帰ってきたTPSの傑作ゲーム「Gears of War3」。物語性や演出もボリュームアップしているけれども、なんといってもこのゲームの楽しさは殺戮とゲーム性のバランスの良さ! さあみんなで処刑しよう!

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人間ってねえ。
ファンタジーだと理解した瞬間から、残虐なものを楽しむことで心を解放するようにできているんじゃないですかね。いきなりぼくの持論ですよ。
だってさ、そりゃもう戦争とか殺人とか許されざる行為ですが、映画とかゲームだと分かったら「うわーひどーい!」と言いつつ、ニヤニヤ楽しむ心理が働いちゃうじゃんね。
眉をしかめる人がいるのもわかるので、CERO「Z」のラベルを貼って、言い訳として殺戮の相手がゾンビだったり宇宙人だったりするんですが、それはそれ、これはこれとしてウィークエンドは大量殺戮ですよ。

アクションシューティングゲームの傑作シリーズ「ギアーズオブウォー」の3作目が発売されました。
物語は1、2から完全に引き継いでおり、地下に住むローカスト達と地上に住む人類が惑星セラで戦う姿を描いています。
人間の間の友情や愛情、ローカスト達の考え方など非常に複雑で重たい設定になっており、物語は胸にグッとくる設定がてんこ盛りなんです。
アメコミ的な苦悩とヒーローイズムを詰め込み、それでいて映画のお約束(いわゆる「死亡フラグ」など)をわざと入れてベタベタな展開を見せるというエンタテイメント性も抜群。
だけどねだけどね。ギアーズオブウォーの最高の楽しさって、残虐ごっこをゲームにきちんと落とし込んでいるところだと思うのね。

「前作の1、2をやっていないけど大丈夫?」と悩んで買わないでいる人は多いと思います。これに関しては「大丈夫!」と言いますよ。
ストーリーパートは1、2の続きなのでやっていたほうが間違いなくよいのですが、極端な話3をやってから1、2をパックでやってもいいと思います。躊躇してこのセラでの戦いを楽しまないのはもったいない。
今までのあらすじも一応収録されていますので基礎的な部分はなんとかおさえられるはず。
それよりもゲームの面白さなのですよ。走りまわって撃ちまくるだけで楽しくて仕方ないですから。
この「ギアーズオブウォー」シリーズはFPS(一人称視点)ではなくTPS(背中から見る視点)です。なぜこの視点になっているかといえば、それはキャラの動きが魅力的だから。
とりあえず3から始める人はチームプレイをプライベートモードにして、5対5の自分以外CPUキャラプレイをするのがオススメ。
これをやれば操作感覚だいたい分かると思います。初心者でもいきなり歴戦のオンラインプレイヤーにフルボッコにされずにすみますし、ストーリー分からなくても楽しめます。
オンライン対戦も、ライフ制なので「死んだら終わりで待ちっぱなし」という寂しい状態ではなく復活できるようになりました。

普通のTPS・FPSって基本撃たれたら死ぬじゃないですか、だって銃だし。
でも「ギアーズオブウォー」は違う。普通の弾の場合、撃たれても基本半分生きてます。ダウン状態で足引きずって動き回れるんです。
さすがにショットガンで近距離で撃たれたら木っ端微塵ですけどね。
ここからがいいんだ。ここからが!
ダウン状態からの選択肢は、自力で這い上がるか、仲間に助けてもらう。助けてもらった時には友情が芽生えることでしょう。ありがとう戦友よ!
これじゃゲーム終わらないですよね。ここでダウン状態に処刑を施すのです。
這いつくばっている敵を更に撃ったり、頭を蹴飛ばしたり踏んづけたり、というのが基本的なキル。ただしこれは簡単なので点数(経験値)はあまり高くありません。
しかし、銃を一定数使いこなしていくと、様々な銃特有の「処刑」を手に入れて、演出付きでド派手に殺すことができるのです。
チェンソーで相手をずたずたに切り刻んだり、銃の柄でボッコボコに頭砕いたりするのです。絶対復活できないように、まさに処刑します。これがかなりの数ある銃器で様々な種類行うことが出来ます。
処刑は経験値が高いです。なのでできるだけ狙ったほうがいいし、なんといっても気持ちいい。一部日本版で規制されているのが残念ですが、それでも十分エクスキュージョン。
また、2からはダウン中の敵を盾にしてピストルで突き進む事もできます。通称「ミートシールド」。捕虜で弾の嵐をカバーする様子は残虐プレイ極まれりという感じです。じゃまになったら首の骨折って殺して捨てましょう。
処刑中は無防備なので、まわりの集中砲火を浴びて自分が死ぬこともあります。ミートシールド中も頭を狙撃したら自分は死にます。
処刑を取るかクイックキルを取るか。なんと絶妙なバランス。でも処刑しちゃう、したくなっちゃう。
倒す相手はローカストと呼ばれる奇怪な姿の地底人ですが、地底人側でプレイしていたら人間をザックザクと殺せます。セラを救ったヒーローを惨殺している時の気分は世紀末ヒャッハー!

