「Beautiful 〜comfortable ver.〜」は、一番最初に「このアレンジで歌入れしてみよう」といった時の歌を使わせて頂いて。こういうゆったりしたバラードの王道のようなアレンジを作ってはいたんですけど、当時はしっくり来なくて。もっと明るくキラキラした、輝いた感じに挑戦してみようと思ってリリースはしてみたものの、アルバムを作る段階で聴き返してみたら「意外とこのバージョンもすごく自然体な自分が出せているな」と気付きまして。「これもいいね」ということで、是非聴いてもらおうと「comfortable ver.」って。「Beautiful」をリリースしたら、「毎朝、聴いてます」とか本当に色々な人に愛着をもって頂けたので。いい曲なので、アルバムでも是非聴いてもらいたいなと思って選びました。

――初回限定盤の特典DVDに収録されている「Mai Kuraki Time Capsule Movie」というのは、どのような?

倉木:まさに今回の「今を見つめて、未来を見つめていこう、未来を感じていこう」という所で。振り返ってみて「10年前ってどうだったかな?」とか「あと10年後どうなるかな?」って、10年を節目に、それをキーワードに私がちょっと語った映像が入っていて(笑)。あとは一曲一曲、曲解説をしています。

10年前はまだCDとかカセットで、MDとか無かったし。今は電気自動車が走り出してたり。「10年後どうなっちゃんだろう?」と考えた時に、きっと携帯電話も無くなって、もう腕輪になってて、ピッと押したら「もしもし」という感じの時代だから。まさにドラえもんの目のボタンを押すと携帯が出てくる、ああいうことが出来るのかな?という夢があるんですよ。そういうようなことを語っているんです(笑)。収録自体は結構語ったんですけど、カットされちゃって。「アレ?いいこと言ったんだけどな…」という所も何点かあったりはしますけど(笑)。

今の時代、この世の中、今だけを見つめていて、未来を見つめていない人が結構多いと思うんですよ。私も落ち込んでた時期、今の自分しか見てなかったので。「今は落ち込んでいるけど、こんな自分だけど、未来はきっとまた違った自分が出せるよね」と思えたので、このアルバムによって「今を見つめて、未来に向けての自分を作っていくのが大事だよ」と気付くきっかけになったらいいなと思ったんですよね。

――初回限定盤と通常盤とで、ジャケット写真が2種類ありますね。

倉木:これもすごく伝えたいメッセージとして、目を隠しているのは「目に見えているものが全てじゃないんだよ」という所で。通常盤の方は「真っ直ぐこの先を見据えている」という2つに分けて、ジャケットも連蔵させて、コンセプトが伝わったらいいなと思って。敢えてカラーじゃなく、モノクロにしているのは、是非歌に集中して、詞の世界観を聴いてもらいたいなと思ったからです。ジャケットって、その歌のイメージがつきやすくないですか? 自分の好きな曲を聴いていても、隣にジャケットがあると「これがあって、この歌なのかな?」という印象がついちゃうこともあると思ったので、敢えて今回はシンプルに。

――アルバムタイトルの「FUTURE KISS」って、「FUTURE」の後に続く言葉は他にもあった気がするのですが、なぜ「KISS」を選んだのですか?

倉木:「KISS」って響き的にもすごく綺麗だし、色んな意味に捉えられるんじゃないかなと。「心に触れる」だったり「相手に触れる」だったり、「KISS」って「触れる」じゃないですか。そういった意味で「未来」にすごく合ってるから。色々と試行錯誤しながら、最終的には「FUTURE KISS」というタイトルをみんなで決めました。

――「FUTURE KISS」というタイトルナンバーも、最後に作られたんですか?

倉木:そうですね、一番最後ですね。もうアルバムが出来上がるぞ、締め切りも刻々と迫っているぞ、っていう時にギリギリで作りました(笑)。最後に1曲目が決まるという。今の自分の想いがギュッとリアルタイムに詰まっている一曲になってますね。

倉木麻衣 ニューアルバム「FUTURE KISS」特集