インスタントジョンソン・じゃいインタビュー(第1回)“超高額馬券”を次々と的中 データや流れを味方につける「勝負師」の思考とは
数々の高額馬券を的中させ、「芸能界最強ギャンブラー」とも呼ばれるお笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃい。実は勝負事への興味は小学生のころから始まり、会社員時代には夢の中で「お笑いをやりなさい」と告げられ、会社を辞めたという。
競馬では血統や枠、タイムなどのデータを重視しながら、時には馬名の頭文字といった独自の法則にも着目。そんなじゃいが考える「運」と「実力」、そして数々の高額馬券を的中させてきた予想の裏側に迫った。
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神様からの「お笑いをやりなさい」 会社員から芸人への転身
--じゃいさんが勝負事に目覚めたのは、いつごろだったのでしょうか?
じゃい 多分、小学生ぐらいからその片鱗はあったような気がします。
--周りの方の影響ですか?
じゃい 後々知ったんですけど、おじいちゃんがパチプロだったそうです。その当時は僕は分からなかったので、遺伝なのかなと。
--一番古い記憶の中で、「自分は勝負師だな」と感じたのはいつでしょう?
じゃい 小学校3年生のときに、家におもちゃのスロットマシンがあったんです。それで妹とお年玉を賭けて勝負したりしていました。
--何かを賭けて勝負する機会はそれがきっかけ?
じゃい そうです。運ゲーみたいなのはあまり興味がないんですけど、“攻略できる勝負”みたいなものは好き。自分でちゃんと戦略を練ってできるものが好きでした。
--自分の才能に気付いた瞬間などはあったのでしょうか?
じゃい (勝負というのは)相対的なもので、相手より強ければという話なので。自分が長けているというのは、やっていって、勝ち続けているところから感じました。
--幼少時に相手を見て戦略を講じるという人は少ない気がします(笑)。
じゃい そうですかね。比較したことがないのか分からないですけど。でも、小学生のときは算数でしたけど、算数とか数学とかは常に、中学校までは学年でトップでしたね。
--そのころから数字に強い。
じゃい そうですね、好きでしたね。
撮影・内外タイムス --そこから人生のキャリアとしてのお笑い芸人という道を選択しました。その選択は賭けの1つだったのか、そこに戦略があったのか? どちらでしょうか?
じゃい 大学に行って、卒業してから2年くらいゼネコンで働いていたんです。そのときに、夢で「お笑いをやりなさい」と言われた。ちょびひげが生えた神様みたいな人が空から降ってきて「お笑いをやりなさい」と言われて、どうしようかな……と思ってたんですけど。こんなこと初めてだし、ちょっとやってみようかなと思った。
決意して、会社に退職する意思を示して、1カ月後に辞めた。その後にその会社が、倒産したんですよ。何かの暗示だったのか分からないですけど。まあたまたまかもしれないし。
--夢で見たことで行動して、会社を辞めるというのも結構な大勝負だと思います。そこに迷いはなかったのでしょうか?
じゃい 多分、その会社にいても、自分じゃなくても、成立するというか。自分じゃなきゃ成立しないっていう感じでもなかったので、そこに何かしがらみとか使命感みたいなものが、あんまりなかった。
--そう考えているタイミングで、神様のお告げのようなものがあったから、迷わなかった?
じゃい そうですね。
--実際に、辞めたあとに会社が倒産。びっくりしたのではないでしょうか?
じゃい 驚きというか、感慨深いというか。そんな夢を見た数カ月後に倒産する。あの神様がそういう意味を込めて言ってくれたのかなと。運命というか、そういうのは感じました。
--不思議です。じゃいさんは戦略的な方なのに、“神様のお告げ”という計算が立たないものに従って、それに救われた形になりました。
じゃい 戦略的に見えるかもしれないですけど、半々だったりします。戦略とオカルトみたいな、デジタルとオカルトみたいな。それを両方組み込んでいる感じはあります。
「気付ける人は強い」 データに見る勝負の法則
--ギャンブルなどの勝負事で勝つために必要なもの。“運”と“実力”は何対何ぐらいの割合なのでしょうか?
