米国は金融規制の思想を大転換!新たな規制のインパクトも未知数「バーゼル3」の衝撃度を読み解く【後編】
前編では、今回の金融危機の原因と、新しい金融規制がなぜ複雑な様相を呈しているのか、その背景について述べた。今回は順次その内容が固まりつつある金融規制の狙いとその内容について考えてみる。
金融規制に詳しい日本総研の翁百合理事によれば、「マクロプルーデンス(信用秩序維持)」の視点で、今回の金融規制改革を理解すると分かりやすいという。マクロプルーデンスとは「危機が金融システム全体に及ぶことを防ぐことによって、実体経済への打撃を最小化するという視点」(翁理事)である。
ある銀行が経営破たんして決済が不能になると、それを当てにしていた次の銀行も返済不能に陥り、金融システム全体がマヒしてしまう。あるいは「あの銀行が危ない、この銀行が危ない」という噂が広まって、健全な銀行にも預金の取り付けが発生して機能を停止してしまう。これが従来型のシステミックリスクで、金融監督当局も、ここに注目していた。このため、金融規制も「個別」の金融機関の破たんを防ぐという「ミクロプルーデンス」に焦点が当たっていた。
ミクロの視点に立った規制の代表が、銀行に対する自己資本比率規制である。銀行が損失を出した場合に、まずそれを埋めるのは利益である。利益を上回る損失が出た場合は、主に株主が出資てくれたおカネと利益の蓄積から成る自己資本で吸収する。
だから、金融当局は自己資本比率8%以上というように一定水準以上の自己資本比率の維持を求め、基準を下回ると、配当の制限や一部の業務停止、さらには業務の停止というペナルティを課す。これが自己資本比率を基準にした「早期是正措置」(日本の早期是正措置は金融庁の2004年9月16日報道発表資料(PDFファイル)を参照)である。つまり、経営の悪化した銀行を早期に見つけ出し、リスクが伝染しないように隔離する、という考えに基づいていた。
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