IBMがTwitterを特許という名の鳥カゴに閉じ込めようとしている
IBMが特許侵害の警告をしてきたとTwitterが明かした。IBMの真意はなんだろうか?
今週行われる予定の株式公開に先立って行われたS-1申請に関する情報公開のなかで、TwitterはIBMから特許侵害の警告を受けていることをそれとなく明かした。TwitterはIBMが保有する特許のうち3つを侵害しているのだという。
この情報は、S-1書類の「危険因子」の項目(投資者に対し、Twitterの会社としての潜在的価値をそれらしく見せかける手法のひとつ)のなかに紛れ込ませてあった。
時々我々は、彼らの知的所有権を侵害したと主張する第三者からクレームを受けることがあります。この点に関し、我々は最近IBM株式会社から、我々がIBMの保持している少なくとも3つの米国の特許を侵害していると主張する文書を受け取りました。IBMはこの主張についてビジネス的な解決を行うため、我々と協議することを望んでいます。文書の中でIBMが指定した3つの特許は次の通りです。米国特許No. 6,957,224:ユニフォーム・リソース・ロケーター(URL)の効率的な取得、米国特許No. 7,072,849:インタラクティブなサービス内で広告を提示する手法、米国特許No. 7,099,862、共通の連絡先をプログラム的に発見する手法
今のところ明らかなのは、特許に関する議論というのはあくまでもただの「議論」であって、本格的な訴訟ではないということだ。IBMがビジネス的な解決のために協議を望んでいるというのは、IBMが単にこれらの特許に対するライセンス料をもらいたがっていることの明確なサインである。しかしTwitterのS-1書類における言及は、このやり取りにいくらかの重要性が含まれていることを示している。
これらの特許の事前審査に基づき、我々はIBMの主張に対して確固たる防衛策を持っていると信じています。ただし、我々が彼らの主張に対する防衛に成功するか、もしくは双方にとって納得のいくビジネス的な解決に達するという保証はありません。
S-1書類のなかにIBMの文書に関する言及を紛れ込ませたことは、ツイッターの厚かましい一面である。通常こういった種類の特許に関する協議は、秘密保持契約やその他の法的手段のもと、外部に知らないよう水面下で行われるものだ。例えば2011年に、マイクロソフトはNDAの締結が完了するまで、書店がどの特許を侵しているかについてBarnes and Noble(アメリカ合衆国で最大の書店チェーン)に伝えることはなかった。
IBMは物事を公明正大にすることを望み、Twitterにも口止めはしなかったのだろうと思われる。そもそも、IBMはなぜTwitterに手を出したのだろうか?IBMにしてみればTwitterは規模の面でも収益の面でも小人のようなものだ。もしTwitterが特許侵害をしていたとしても、Twitterのビジネスから搾り取れる金額などはした金だろう。
しかし、IBMも今は落ち目なのである。オラクルの最近の躍進によってナンバー2のソフトウェア会社の座から転落してしまった同社が、ソフトウェアのライセンス収入に替わるビジネスモデルを求めているとしても不思議ではない。特許ライセンス事業の拡大もその一環なのであろう。一見IBMが自暴自棄になっているように見えるかもしれないが、おそらくこれはよくあるビジネスなのだ。
特許訴訟の深遠な世界を垣間みるのは興味深い。弁護士同士が話し合うだけで何百万ドルという金が動くとは、実に謎めいた世界である。
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Brian Proffitt
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