じゃい 競馬に関してはやっぱり実力がないと、運だけでは継続しないと思います。でも運がないと、実力があっても多分勝てはしない。そこは科学では解明できないところなんですけど、買う前にその人が当たるかどうか決まっているんじゃないか--、何を選んでも外れるんじゃないか--、っていう可能性すら否定できない。そういうところまでは一応考えます。
予想家さんたちの中でも、そういう話があるらしいんですけど、「運がない人の予想に乗ることによって、当たるものも当たらなくなる」みたいな。予想家の中で“ジョーカー”と言われているんですけど。そういう存在もいたりするので、そこら辺になるとまたちょっと、科学で解明できない運の部分だったり、そういうのもあります。
撮影・内外タイムス --じゃいさんは予想するとき、運に委ねることはありますか?
じゃい 運に委ねたりはしないですね。自分はもう本当にデジタルで予想することが基本的には多いんです。あとは流れとかも、多少加味したりとかはあります。
--いつも予想の参考にするデータや流れは何ですか?
じゃい データで血統だったり、枠だったり、タイムだったりという目に見えるものです。流れで言うと、分かりやすいところでは「2枠が連続で来ている」とか。血統に含まれるんですけど「〇産駒が」とか。もっと言うと「この頭文字の馬が来てる」とか。
ちなみに去年の菊花賞は、頭文字が“エ”の馬が3頭出走して、その3頭で決まった(※)。そのうち2頭は人気があったんですけど、1頭は人気がなくて。「これは、“エ馬券”あるんじゃないか?」と思って、当たりました。1頭が人気なかったので、配当は万馬券になりました。
※2025年の菊花賞は、1着エネルジコ、2着エリキング、3着エキサイトバイオと、馬名の頭文字が「エ」の3頭で決着。1、2番人気に加え、13番人気のエキサイトバイオが3着に入ったことで、3連単は14万270円の万馬券となった。
--そういうことってあるんですね(笑)
じゃい それを信じるか信じないかはその人次第だし、根拠なんてないので。説明することができない。その前の週も同じ頭文字の2頭が来ていたんですよ、秋華賞(※)。それが連続しました。
※2025年の秋華賞は、1着エンブロイダリー、2着エリカエクスプレスと、馬名の頭文字が「エ」の2頭がワンツー。翌週の菊花賞では「エ」の3頭が上位を独占し、2週連続で「エ」の馬が好走する結果となった。
--買う理由の1つにするくらいがいいのかもしれませんね。
じゃい でも、そういうところに気付くというのは、“力”だと思います。他の人が気が付かないことに気が付くのは、ギャンブルする上では大切な1つかなと思います。
--競馬番組の「先週こうだったから--」「去年こうだったから--」という予想に対して、SNSなどでは「今年と去年は違うだろ」といった批判もありますが、確かに1つの実力のような気がします。
じゃい そうですね。気付ける人ってやっぱり強いですよね。ギャンブルやっても“法則”を見つけられる。気付ける人と気付けない人は、だいぶ違うと思います。そこに気付けるってギャンブルじゃなくても、ビジネスだったりプライベートだったりでもすごい役に立つと思います。
撮影・内外タイムス --競馬場ではパドックを入念にチェックして予想する方もいます。じゃいさんは“馬を見る”ということはするのでしょうか?
じゃい 僕はあんまり馬を見る能力がなくて、分からないんですよ。なんなら人の顔すらもあんま覚えられないので(笑)。だから、目で見るものの違いに関しては、本当にただの凡人だと思います。
--パドックを見ている人は「汗かいている」とか「筋肉の張りが」といった点を予想の参考にします。
じゃい そういう人たちは、有利に立てると思います。先週(※9月6日のセントウルステークス)のファストネットワーク、香港のスプリント馬がボロボロだったんですよ、マイナス28キロで。僕は(事前に)本命にしていたんですけど、その時点ではパドックも見ていないし、馬体重もわからなかったんですけど。絶対にパドックを見ていたら、買わなかったと思う。そう考えると、なるべく前々から予想を始めて、買うのは直前というのが、多分一番いいと思います。
--前々から予想したものを信じて、早い段階で買っちゃうとかではなく?
