『早稲田大学競走部のおいしい寮めし 』主婦の友社
早稲田大学のエンジカラーが目印。“一汁三菜の献立”、“パフォーマンス向上の三角形”など、思わず「真面目かっ!」って言いたくなるちょっと理論的なレシピ本です。さすがWASEDA!?

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先日紹介した『日本ハムファイターズの寮ごはん』に連なる「体育会系寮ごはんシリーズ」(勝手に命名!)
今回紹介したいのは、マラソンや駅伝など秋からもますます盛り上がる陸上競技から。今年正月の箱根駅伝で総合優勝を果たし、その後の関東インカレでも総合優勝!と今、大学陸上界でノリに乗っている早稲田大学競走部の寮監にして管理栄養士・福本健一さんがまとめたレシピ本『早稲田大学競走部のおいしい寮めし』がこのほど出版されました。

<「栄養士がつくるごはんは、身体によさそうだけれど、おいしくなさそう」といわれたことがあり、くやしい思いしました>という栄養士・福本健一さんと、<「寮めしといえば、まずいもの」というのが一般的な認識の中で、最初に僕が福本君にお願いしたのは、「おいしいごはんを出してくれ」ということです>という早稲田大学競走部・磯監督の思惑が一致し、福本さんが陸上部寮の食事面一切を任されたのが今から5年前。
<早稲田大学競走部の強さの秘密はごはんにあった!>という帯での紹介文に「いやいや、さすがに走るのは選手なんだから言い過ぎだろう」と思いきや、よくよく調べてみれば、2001年〜2006年と5年連続で箱根駅伝シード落ち(10位以外)だった早稲田大学が、福本さん就任後の2007年大会から6位→2位→2位→7位→1位と着実に結果として表れているのは出来杉、というかちょっと驚かされる事実です。

さぞ工夫のあるレシピかと思いきや、紹介されているのは肉じゃがやハンバーグなどいたって普通のレシピばかり。<食材と味のバランスのよいおいしいごはんは、結果として、栄養バランスもよいものです>という福本さんのこだわりが伺える。
この本では、毎日の食卓を彩るレシピ140種が紹介されてるのだが、「寮ごはん」ならでは!というのがいくつかのレシピで“60人分”の材料も紹介されているところ。例えば、
■鶏の唐揚げ60人分…鶏肉:9.6kg、片栗粉:適量
とか、シュールな表記が面白いです(9.6kgに対しての適量っていったい…ww)。
子供会や運動会など大勢が集まる場も結構ある秋、そして東北なら芋煮会シーズン真っ盛りのこれから季節にはかなり役立つかも。さすがに60人分の材料とかグーグル先生でも見つけられないですからね。

また、栄養素からの食材選び一覧や年齢別必要栄養摂取早見表なんかもついているので、運動選手はもとより、「進学で子供が一人暮らしをはじめるけど食事が不安」とお悩みの保護者の方はお子さんに一冊買ってあげるのもいいでしょう。そして「料理はじめたいけど何からやればいいのかわからない」という料理童貞・料理バージンにこそおススメしたい。だって「シャケの塩焼き」とか「ほうれんそうのひたし」とか、え!?焼くだけでしょ?ゆでるだけでしょ?っていう料理がマジメに紹介されてるんです。でも、この辺のオーソドックスなレシピが毎日の献立ではやっぱり一番人気なんだとか。

他にも、陸上部の勝負めし、というコーナーでは試合前夜と当日朝のメニューも紹介されているので、テレビを観戦しながらうんちくを語るにはもってこい。「早稲田の選手が後半足が残るのは、お餅とかカステラとか吸収がゆっくりな糖分を朝食べてるからなんだよ。そもそもこれは高橋尚子がはじめたことで…」なんて、なんか専門家っぽくってカッコいいかも。(オグマナオト)