これがモノクマです。白と黒のクマ。そして、希望ヶ峰学園の学園長なのです。モノクマの言うことに逆らうと大変なことになります。

写真拡大 (全3枚)

「うぷぷぷぷぷ……」と大山のぶ代VOICEで邪悪に笑うクマのぬいぐるみ(?)で話題になった「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」。

2010年PSP版発売と同時にアドベンチャーゲーム好きを熱狂させた(PSPアドベンチャージャンル初週販売本数歴代3位だとか)このゲームのiOS版がついに登場したのです! これがやってみると、PSP版よりもいいんじゃないかと思う出来でした。一度やった人はもう一度あのストーリーを味わうために、まだの人はこの機会にやりましょう!

といっても、シリーズを知らない人もいるんじゃないかと思います。ここで簡単にゲームの解説をしましょう。このゲームはジャンルとしては「ハイスピード推理アクション」になります。

ゲームの舞台は「私立 希望ヶ峰学園」。
ここはあらゆる分野の超一流高校生を集めて育て上げることを目的とした学校という、なんともすごいところです。入学試験は一切なし。入学するには学園からのスカウトしかありません。なので生徒は全員「超高校級の」素質をもった人達だらけなのです。

そんな学校に主人公「苗木誠」くんが「超高校級の幸運」として入学するところからゲームはスタートします。超高校級の幸運とは、平凡な人達の中から抽選で1人選び、選ばれるぐらいの幸運だ! ということでつけられたものだったりします。というわけで、本人は何も特技がありません。

そして入学式の中、気がつくと主人公は意識を失い……色々あって、気がつくとそこには学園長を名乗るぬいぐるみであるモノクマ(これが大山のぶ代VOICEで語るクマのぬいぐるみ)がいて、こう告げるのでした。

「オマエラには、これからコロシアイをしてもらいます」

なんということでしょう。脱出口が封鎖されている学園の中で、主人公は同じ新入生達とコロシアイをしなければならなくなったのでした。でも、ただ殺し合えばいいというわけではありません。そこには厳然たるルールがあります。

・誰にも気づかれずに殺すこと(ここで、犯人をクロと言います)
・死体が発見されたら、一定時間の調査の上、学級裁判が開かれます
・学級裁判では、誰がクロかを探し出さなくてはなりません
・もし、みんなで間違えたクロを選んだ場合。真のクロ以外は全員おしおき=拷問によって処刑されてしまいます。そして、クロはこの学園を卒業=脱出できます
・みんながきちんとクロを指定できた場合。クロはモノクマによって処刑されます

こんなルールになるのです。そう、閉じ込められた学園から脱出するには、他の人にバレないように級友を殺して、裁判で逃げ切るしかないのですね。

でも、ライバルはみんな選りすぐりのエリートだらけです。全員超高校級なわけですから。ここでちょっと、級友たる超高校級の面々を紹介しましょうか。

・超高校級の野球部員
・超高校級のアイドル
・超高校級のプログラマー
・超高校級の同人作家
・超高校級のスイマー
・超高校級の風紀委員
・超高校級の占い師
・超高校級のヤンキー
・超高校級のギャンブラー
etc……

これがまた、肩書きだけじゃなくてそれぞれ個性が強い強い。かくして超高校級に個性的な面々というか奇人変人な面々と、ただ単に抽選で選ばれただけの「超高校級の幸運」の持ち主である主人公はコロシアイをしなければならなくなったというわけなのでした。

ゲームは主に3つのパートに分かれています。

1つは(非)日常パート。
ここでは級友と話して親交を深めたりすることができます。このパートで死体が見つかると、調査パートに移ります。

2つ目は調査パート。
ここでは殺人事件が起きた後、犯人は誰なのか調べるための手がかりを探すパートになります。がんがん調査をして、情報を集めましょう。

最後は学級裁判パート。
調査パートで得た情報を元に、学級裁判で論陣をはることになります。ここがジャンル名の「ハイスピード推理アクション」の由来であったり、「弾丸」「論破」の由来だったりするのですね。

