都市と都市との間の幹線道はほとんど政府側が支配しているため、かなり大回りに農村地帯を移動する。そうした移動の中継地点になっている農村の拠点には上記のようなネット環境はない。電話回線と思われる有線のネット回線を持っている人もいたが、現在は使用できなくなっているという。

農村部では空爆や砲撃はたまにあるが、地上戦はあまりなく、農作業も通常通り行われているようだった。ただ、政府を支持している村も散在しており、政府側民兵が周辺で活動をしていると反政府側は移動ができなくなりネット環境のない農村で何日も待機することになる。長距離移動する車自体が少ないので、何もなくても待機しなければならない日もある。こうなるとツイッター更新などとても無理である。

携帯電話からネット接続するか、SMSを日本の協力者に送って代わりにツイッターに上げてもらうという方法もある。携帯電話に入れるSIMカードはプリペイドのものを使用するのが便利だが、購入にはビザが必要なので密入国の場合は正式には入手できない。反政府側が政府側民兵から奪った携帯電話から抜き出したSIMカードが出まわることもあるようだが、かなりレアなケースだろう。

シリアには「Syriatel」「MTS Syria」の2つの携帯キャリアがあるが、前者はバッシャール・アサド大統領のいとこがオーナーであり、盗聴されやすいとのことで反政府側では避ける傾向があるようだ。もっとも、反政府側の解放区ではいずれも回線状況が極めて脆弱で、現地人同士でも通話すらつながりにくいことも多い。また、国境付近では隣国の携帯電波が入るので使用できるが、プリペイドの残高追加ができない恐れがあるので注意が必要だ。
現地人の携帯を借りるか、SIMカードだけ借りて自分のSIMフリーの携帯端末から日本の協力者にSMSを送るのが、最も現実的な連絡方法だ。
ただ、連発はできないので最前線に出る前など緊急連絡での使用になり、ツイッター更新用の情報までは私は送らない。

日本から協力者が現地人の携帯にかける場合、反政府側は知らない番号や番号非通知では電話に出ないので、協力者の番号を反政府側の人間に知らせておく必要がある。Skypeからかけると「表示不可能」といった表示になるのでやはり彼らは出ない。スマートフォンアプリのMobileVOIPを使うと、好きな番号を表示させることができるのでおすすめだ。

私の場合、安全対策のために、取材現場に滞在している間はどこの国にいるかという情報はツイッターやブログを現場からの更新では書かない。滞在している国の政府や武装組織などに居場所がばれると面倒だし、日本政府から私の家族に圧力がかかる場合があるからだ。あくまで「それなりに仕事をしているらしい」と思ってもらえればありがたい、という範囲のものである。