男を虜にさせる“虎の巻”。壇蜜による帯文もキャッチーだ。

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かつて。恐らく、20年くらい前の話。思い返すと、女優・裕木奈江の不人気ぶりが物凄かったと記憶している。男性からではない。女性からのブーイングである。いわく「男に媚びてる感じがする」、「いなくなっちゃえばいいのに」などなど……。
いや、男もバカじゃないから「これは、男ウケを意識した行動だろうな」とわかっているのだけれども。テクニックを駆使しているんだろうな、と。それらを踏まえ、受け身を取っているのが我々(男)なのだ。

……と、思っていた。もう、本当甘い。全然わかってない。男心を掴む女子のテクニックは、予想以上に深くて広かった。
それを思い知らせてくれるのは、こちら。ハースト婦人画報社が昨年の12月24日より発売している『COSMO's 男を虜にする500の秘密』(税込み980円)を読んでからというもの、女性に対する疑心暗鬼が止まりません。「なんだ、こんな情報までファイルしてやがるのか?」みたいな。

例えば。同書には、こんな“秘密”が書かれていた。
 「覆いかぶさるように力強く抱き締めてくれるのは、支配するのが好きな指導者タイプ」
 「男を射止めるのは、綺麗な脚よりも、キレイな腕。これは科学的根拠に基づくホントの話」
 「男は、生理中の女の声に色香を感じるもの」
 「44パーセントの男性が、最初のデートでエッチはしないと答えている」
 「彼をほめるのにベストな時間帯は、朝。あなたの言葉が一日中頭に残って、効果絶大」
……もう、開けちゃいけない扉を開けた気分である。

しかしだ。「○×パーセント」だとか「科学的」といった文字が踊るこれらのデータに、根拠はあるだろうか。ぶっちゃけ、眉唾ではないのか?
「元々、アメリカの女性向けファッション誌『COSMOPOLITAN』での連載をまとめたものが、この本です。同誌は『“ラブ&セックス”というテーマにおいては権威』という評価をアメリカで勝ち得ており、知識提供に関して信頼感の置ける雑誌です」(同社・担当者)
要するに専門的な情報も多く、しかも信頼に足り得るもののみが掲載されているそうだ。いや、ホッとしたどころか、逆に恐ろしいんですけど……。

そして日本に先行し、昨年の10月に発売されたアメリカ版。言うまでもなく、オリジナル版は本場で大ヒットしているという。日本では女子会やガールズトーク等で“話のタネ”になる気がする同書、あちらではどのように使われているのだろうか。だって、日本ではこんなリアクションが起こっているんですよ……?
「私も『女の涙を嗅ぐと男の性欲は減退する』という情報には、“へぇー!”という感じでした(笑)」(担当者)
この本の担当者さんは、女性です。念のため。

しかし、気になることが。同書のデータは、あくまでアメリカで収集されたものばかりである。だからこそ気になるのは、「ズボンの下がノーパンな彼は自由な精神の持ち主で、自分の体に満足している」というデータ。日本におけるノーパン男性の希少性を考えると、あまり適当ではない気がする。「彼のタトゥーが胸部にあったら、そのマークをときどき思い出してほしいというサイン」という格言も同様。
その温度差に気を使ったのか、我々が手に取っているのは“直輸入版”ではないらしい。
「元々、アメリカ版の表紙には角刈りでマッチョな白人男性の半ヌード写真が掲載されておりました。それがまた、誤解を受けそうでして……」(担当者)
それは、マズいだろう。もっとソフトに、もっと手に取りやすく、もっとチャーミングな表紙写真へ差し替えを行わきゃ! 結果、カップルが微笑み合うラブラブなショットが採用され、形となったのが画像のそれです。

そしてもう一つ話題なのが、“日本一美しい32歳”壇蜜さんによる帯文でしょうか? せっかくだから、読んでみましょうか。こんなことが書いてあります。
「意中の殿方の唇を見つめることを私もしたりします」
これは、「喋っている彼の唇に視線を向けて、そのまま3秒見つめてみて。これが野生の本能に働きかけて、彼はなぜだかわからないまま、急にあなたともっとたくさんの時間を過ごしたくなるの」という“秘密”を受けての、壇蜜氏によるコメントである。……ていうか、そんなこと考えてるんですか! なんという、百戦錬磨。恐ろしくなってくるな。しかし、満更でもない。

また、この本を読んだ辛酸なめ子氏が、絶妙な名言を残している。
「この本は、国家機密よりも重要です」
言い得て妙だ。そりゃ男からしたら、試験前に問題用紙を入手したかのような“やってやった感”があるもの。ここに来て、私は虎の巻を入手してしまった。

そして事実、以下のような状況があるという。
「もちろん女性が主ですが、男性によるご購入もございます」(担当者)
でしょう! これを知ったからと言って、上手に活かせるかはわからないのですが。

兎にも角にも、禁断の秘伝書かもしれないな。これは。
(寺西ジャジューカ)

関連リンク
■ 「ハースト婦人画報社」ホームページ
■ Amazon:COSMO's 男を虜にする500の秘密