「ゆとり、ゆとり」とバカにされる世代も、バブルの残党世代である上司たちには大いに不満を持っているようです

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ゆとり世代」が社会人になった2010年以降、彼らをバカにしたり、「困った人」として対策を指南する記事が星の数ほど生まれた。だが一方で、その「ゆとり」側からも上司に対する不満が噴出しているという。

企業の社員健康管理を専門にする産業医・榛原藤夫氏はこう語る。

「私のところを訪れるゆとり世代社員が上司との関係で訴えるのは大きく分けて4つあります。それは『セクハラ』『パワハラ』『理不尽』『尊敬できない』です。セクハラとパワハラはどの世代にも存在する不満です。しかし、残りのふたつは特にゆとり世代と呼ばれている人たちに多いと感じています」

例えば、上司に「理不尽」を感じる瞬間では、若手社員たちから次のような声が寄せられた。

<飲み会で毎回、「暴走族とケンカした」などと過去の武勇伝を語る上司がいる。そんな彼が、僕の手の甲に小さなタトゥーがあるのを知って激怒。しまいには「おまえももう社会人なんだから、ワルからは卒業しろ」なんて説教まで……>(電機メーカー・25歳・男性)

<上司とのサシ飲みで、「上司を置いて帰るのか」と終電後まで付き合わされた。その後、上司はタクシーでさっさと帰宅。そこまで付き合わせるならタクシー代くらい置いていってほしい>(旅行代理店・23歳・男性)

一方、「尊敬できない」パターンでは、こんな声が。

<部署で定期的に行われる“懇親会”は、なぜか全然違う部署の人が集められたりする。女性側には「○人連れてきて」と人数指定までされることも。そして集まってみれば、男女5対5の合コン状態。いかにもな名目で部下をだますようなまねはやめてもらいたい>(化粧品会社・24歳・女性)

<病院に配属されて3ヵ月くらいの頃、何をしても看護師長からやり直しを命じられて……。理由を聞いても「自分で考えなさい」の一点張り。疑問に思ってほかの先輩に聞いてみると、「あの看護師長は新人のやることは理由がなくても一度は否定する。『そうしないと新人がつけ上がる』と思っている」だって>(看護師・23歳・女性)

榛原氏によると、ゆとり世代を納得させるキーワードは「合理性」だという。

ゆとり世代の多くは仕事のひとつひとつに納得できる理由があれば、それに抵抗しない傾向があります。むしろ合理的に決められたルールは上の世代よりもキチンと守る。だから合理的な理由があるなら『自分で考えろ』と突き放すのではなく、『どうしてだかわかる?』といったように疑問を投げ、その上で納得できるように説明することが大事です」(榛原氏)

概して、ゆとり世代は「理不尽」への耐性が低いという。それをくみとることができるか、切って捨てるかで上司の度量も試されるのかもしれない。

(イラスト/服部元信)

■週刊プレイボーイ30号「ブラック上司の『ここが許せない!』」より