映画独自解説家の守鍬刈雄氏が、YouTubeチャンネル「守鍬 刈雄のお暇なら映画でも」にて「【原作比較(6)・最終回】ノーラン版『#オデュッセイア』は何を変えた? 最終決戦と「帰還」の意味(独自解説)」と題した動画を公開した。動画では、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』の結末である第21歌から第24歌の展開を追いながら、映画化された「ノーラン版」との結末の違いについて解説している。

※この記事には映画のネタバレが含まれています。

物語は、20年ぶりに故郷イタケに帰還したオデュッセウスが、乞食の姿で素性を隠して自らの館に潜入するところから佳境を迎える。妻のペネロペは求婚者たちに対し、オデュッセウスの大弓に弦を張り、並べた斧のあいだを射抜くという難題を課した。名だたる求婚者たちが誰も弓を張れない中、オデュッセウスは難なく弦を張り、見事に的を射抜く。これを合図に、求婚者たちへの壮絶な復讐劇が幕を開ける。

無事に復讐を遂げたオデュッセウスだが、ペネロペは目の前の男が本物の夫であるか慎重に見極めようとする。彼女は床から生えたオリーブの木を柱にした「動かすことのできない寝台」の秘密を用いて彼を試し、本物であると確信してついに再会を果たした。守鍬氏はこの場面について、夫婦にしか分からない「メーティス(知略)」の重要性を強調している。

動画の終盤では、原作とノーラン版の決定的な違いが語られた。原作の第24歌では、求婚者の家族たちによる新たな復讐の連鎖が神々の介入によって断ち切られ、国全体の秩序が回復する様子が描かれる。一方、ノーラン版ではこの第24歌が「まるまるカット」されており、オデュッセウスが王座を息子に譲り、再び海へと旅立つ結末に変更されている。守鍬氏は、ノーラン版が世界の秩序よりもオデュッセウス自身の心の問題に物語を集約させており、彼を「現代の帰還兵」として再構築したと結論付けた。

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