アジア大会で卓球とバドミントンが大不振、中国のスポーツは一体どうしたのか-中国メディア
2026年10月1日、中国メディア・観察者網は、名古屋アジア大会で中国スポーツ界が集団的低迷に直面した背景を考察する記事を掲載した。
記事は、9月24日に行われた名古屋アジア大会の卓球男子団体決勝で中国が日本に敗れて36年ぶりに同種目の金メダルを逃したと紹介。中国の強さを象徴してきた種目での敗戦は、国内外に衝撃を与えたとした。
また、低迷が卓球男子だけにとどまらず、バドミントン男子シングルスでは有力選手が早々に敗退し、1974年の大会初参加以来初めてベスト8進出を逃すという過去最悪の成績に終わったと指摘。バスケットボールでも、5人制および3人制の男女合わせて4つの代表チームすべてが決勝進出を逃したと伝えた。
さらに体操でも、女子個人総合決勝で大きなミスが出て日本選手に敗れ、13連覇中だった記録が途絶えたことに言及。サッカー女子もグループリーグや決勝トーナメントで苦戦を強いられ、準決勝で北朝鮮に0-2で敗れたほか、バレーボール男子に至っては世界ランキングが34位にまで後退し、今年開催された別の国際大会でも低迷するなど、これまで強みを持ってきた種目で後退が連鎖していると評した。
この集団的な不振の背景について記事は、長年にわたり中国の躍進を支えてきた「挙国体制」が維持できなくなっていることが根本的な原因であると分析している。
記事によると、中国ではかつて、国と地方の財政支援のもとで全国的な選抜網を張り巡らせ、各地の体育学校に子どもを集めて食事や学業、練習を一体化させた「三集中」訓練を実施することで、限られた資源の中で効率よくメダルを獲得してきたという。
しかし、少子化の進展や国民の生活水準の向上に伴い、親たちの意識が変化した。過酷な訓練に耐えてもプロやトップ選手として大成する確率は極めて低く、怪我のリスクが高い上、学業が疎かになることで引退後のセカンドキャリアが極めて限定的になる実態が広く知られるようになり、過去のメダリストたちの困窮した境遇が伝えられることで、過酷な体育学校に子どもを送り込むことを避ける家庭が増えた。その結果、かつて5000校以上存在した全国の体育学校が現在では約2100校にまで激減したとのことだ。
また、体育学校の衰退を補う代替案として「体教融合(スポーツと教育の融合)」が推進されているものの、現実の教育現場では様々な摩擦や障害に直面しており、受験競争が過熱する一般の学校現場では学業成績が常に最優先され、体育の専門的な指導者が学校教育の枠組みに入り込みにくいという制度的な壁がなおも存在するという。
さらに、保護者や学校側がスポーツ特待生制度を有名校への進学手段として利用するケースが多く、進学を果たした時点で厳しい練習を続ける動機を失い、有望な若手人材が途中で競技から離れてしまう問題も生じているようだ。
記事はこのほか、プロ化や市場化改革の過程で生じたひずみも、近年の成績不振の一因となっていると指摘。サッカーやバスケットボールなどの対戦型競技では、長期的な資金投入を必要とするユース育成を軽視し、即戦力の獲得ばかりを追い求めた結果、次世代の才能の枯渇を招いたと論じている。
一方、卓球やバドミントンなどの「お家芸」的競技では、国際的な商業ツアーの増加とポイント獲得の義務化により、長期間の集中的な合宿訓練が難しくなった点に言及。多くの中国出身の指導者や選手が海外へ渡ったことで、中国独自の技術や戦術の秘密が世界に共有され、他国との実力差が急速に縮まっているとも分析した。
記事は、学校教育との融合や市場化への転換は、競技者の人生の選択肢を広げ、各競技が自立した運営基盤を築くための有効な改革であると強調しつつ、長年続いた巨大な育成体制の転換には十数年から数十年単位の時間が必要であり、その過渡期において国際大会の成績が一時的に低迷することは、中国スポーツ界にとって「生みの苦しみ」になりうると結論づけている。(編集・翻訳/川尻)