じゃい じゃなくて。何があるか分からないので、レース発走までに。馬も生き物だし。
高額馬券をあえて発信 税制問題に向き合ったきっかけ
--実際に戦略も駆使して、勝ち始めたのっていつ頃からですか?
じゃい 競馬なので毎回当てることは無理なんですけど、始めた当初から勝ってはいました。もちろん、負ける日もあるし、連続して負けることもありますけど、トータルで見たら勝っていたという感じでしたね。
--収支面も当時から大きなプラスだったのでしょうか?
じゃい その当時はまだ全然。賭け金も低かったので数万とかそんなレベルです。
--そうした勝敗がどんどん積み重なっていって、世間を騒然とさせた「WIN5の9000万馬券」などにつながっていきます。超高額馬券を初めて当てたときは、どのような感覚だったのでしょうか? 例えば、脳汁があふれるような感覚みたいなものはありましたか?
じゃい そういうのはなかったですけど。初めて数千万単位で当てたのが、約3700万円のWIN5でした。最初結果を見たときに、“370万円”だと思いました。まぁまぁデカいな!と思ってよく見たら、あれ?と。そのときは家にいたんですけど、奥さんに「ちょっと聞いてよ!」みたいな感じでしたね(笑)。
自身の高額馬券当選を積極的に発信してきた(じゃいの公式YouTubeチャンネル「じゃいちゅ~ぶ」より) --見慣れない数字だったんですね(笑)。
じゃい そうですね。でも別にそれで脳汁が出たとかはないですけど、やっぱり多少の高ぶりというか、それはありましたね。興奮はちょっとしました。
--はしゃぎたくなるような、そういう感覚は意外とないんですね?
じゃい (レースの)ゴール前とかそういうのは興奮するんですけど…。たぶん、200万も2000万もあまり変わらないかなって。興奮の度合いはある程度の金額にいくと変わらないです。
--WIN5が的中することなんてほとんどない。
じゃい そうですね、当たらないです基本は。でも別に、たまに当たればいい、という感じです。
--それを的中させて、数千万単位の払戻金に。いきなり大金を手にして身の危険などは感じなかったのでしょうか?
じゃい 別にそれもなかったですね。まあ現金で受け取るというのはあんまりなかったので。
--現金で持ち歩かなければ大丈夫だろうと?
じゃい そうですね。WIN5なので、現金でやり取りしていないんですよ。
撮影・内外タイムス --その後も、トリプル馬券で6410万円、WIN5で9370万円など的中してきます。それらの情報を積極的に発信していましたが、あえてやられていたのでしょうか?
じゃい その当時から競馬のお仕事をさせていただくようになって、周りから「税金問題についてじゃいさん戦ってくださいよ」みたいなことはちょいちょい言われてたんですよ。かといって何もない状態で…と思ったので、あえて発信して、税務署に目をつけられて自分が標的になったらちょっと動けるかなと思った部分があります。
(第2回に続く)
インタビュー・文/加藤聡 内外タイムス編集部
《プロフィール》
じゃい(渡辺隆広) 1972年3月20日生まれ、神奈川県出身。お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のメンバーとして活動。芸能界屈指のギャンブル好きとして知られ、特に競馬では独自のデータ分析を駆使した予想を展開。高額配当を的中させた経験も持つ。2022年には競馬の払戻金をめぐる税務上の問題を公表し、競馬ファンの税負担のあり方に問題提起。その後、一般社団法人「未来の競馬税制を考える会」を立ち上げ、競馬における税制の見直しを求める活動にも取り組んでいる。
