ロボットレストランは、自分の予約したショーが始まる10分前には入店するというルールがあるんだけど、じつは1時間前なら早めに入店して待合室にいることもできる。で、この待合室ってのがまたすごい。ここには開演前から例のロボが鎮座ましましていて、自由に操縦席に座って写真が撮れたりするのだ。操縦桿をグリグリやると、おっぱいも動かせる! これだけで2000円ぐらいの元は取った気分だ!

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ババン、バン、ババン! ババン、バン、ババン!
金属を叩き付けるような独特のリズム。意思を持ったマシーン軍団と人類との壮絶な戦いを描いた『ターミネーター』の、あのリズム。
反乱軍のリーダーが生まれる前にその母親を抹殺するべく、シュワルツェネッガーの皮をかぶったロボットが未来からやってくるのは映画の中での話だが、しかし、どうせ空想のうえでの出来事だと、笑ってばかりもいられない。

いまや駅の改札も、電気料金の支払いも、ガス給湯器も、あらゆるものが自動化された。ゆりかもめなんか自動化されてるから誰も操縦士乗ってないんだよ。
ネットワークは世界中を結び、国境を超えた情報網となった。ペットを飼う庭のない人のために可愛いワンちゃんは人工ペットのアイボとなり、掃除機さえもルンバになった。人間の生活のいたるところに機械が入り込んでいる。街はロボットだらけなのだ。そうしたロボットたちが、絶対に反乱しないと、誰が言い切れるだろう。

東京の街を歩いていて、怪しげなロボットを荷台に載せた宣伝カーが走っているのを見たことはないだろうか?
「あー、見た見た。髪の長い女が手を伸ばしてるやつ」
それは映画『貞子3D』の宣伝トラック!ワタシが言ってるのはロボットレストランの宣伝トラックだ。トレーラーの荷台にロボットを載せ、大音響の宣伝ミュージックと共に新宿〜神田〜秋葉原界隈を走り回っている。
おっと、ロボットといっても、その姿は一般的に想像されるものとは大きく異なる。そうねえ、巨大化した叶恭子さんの下半身をちょん切ってガンダムの上に乗っけたような感じ、とでも申しましょうかね。三番目の叶姉妹・叶強固誕生、みたいな。

とにかく、そんなもんが都内を走り回ってるというのだから、日本という国はつくづくどうかしている。あのロボットが人類に反乱を起こすのを想像したら、ぶるぶる震えがくるね。そんな恐ろしい事態になる前に、あらかじめ敵の戦力とか弱点を調べておいた方がいいんじゃないだろうか。

そういうわけで、さっそくロボットレストランに出掛けてきた。ババン、バン、ババン!

場所は新宿歌舞伎町。いきなり店頭からしてギンギラギンなのですぐわかる。ただし、予約なしではダメね。「レストラン」とは言っても出入り自由のお食事処ではなく、1日3回(もしくは4回)決まった時間に行なわれるショーを、完全入替え制で鑑賞するスタイルの店だからだ。

料金は、お一人様4000円。開店当初は3000円だったんだけど、それじゃロボの開発費が全然回収できないってことに気づいたのか、ちょっと値上げしたの。これでもまだ焼け石に水のような気がするけどね。
食事は、あらかじめ座席にお弁当とお茶が用意されている。国技館の枡席みたいなおもてなしだ。これも最初の頃はビール飲み放題だったりしたんだけど、やっぱり変更になっていて、いまはアルコールは着席前に別料金で購入するようになっている。ショーが始まったら飲み食いしてるヒマなんてないので、着席したらとっとと飲むなり食べるなりするといい。そんで、このあと始まるショーに100パーセント意識を集中するのだ。

さて、時間だ。いよいよロボットショーの始まりだ! ババン、バン、ババン!

……と思いきや、フロアにはでっかい和太鼓が何台もセッティングされていたりして、あれ? 近未来じゃないの? と不思議な気持ちになる。なりながらも事の次第を見守っていると、やがてビキニの女の子たちが出てきてドンドコドンドコ太鼓を打ち鳴らし、激しいダンスを見せ、あのほらあれなんつーんですか中国の獅子舞みたいなやつ? そういうのも出てきたり、鼓笛隊が出てきたり、なんだかわからないけど常軌を逸したテンションの高さで、いつの間にか夢中でステージを目で追っている自分に気づかされる。

途中、休憩が入り、黒子(ホントに黒子!)数人が出てきてセットチェンジをする。今度こそ本格的なロボットショーが始まるのだ。
これから行ってみようと思ってる人のために詳しくは書かないでおくけど、きっとこんな感じじゃないかなー? と想像している内容から思いっきり斜め上の方向に突き抜けた、とんでもないショーが展開される。レーザーが飛び交い、スタイル抜群の女の子たちが天井からぶら下がり、フロアをロボット群が駆け回る。このご時世に節電意識ゼロという清々しさ。

なんなのだろう、これは。

すべてを見終えたときに、なんだか不思議な感動に包まれている。ディズニーランド一周してきたぐらいの感動は間違いなくある。
最初はさ、仲間内でも「どうせすぐ店なくなっちゃうからいまのうち見に行っとこうぜ」なんて、ド失礼なことを言ったりしてた。でも、一度あの狂騒の空間を体験すると、行ってよかった! ここは自分が来るべき場所だった! と、他人事じゃない気持ちになってしまうんだな。自分もロボット軍団(そんなにカッコいいものではないけど)の一部になってしまったようなね。

とにかく、だまされたと思って一度体験してみるといい。18歳未満は入場できないけど、別にエロチックな要素はないので、女性でも安心して見られるよ。絶妙な、い〜湯加減が人類の緊張ををほぐしてくれるだろう。

ババンバ、バンバンバン!

……しまった、このリズムはターミネーターじゃない!(とみさわ昭仁)