学級裁判パートはほぼフルボイスで進行します。さまざまな登場人物が「ここはこれこれこういう理由だから、あいつが犯人なんじゃないかな」と、発言をします。この発言は、まるで全方向なニコニコ動画の字幕のように、画面のいたるところからその発言の字幕が流れ出てくるのですね。しかもノンストップで、何も押したりしなくても発言が

その発言の中に矛盾があったら、自分の持っている情報を弾丸にこめて(これを言弾「コトダマ」と言います)その発言を打ち、「論破」するわけです。これが、「弾丸」「論破」の名前の由来なのです。

これが、実に面白いんです。まず自分の手持ちの情報が弾丸として可視化されるわけですね。例えば「あいつは野菜が好きだった」「缶詰をあけるのが苦手」みたいな弾丸があるとします。

そこに誰かが「そういえば、あいつは肉が好きだったから、あのときステーキを注文したはず」みたいな発言があると、「あいつは野菜が好きだった」の弾丸を発射して、その発言を論破するわけです。これがフルボイスで待ったなしに進行していくので、反射神経が求められたりします。

PSP版では照準カーソルをアナログスティックで動かしていたのですが、そこはiOS版。なんと、これがタッチで済むのです。実に快適! そのまま違和感のある発言をそのまま直感的にタッチできるのはとても大きいですね。なので、iOS版が出たこの機会に、是非今までシリーズ未体験の人に遊んで欲しいというわけなのです。

ちなみにiOS版では高解像度版と普通解像度版を選ぶことができます。iPhone4Sや第3世代iPadを持っている人は高解像度版で遊ぶとPSPよりも高い解像度で楽しむことができます。

iOS版の欠点というか、ちょっと遊んだ上での弱点は、移動とかがスムーズに行えない、というよりはスムーズに行き過ぎるということでしょうか。移動パートは3Dダンジョンを歩き回るようなシーンなのですが、ここでiOS版は画面の右半分をタッチして行きたい方向に指をスライドさせるという方式をとっています。さらに、画面内の視点移動(カメラワーク)は左半分で同じようにやるという感じですね。

これが、慣れるまでは難しいです。特に、「走る」という、通常よりも移動速度が速いオプションをつけるとまあ大変。突っ走りすぎてしまってなかなか思うように移動できなかったりもします。いや、まあ、慣れの問題だとは思うし、他にいい方法は思い浮かばないのですが……というわけで、最初は「走る」は封印した方がゲームにスムーズに入れると思います。あと、移動画面に人と話したり何かを調べるのに慣れというか練習が必要かもしれません。

このゲームは本当に推理ゲームとしてもアドベンチャーゲームとしてもよくできていて、一度始めたらそのまま続きが気になって何回も徹夜してしまうこと請け合いです。いったい何日夜中まで遊んで「うおおおおおお! こうなるのか!!!」と叫んだことか。皆様も是非この感動とミステリ的なカタルシスを味わっていただきたいものです。

さて、このダンガンロンパですが、実はシリーズがいくつかあったりします。1つはPSPで7月26日に発売された「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」。もう1つは小説版の「ダンガンロンパゼロ」(上下巻)です。

時系列的には「ダンガンロンパゼロ」→「ダンガンロンパ」→「スーパーダンガンロンパ2」になるのですが、この通りに進めてはいけません。

というのも「ダンガンロンパゼロ」では、本のはじめからわずか数ページでびっくりするぐらいのネタばらしがあるからなのです。たとえて言うならば、古本屋でミステリを買ってみたら、目次のところとかにある人物紹介欄に「←犯人はこいつ」という落書きがあるみたいな勢い。そんな勢いでネタばらしをしています。

なので、興味を持ったので時系列順に楽しもうなんてことは、間違っても考えちゃいけません。まずはPSP/iOS版のダンガンロンパを楽しみましょう。その後に、そのままの勢いで「ダンガンロンパゼロ」を読むのです。この順番が最もシリーズを楽しめると断言します。

そして、ダンガンロンパゼロを読んだ後に「スーパーダンガンロンパ2」を遊ぶのが、ベストの布陣です。くれぐれも、順番を間違わないようにしましょう。
(杉村 啓)