米アマゾンが、Kindle Fire向けアプリ開発の奨励プログラムを開始
米アマゾンは自社のKindle Fire向けアプリの開発を求めており、デベロッパーたちに十分な動機を提供しようとしている。
米アマゾンは、デベロッパーたちがAndroid用Appstoreに向けたアプリを開発する動機を提供しようとしている。10月8日にアマゾンはデベロッパーに向けた大規模な奨励プログラム「Appstore Developer Select」を発表した。 アマゾンAppstore用のアプリを開発すると、ストアでの優先的な配置、モバイル広告への50万インプレッション付与、アマゾンWebサービス製品の購入時クレジットバック、といった特典が得られる。
アマゾンは昨年、自社のKindle Fireタブレット用のアプリやゲームを提供しているAppstoreに向けた開発を、デベロッパーたちに促そうと奮闘していた。今回の奨励プログラムはその計画の一環である。デベロッパーが質の良いKindle Fireアプリを作成すれば、気前のいい報酬を受け取ることができるというわけだ。
このプログラムに参加する資格を得るには、アマゾンの開発環境に精通する必要がある。アマゾン独自のFire OS用のAPI(アマゾンのKindle Fireに使われている、Androidの派生バージョン)を使わなくてはならないからだ。これには、GameCircleやアプリ内課金、Mobile Adsといったコンシューマー機能が含まれる。また、プログラムに参加するためのアマゾンAppstore用のアプリは、高精細スクリーンにも対応していなくてはならない。
これらのアプリを購入するユーザーは、初回購入時に「Amazon Coin」を250コイン獲得でき、その後は購入額の最大30%をコインで受け取れるようになる。Amazon Coinとは、アマゾンユーザーがアプリ内でデジタルコンテンツを購入する際に使用できるデジタル通貨だ。
スマートフォンに向けた奨励プログラムも来る?
自社のプラットフォームに向けた開発を奨励する企業はアマゾンだけではない。
マイクロソフトも長い間この方法をとっている。WindowsやWindows Phone用のアプリを開発したデベロッパーに現金を支払うというあからさまなものもあれば、クラウド・コンピューティングやストレージ、Windowsの開発ツールなどのリソースを提供する場合もある(こちらのほうが一般的)。初期のアップルAppstoreやグーグルAndroid Market(今日のPlay Store)も、自社のプラットフォームに向けた開発を支援していた。ブラックベリーも今年「Built For BlackBerry」と呼ばれる似たようなプログラムを行っており、ストアにおけるアプリの優先的な配置をデベロッパーに保証している。
アマゾンの奨励プログラムは、アマゾンのスマートフォンに対しても行われるのではないかと噂されている。アマゾンがスマートフォンを開発中であるという噂はもう何年も前から囁かれているが、未だ実現には至っていない。アマゾンは、Kindle Fireとeリーダー・タブレットを送り出したカリフォルニアのラボで2つのスマートフォンを(ローエンドな端末と、3Dスクリーンを備えたハイエンドな端末)開発していると言われている。これらの噂は、アマゾンが単にスマートフォンの構想を探っているだけにしては正確すぎるし広まりすぎている。とはいえ、この噂されている端末が実際に市場で発売されるかどうかはまた別の話である。
アマゾンも素人ではない。アップルやサムスンの独壇場であるスマートフォン戦線で成功するためには、しっかりとしたアプリケーション・エコシステムが必要であることを十分に理解している。マイクロソフトやブラックベリーのように「アプリもすぐに充実します」などという曖昧な約束ではデベロッパーの注意を自社のプラットフォームに向けることができず、スマートフォンもリリースできないことを、アマゾンはちゃんと分かっているのだ。
アマゾンはまた、パワーアップした新しい二つのKindle Fireタブレットのリリースも行った。Kindle Fire HDXは7インチ・スクリーンで解像度1920×1200、quad-core 2.2 GHZプロセッサを搭載している。
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Dan Rowinski
[原文]