2017年、テレ朝系「やすらぎの郷」の制作発表に出席した(前列左から)有馬稲子、八千草薫さん、倉本聰さん、石坂浩二、浅丘ルリ子、加賀まりこ、五月みどり、(後列同)松岡茉優、草刈民代、常磐貴子、風吹ジュン、藤竜也、ミッキー・カーチス、山本圭さん、名高達男

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 倉本聰さん(享年91)の訃報を受け、フジテレビ系ドラマ「北の国から」シリーズで主人公・黒板五郎の息子・純を演じた吉岡秀隆(56)は28日、所属事務所の公式サイトで代表作の生みの親に感謝した。同シリーズの主題歌を務め、8月もステージを共にした歌手・さだまさし(74)らファミリーが追悼。テレビ朝日系「やすらぎの郷」などに出演した俳優の藤竜也(85)がスポーツ報知の取材に応じ、故人をしのんだ。

 藤は倉本さんについて「無言の中での信頼関係(があった)」と回想し、「生き方そのものがドラマのような人だったのではないか」としのんだ。

 NHK大河「勝海舟」(1974年)やテレビ朝日系「やすらぎの郷」(2017年)、「やすらぎの刻~道」(19年)に出演したが、藤には土方歳三を演じた「勝海舟」での苦い思い出がある。

 「脚本は“てにをは”まで神経を使って書いているから、セリフはその通りに」と徹底した指示が出ていた。ところが「私には当時の新選組がヤンキーのように思え、演じる上でどうしても崩したかった。本人の姿が見えなかったので本番で変えてやったんですよ」

 実は近くの控室にいた倉本さん。「腕組みして収録のモニター画面をご覧になっていた。私と目が合いましてね。『失礼します』とだけ言って逃げるように出たんですよ」。確信犯での“掟(おきて)破り”だったが、何も言われず。藤の土方を認めたからに他ならない。

 「あれからどこかの飲み屋ですれ違うことはあった」が、話し込むことはなかった。半世紀近い時を経て、43年ぶりに来たのが「やすらぎ-」の高井秀次役だった。任侠(にんきょう)作品で国民的スターになった元映画俳優。画家的な一面があり女性のシワに執着し、元スターならではの奇行も。渋くてクールな藤のイメージを覆す役が描かれていた。ここでも藤は倉本さんからの“挑戦状”に応えた。

 「このときは、てにをは時代と変わり『自由にやってください』という様子で。でも、じっくり会話することは最後まで一度もありませんでした。それで良かった。時折見せる、あのニヤッとした笑み。それで十分でした。信頼できる真摯(しんし)な人。自分を貫いた生き方そのものが、ドラマだったのではないでしょうか」

 無言の中で強固になった真の関係。それは脚本家と俳優間で交わされる最上の“つばぜり合い”だったのかもしれない。(内野 小百美)