楽天・田中将大22連勝……サラリーマンも見習いたい『手抜き力』
どこまで記録は続くのか。
楽天・田中将大が、2013年8月23日のロッテ戦でプロ野球記録を更新する22連勝を達成した。この日の田中は、いつもより調子は良くなく、序盤からボールが先行する苦しいピッチング。5回までに94球と球数多く、本調子とはいえなかった。それでも、7回無失点でチームの連敗を5でストップさせた。
なぜ、調子が悪いなりに、ゼロに抑えられるのか。
田中の凄さは、勝負所でのギアの上げ方にあるのだ。
このターニングポイントに、田中は初球に153キロの速球を投げ込み、空振りを奪う。2球目も153キロの速球を投げ込むが、高めに外れボール。3球目は低めに落とし、空振り。1ボール2ストライクと追い込むと、最後は外角へ自己最速となる156キロの速球で空振り三振に打ち取り、ピンチを脱した。
この日、ランナーなしの場面での直球はほぼ140キロ台だったが、ピンチになると150キロ台を連発した。
立ち上がりもそうだった。
1回、1死一、三塁で4番・今江を迎えると、変化球主体で追い込む。そこから153キロ、152キロと速球を続け、最後は外の変化球で空振り三振に。
続く、5番・角中へは四球を与えてしまうが、ここでも152キロを2度記録している。
2死満塁とピンチは続き、6番・サブロー。序盤の山に田中はギアを上げた。初球を141キロのスライダーでファールを打たせると、2球目からは151キロ、150キロ、151キロと速球で押し、2ボール2ストライクと追い込む。最後は外角やや高めに変化球を落とし、見逃し三振に切って取った。
田中は、場面によって緩急をつける。同じ打者でも、ランナーなしと得点圏のケースでは、明らかにピッチングを変えてくる。下位打線であれば、遮二無二は行かない。
すべての打者に全力で行けば、スタミナ切れを起こしてしまう。『頑張り時』と『そこまで頑張らなくもいい時』の状況判断を的確にできるからこそ、田中将大の22連勝は生まれたといえよう。
いわば、手を抜くべきときは手を抜く。休みなくあくせく働いていたら、疲れ果てて、いつかガタがきてしまう。休日返上で働き過ぎのサラリーマンは、田中マー君の投球術にヒントを得たい。
※写真は東北楽天ゴールデンイーグルス公式サイトより
【関連情報】
東北楽天ゴールデンイーグルス選手名鑑 田中将大.
http://www.rakuteneagles.jp/team/player/detail/18.html