出場した選手でさえ10人しかいない。レギュラーすらままならない選手がほとんどということになる。1997年に来日したマイク・グリーンウェルは7試合に出場しただけで、「神のお告げ」と謎の言葉を残し帰国。2000年に日本ハムからトレードで獲得したマイカ・フランクリンは8試合の出場で解雇。このように他のチームではあまり考えられないことが、阪神には起きていたのだ。

 なぜ、阪神の外国人はこれほどまでに「外れ」が多いのか。評論家の中西太氏は次のように語る。

「外国人選手は活躍して当たり前と思っているけど、すぐに結果を出せる選手はごく稀(まれ)。ところが、すぐに結果を出さないと契約を延長しない。選手の欠点ばかりを探して、長所を見ようとしない。もっと長い目で見てあげないと」

 史上最強の助っ人と呼ばれたバースも1年目から3割を打ったわけではない。やはり自信を持って獲得した選手に対しては、ある程度の辛抱も必要だろう。もちろん、結果を出せない選手に問題があるのは当然だが、本当に彼らが気持ちよくプレイできているのか疑問が残る。選手を獲ることも大事だが、じつはその後の育成やケアの方がもっと重要なのだ。

 今シーズン、楽天を優勝に導いたアンドリュー・ジョーンズとケーシー・マギーの活躍は記憶に新しい。いまや外国人選手の活躍なくして優勝はありえない。はたして新外国人のゴメスは4番として機能するのか。9年ぶりの優勝はゴメスにかかっているといっても過言ではない。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya