ビッグデータとアップルの共通点は高収入

ビッグデータとアップル関連の技術は共に、その扱いにくさのために法外な給与を欲しいままにしている。しかし、状況はいずれ変わるだろう。

ビッグデータから一体何が得られるのか、企業はまだ正確に把握できていないようだ。かといって、HadoopやNoSQLのようなビッグデータ関連の技術に大金をつぎ込むのをやめるわけにもいかない。技術者の年収調査「2013 Dice Tech Salary Survey」によれば、ビッグデータプロジェクトの2本柱であるHadoopとNoSQLのスキルは他のどんな技術的スキルよりも価値が高く、これらに携わる技術者の平均年収は115,062ドルに達している。そして、OmnigraffleやObjective-Cといったアップル関連の技術もこれに負けていない。


ビッグデータは金のなる木


最近気が付いたのだが、企業はビッグデータの活用方法について葛藤を抱えているようだ。Gartnerが今年行ったビッグデータに関する調査では、回答した企業のうち56%がデータから有益な情報を見つけ出すのに苦戦している。にもかかわらず多くの企業がビッグデータプロジェクトを既に展開しているか、早急な展開を計画しているというのだから矛盾している。


以下の年収データが示しているように、ビッグデータのプロフェッショナルは採用凍結の類には無縁だ。



企業は明らかに、彼らのデータに利用価値を見出す優れた人材を確保するためには喜んで割増料金を支払うのである。


企業はまた、アップル関連の技術に精通した開発者にも割増料金を支払うだろう。OmnigraffleもObjective-Cも、Diceの調査では高収入スキルのトップ10に入っている。人気が高い職種の傾向を調べたIndeed.comの解析結果を考慮に入れると、さらに興味深いことがわかる。先に示した2つのビッグデータ技術に加えて、5つのモバイルスキル(HTML5、iOS、Android、モバイルアプリ、jQuery)がトップ10に入っているのだ。これらのスキルには、アップル関連のものは一つしか含まれていない。


HTML5もAndroidも雇用数ではアップルに匹敵しており、成長率に関して言えばアップルをむしろ凌駕している。



しかし、今のところ最も高給なのはやはりアップル関連だ。平均的なモバイル開発者の収入が約8万ドルであるのに対し、Objective-Cに精通した開発者は10万5千ドルだというのだから、その差は大きい。


もっと稼ぎたい?だったらシリコンバレーに行こう


ビッグデータとアップルiOS関連開発が本当の意味で主流技術になった後、両者は今と同じだけの価値を保ち得るのだろうか。


2003年の時点で、アメリカの平均的な技術者の年収は69,400ドルであった。2012年になると一気に5%跳ね上がり、2013年には85,619ドルまで膨らんでいる。法外な給与を得たいと願う(そして法外な住宅ローンを支払いたいと望む)人々にとって、シリコンバレーは今でも約束の地だ。平均的な技術者の賃金が101,278ドルであるシリコンバレーは、平均賃金が10万ドルを超える唯一の場所である。とはいえ2012年からは2.8%下がってしまっており、その背後でボストン(7%アップして94,742ドル)やロサンゼルス(6%アップして92,498ドル)などの近郊都市が急成長を遂げている。


最近あるエグゼクティブから聞いた話だが、Hadoopを使いこなせるようになるには大変な訓練が必要らしい。Hadoopの技術者は常に不足しており、その結果割増料金が発生するというわけだ。


彼らもまたシリコンバレーを主な拠点にしているということは、Indeed.comの地理的な解析が示す通りである。Hadoopの職の大半はベイエリアにあり、ニューヨークが大差で2位、シアトルがさらにずっと差をつけられて3位となっている。iOS関連の雇用状況もこれと同じようなものだ。


今後、この均衡は破られる


シリコンバレーがビッグデータとアップルの技術者にゴールドラッシュをもたらしているのは素晴らしいことだが、これはある意味、ビッグデータとモバイル開発がまだ本当の意味では主流になっていないということでもある。


別の言い方をすれば、両者の雇用の未来は非常に明るい。特にビッグデータは。アップルの方は、いつかアンドロイドとHTML5が、モバイルに対するアップルの桁外れの影響力を薄めてしまうこともあり得る。そうなれば給与のレベルや仕事量、あるいはその両方が低下してしまうだろう。しかしビッグデータに関しては、それに置き換わりそうな競争相手がいない。


主流なビッグデータ技術は皆オープンソースの性質を持っている。今後開発者たちが関連技術をマスターするにつれて、ビッグデータの雇用はシリコンバレー以外の場所においても劇的な成長を遂げることになるだろう。ビッグデータの技術はほぼすべてがダウンロードでき、オライリーの本も追いつけない。一年前、Hadoopの開発・提供を行っているClouderaの幹部マイク・オルソンは、チャーチル・クラブの聴衆に向かって次のように語った。「多くの企業がHadoopは難しすぎて手に負えないと思っているが、事態は急速に変化している。Hadoopの複雑な部分はアプリケーションに埋め込まれ、もっと手軽に利用できるようになるだろう。」数多くのビッグデータの仕事をこなしていけば、彼のビジョンの実現は日ごとに近づいて来るはずだ。


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Matt Asay
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