By Thomas Hawk

2012年の8月にGoogleが違法ダウンロード対策として検索エンジンのアルゴリズムを変更し、著作権侵害の報告が多いサイトを検索結果から降格させるという試みを発表しましたが、RIAAの調査によればアルゴリズムの変更から半年たっても海賊版サイトは依然としてランキングの上位にあり、効果がなかったことが判明しました。

Google Report Card 2013 Final
http://ja.scribd.com/doc/126625427/Google-Report-Card-2013-Final

Googleはこの6カ月間数多くの著作権侵害を理由とする削除通知を受け取りましたが、解析の結果、依然として検索結果の1ページ目には海賊版を扱うサイトが表示されることがわかりました。以下のグラフは人気ワードを検索した時、検索結果の上位10位にどのようなサイトが表示されているのか?ということを表しているのですが、iTunesやAmazon、eMusicといった合法サイトの平均表示件数は10件中0.6件であるにも関わらず、Googleが1000通以上の削除通知を受け取った海賊版コンテンツを扱うサイトは3〜5件も表示されていました。


また、2012年の12月3日から2013年の1月21日までの検索結果をトラッキングしたところ、音楽ファイルを無料ダウンロードできるmp3skull.comはほとんどの期間で合法サイトを差し置いて検索結果の1番目に表示されることがわかりました。


さらに、2012年3月23日から2013年の1月23日の間に削除通知が10万件以上あったサイトについて、検索結果の上位5位内に表示される平均件数が1件以下になることはありませんでした。


調査では94%のインターネットユーザーが検索結果の1ページ目までしか見ないということも分かっているので、上位10件をどれほどの海賊版サイトが占めているかは非常に重要な問題です。

また、88%が有名なアーティストの名前と同時に「MP3」「download」という言葉を検索欄に記入しており、RIAAはGoogleのオートコンプリート機能がユーザーに海賊版を扱うサイトを示唆し、事態を悪化させている可能性を指摘しています。


このような調査結果から、RIAAは「Googleが著作権侵害の通知を受け取ったサイトのランキングが降格しているようには見えず、少なくともアーティストと「download」「mp3」という言葉を結びつけた検索においては効果がなかった」と結論づけました。また、
「ある音楽を検索した時、ユーザーは『Googleなら合法なサイトを表示しているだろう』と検索エンジンを信頼しているのですが、この調査結果はGoogleのアルゴリズムが機能していないことを明らかにしました。Googleは今すぐこの検索エンジンを変更する必要があり、私たちはそれを援助する準備ができています」とのこと。

これを受けたGoogleは違法ダウンロード対策として主要な決済会社と連携して課金決済が行えないようにすることを考えており、現在は議論の最中ですが、違法ダウンロードサイトの資金源を絶つことでサイト自体を減らそうという意向のようです。資金源を絶つという方法は2011年にVISAやマスターカードがウィキリークスに対する寄付金の支払い手続きを停止することで影響力を弱めたという実績があり、また多くの出版や映画、テレビ業界でも使われる手法ですが、Googleが採用するのは初めてのことです。



記事全文へ