3からは女性キャラも登場します。アメリカンな顔ですが、かなり美人でかわいいです。個人的には気が強くて悪友なノリのサムがお気に入り。
そんな彼女たちを使って敵をぐしゃぐしゃにして血まみれになるのはなかなか快感。
逆にチェンソーや銃剣や近接ショットガンで彼女たちを肉塊にすることも思いのまま。
人によっては「うゎ、やめて」と目を背けたくなるかもしれませんが、そういう場合は残虐表現オフにすれば大丈夫。でも慣れてくると、処刑のためにゲームをやっている感覚になってくるから不思議。
ゲーム脳(死語ですね)と言われようとなんだろうと、フィクションの中ではスカっと残虐る! そして明日から真面目に働く!

一度やったら忘れられない協力プレイと処刑の数々。この楽しさは是非体験していただきたいです。
ストーリーモードも4人同時プレイが可能なので、協力すればTPS苦手な人でもクリアできます。基本的に助け合わないとオンライン対戦もストーリーモードもプレイできないので、ここもまた熱いんだなー。武器や弾薬を渡せるようになったのも、ともに戦っている感じがあって楽しいです。
とりあえず難しいこと考えず、まずは荒廃した世界で友情を手に殺戮しまくろう!

1、2を買ったことがある方は3は文句なしにおすすめできます。と言ってももう買っている人が多いでしょうから変化したところだけ。
まず既存のキャラの物語の掘り下げが素晴らしい。特にスポーツヒーローのコールの物語の演出は飛び抜けています。今までおまけキャラ的だった彼の魅力爆発。
新キャラがまたいいやつだらけ。ごっつい男たちだらけですが、なんとも憎めない愛嬌がたまりません。ゲームの出来もそうですが、日本語訳している人たちがよくシャレをわかっているのは今作も同様。
キル数で処刑の数が増えたり、特定条件でリボンや称号を入手できるというやり込み要素も抜群。敵の攻撃を協力プレイで耐えるHORDEモードもお金をかせぐことでトラップや武器を入手できたり、BEASTモードでローカストになって人間ヒーローの襲来を防ぐ、という遊びも追加されました。
新しく出てくる敵のデザインも秀逸。銃器もそれぞれの個性がすべて尖ったものになって使い分けが必要と、かなりゲームとしてのバランスも重視されています。
自分も1、2ともにクリアした上にオンラインもたくさんやりましたが、3になって「どこまで楽しませてくれるんだ!」と頬がゆるみっぱなしです。

ちなみにぼくのお気に入りはレトロランサーです。いわゆる銃剣で、普通にライフルとして撃つと照準があわなくて使いづらいんですが、特殊行動で5歩以上突進するとあいてを串刺しにして一撃で殺せます。多少のダメージは耐えつつ進めるので、スモークの中を突っ切って一気に突撃グシャリ! 逆に突撃してきた相手をチェンソーで刻むのもいいですね。
さあ、みんなでレッツ殺戮!
(たまごまご)