映画007のボンドカーとなったオープンモデル。本物は世界に2台しか存在しないが、レプリカなら近所の買い物にだって使えてしまう

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日本が世界に誇るスーパーカー、トヨタ2000GT。映画『007』にも登場したオリジナルは、今や札束を積んでもなかなか買えない高根の花だが、その高品質なレプリカが愛知県の小さなガレージから続々と誕生中だ!

■今やオリジナルは1億2000万円!

試乗すると、ドミノ倒しのように次々と道ゆく人が振り返る。それもそのはず、日本が誇るスーパーカー、トヨタ2000GTの名を知らない人はまずいないが、実車を見たことがある人はごく少数。まさに幻の名車なのだ。

オリジナルの2000GTは、1967年から70年までにわずか337台だけの生産。大衆車のトヨタ・パブリカが36馬力800?エンジン、35万9000円という時代に、150馬力DOHC2000?エンジン、238万円というのは驚愕のスペックと値段だった。

その価値は今、さらにヒートアップしている。今年5月には、米国で67年式トヨタ2000GTが1億2000万円というメチャクチャな価格で落札されたばかり。もはや指一本触れることすらためらわれる異次元の存在だ。

こうなると、仮に「さぁ、どうぞ乗ってください」といわれても、気軽に乗れるわけがない。もし事故でも起こしたら、孫の代まで働いたって弁償できない。ところが、そんな心配なしに憧れのスーパーカーで、「近所のコンビニまで」という使い方ができるのが、レプリカカーの魅力なのだ。

2000GTの優雅なフォルムを再現したこのレプリカを製作したのは、愛知県にあるロードスターガレージ。小林誠社長が自身の夢だったオープンカー型2000GTのレプリカを形にしたところ、「自分も欲しい!」との問い合わせが全国から殺到。ならば期待に応えようと奮起し、3年がかりで「HIROSHI」と名づけた第1号車を完成させた。

旧型のユーノス・ロードスターをベースにしたこれが同社の基本モデルで、290万円から製作可能(ベース車両代金は別)というのは、ほぼ手作りとしてあり得ないほどのバーゲン価格といっていい。「クルマは実際に乗れてこそクルマ。実際に買って使える値段に収めたかった」という小林社長の言葉に拍手を送りたい。

HIROSHI以外には、フェアレディZがベースでクーペボディの「AKI−Coupe」、そして最上級モデルの「龍妃ファイナル」があり、どの一台にも小林社長のこだわりと愛情がたっぷり込められている。

現在30台のバックオーダーを抱えている小林社長の夢は、オリジナルの総生産台数を超える338台を製造すること。オーナーとなるチャンスはキミにもあるぞ!

(取材・文/近兼拓史)